おかあさんの参考書
新4年生になるということを考える

新4年生になるということを考える

鳥居りんこ

今年もコロナ禍の中、中学入試本番の幕が開き、6年生は決戦の真っ最中です。東京・神奈川受験が始まる2月1日もすぐ目の前に迫っています。

同時に、現5年生以下のお子さんにとっては新学年がスタートすることを意味します。2月から、本格的な塾生活が始まる新4年生、本格的な受験勉強が始まる新5年生、そして、受験本番に向けた演習が始まる新6年生という位置づけです。

それぞれの学年での「はじめまして」がありますので、まずは各ご家庭で、新年度の課題と抱負について考えてみることをお勧めします。
「新4年生」になるということは「中学受験を決意した」ということですから、今回は新4年生に対する注意事項をお伝えしましょう。

まずは新しい生活パターンに慣れること

今は小1、あるいは入学前から受験塾に通っている子も少なくないので、同じ塾、同じ校舎であれば、ある程度の“慣れ”はあるとは思いますが、やはり受験を意識したプログラムは新4年生から始まっていくことが多いです。

まずは、「勉強することが楽しい」と思える雰囲気作りをしていくことが必要です。
少なくとも塾に通うことが苦ではない、むしろ「楽しい」と感じなければ、長い受験生活が苦痛一色になりかねません。
そのために、親は子どもの様子をよく見ておかなければならないのです。

4年生ともなると、学校では6時間授業の日数が増え、クラブ活動が始まります。学校滞在時間も長くなるので、体力がない子にとっては、これだけでも大変です。
新たに塾生活が始まる子にとっては、学校と塾のダブルスクール状態になります。学校で1日の仕事をこなした後に、さらに塾に行くのですから、塾はいわば“残業”とも言えるわけです。

何事も“慣れ”は大切ですので、保育園や幼稚園のころに体験した「慣らし保育」を思い出し、親子で何をどうしていけばいいのかを話し合いながら、徐々に慣れていくのが大切です。

整えたい3つのポイント

新しい習慣に慣れていくためには、生活のリズムを整えていく必要があります。ここでは、大切だと思われる3つのポイントを説明しましょう。

1. 学校生活との両立

小4時代は塾もアイドリングの時期です。バリバリ勉強をこなすというよりは、塾あるいは勉強が「楽しい!」と感じられる雰囲気作りが大切です。
心身ともに健康でなければ、受験勉強どころではありません。ですので、まずは学校生活をきちんと回して、その上で塾にも無理なく通える暮らしのリズムを整えることが必要になります。
リズムが整ったら、お子さんが今日習ったことを家庭で得意気に教えてくれるような環境が出来上がっていくと、受験生活がスムーズに回りやすくなります。

2. 無理のない課題への取り組み

“先取り学習”という言葉が幅を利かせる昨今ではありますが、4年生は「地固め」の時期であることを忘れないでいたいものです。
学校の宿題や提出物などをきちんと出すことを優先し、さらに余力があるならば、塾の課題に向き合いましょう。

特に4年生は「算数の壁」が立ちはだかる時期です。これまで得意だった算数が突然苦手になってしまうのも珍しいことではありません。
例えば、「1は0.1が10個集まった数である」という小数の基本が定着しないとか、面積を求める公式に戸惑うなど、お子さんの「つまずきポイント」を把握しておく必要があります。今のお子さんに合った課題をクリアしていくことが大切です。

もし、どうしたらいいかわからなければ、ぜひ、塾の先生に相談してみてください。
プロの力を借りながら、一歩ずつ山を登るイメージで取り組んでみましょう。

3. 基礎計算問題と漢字練習のルーティン化

受験勉強は、ある程度「ルーティン化」しておくことが必要です。ルーティン化とは、この時間には布団に入る、この時間は遊ぶ、この時間は集中して勉強に取り組む、などの大まかなスケジュールを決めておくということです。

特に4年生から必要なルーティンは「計算と漢字」です。どの学校の入試であっても、このふたつは基本中の基本。1日ほんの5分ずつでいいので、毎日歯磨きするのと同じくらいの感覚で、暮らしに取り入れることをお勧めします。
6年生になるころには「やらないと、逆に気持ちが悪い」くらいになるのが理想です。演習問題に取り組む前のウォーミングアップにもなりますから、この時期から習慣づけしておくとよいでしょう。

これからの受験生活を支えるものは

以上、新4年生の1年間の注意事項をお話ししました。
中学受験の学習は長期戦になります。思うように成績が伸びなかったり、受験自体を諦めるべきか悩むことがあるかもしれません。この長い戦いの最中は、親も子も右往左往することが、むしろ普通です。
しかし、中学受験の勉強で蓄えた知識は一生ものです。受験結果がどうであれ、わが子が自分の力で身につけた知識は誰にも奪いようがないものです。

長期戦を戦い抜くために重要なのは、お子さんが新4年生になる今のタイミングで「なぜ中学受験をするのか?」という問いに、わが家なりの明確な答えを出しておくことです。これは受験生活を支える一番のポイントではないかと思っています。この点を家族でよく話し合ってみてください。

著者プロフィール

鳥居りんこ
鳥居りんこ
とりいりんこ

作家&教育・介護アドバイザー。2003年、長男との中学受験体験を赤裸々に綴った初の著書「偏差値30からの中学受験合格記」(学研)がベストセラーとなり注目を集める。保護者から“中学受験のバイブル”と評された当書は、その後シリーズ化され、計6タイトルが出版された。自らの体験を基に幅広い分野から積極的に発信し、悩める女性の絶大な支持を得る。近著に『【増補改訂版】親の介護をはじめたらお金の話で泣き見てばかり』(双葉社)、『【増補改訂版】親の介護は知らなきゃバカ見ることだらけ』(同)、『親の介護をはじめる人へ伝えておきたい10のこと』(学研プラス)、企画・取材・執筆を担当した『女はいつも、どっかが痛い がんばらなくてもラクになれる自律神経整えレッスン』(やまざきあつこ著・小学館)、『たった10秒で心をほどく 逃げヨガ』(Tadahiko著・双葉社)、『1日誰とも話さなくても大丈夫 精神科医がやっている 猫みたいに楽に生きる5つのステップ』(鹿目将至著・同)、『神社で出逢う 私だけの守り神』(浜田浩太郎著・祥伝社)、『消化器内科の名医が本音で診断 「お腹のトラブル」撲滅宣言!!』(石黒智也著・双葉社)など多数刊行。最新刊は、取材・執筆を担当した『黒い感情と不安沼 「消す」のではなく「いなす」方法』(やまざきあつこ著・小学館)。

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