大学附属校進学を考える
中学受験で大学附属校が人気のわけは
中学受験では、数年前から「大学附属校」の人気が続いています。
理由としては、文部科学省主導で行われている「大学入試改革」が大きく影響しているといわれています。
ご存じのとおり、2021年1月より大学入学共通テストが始動しました。今後も大学受験は新制度の導入が予測され、しかも今は過渡期ということもあって、受験生は翻弄され続けている実態があります。
その上、「私立大学の入学定員厳格化」の影響によって合格者が絞り込まれており、有名私大の難関化が目立っていることも大学附属校人気に拍車をかける結果となっています。
さらに、新型コロナウイルス感染症の広がりによる不安感もあいまって、「不透明な時代だからこそ、少しでも進路上、安心安全な附属校に進ませよう」と考える層が増えているのです。
親たちが、より早い段階での「大学合格切符」という保険を持とうと躍起になっている、とも言えるかもしれません。
大学附属校の魅力
大学附属校のメリットとして、高校生の段階で併設大学の教授の講義を受けることができ(実際に単位が取れるケースもあります)、大学施設を利用できること、また、リベラルアーツやビジネス、グローバルな視点が身につくといったような、受験に縛られないカリキュラムが用意されていることも特徴です。
これらにプラスして、何といっても一番の魅力は「大学受験をしなくてよい分、部活動など、興味のある分野をトコトン極めることができる」という点でしょう。
しかし、「大学受験がない=簡単に併設大学への合格切符がもらえる」と考えるのは早計です。難関の大学附属校になればなるほど、「勉強しなくてもいい」というような甘い世界が広がっているわけではないのです。
確認すべきは「内部進学率」
一口に大学附属校といってもさまざまな学校があります。
大きな違いは内部進学率の違いです。
ほぼ全員が内部進学する学校と、他大学へ進学していく生徒のほうがむしろ多いという学校に分かれます。
これは「附属校」と「系列校」という違いが大きいのですが、学校名だけを見ると同じ大学の附属校に見えるので、受験前にきちんとチェックしておくことが大切です。
附属校は大学と同じ学校法人が運営、系列校は大学と別の学校法人が運営しています。
同じ法人が運営している方が結びつきは強いと言えるかと思います。
つまり、附属校の生徒はそのまま併設大学に行くことが多く、系列校の生徒の内部進学率は学校によってさまざまです。系列校は推薦枠という“枠”を持っているだけだから、学校によって違うと考えるとわかりやすいかもしれません。
もちろん、その系列大学推薦枠は、附属校以外の中高一貫校の推薦枠よりはかなり多いことが普通ですが、「生徒全員」がその大学に進学できるわけではないということは、しっかりと把握しておきたいものです。
入学後も勉強をおろそかにできない理由
附属校であったとしても、併設大学の学部選択は成績順です。必ずしも、希望学部に行けるとは限りません。
成績面で頑張らないと希望学部の推薦はもらえないことになりますし、大学側も一般受験で入ってきた学生との学力格差には敏感です。レベルを合わせないといけないので、難関校ほど、課題提出を含めた学習は厳しいものになっています。
それゆえ、入学後も決して塾いらずではなく、大学附属校御用達補習塾や、レポート専門塾、家庭教師にお世話になる生徒は意外とたくさんいるのが現実です。
また、希望する学部が併設大学には存在しないというケースも多々あることにも注意が必要です。
さらに、他大学を受験する場合に併設大学をセーフティネットにできる学校、学部によってできる・できないがある学校など、さまざまなケースがありますので、「他大学進学の場合」と「併設大学進学の場合」という両方を検討しておく必要があると思います。
このように、大学附属校を志望校に選ぶ場合には「内部進学率」を調べておき、同時に同じ大学附属であっても各校で異なるメリット・デメリットの洗い出しをしておくことをお勧めします。
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