読書を考える
特に、6年生の夏休みは「天王山」とも呼ばれるだけに、学習量も多く、親子で大変な思いをしがちです。できれば楽しみながら、受験の夏を乗り切りたいものです。
そこで、今回はお子さんの「余暇時間の有効活用法」について、お話ししたいと思います。
思い切って“休日”を取ることがリフレッシュになる
受験勉強にはメリハリが重要です。何十時間も勉強し続けたら成績がグングン上がっていくということであれば、それはそれで嬉しいことかもしれませんが、現実は逆で、成績は下がっていくでしょう。
受験に必要なのは、学習時間の多さではなく、集中力だからです。
脳が疲労した状態では、良いパフォーマンスは期待できません。
つまり、適度な休憩タイムを意識的に取った方が効率的なのです。
これからの夏休み、思い切って“休日”を取ることが、逆にリフレッシュになるのかもしれません。
休憩タイム、つまり余暇時間は勉強時間同様、とても大事なことなのです。
ゲームでひと息つくのも良し、一緒に親子で料理をするのも良し、何もしないのも良し、その時の状態や気分で、どう過ごすかを自分で決めて実践することが良いと思います。
しかし、もし親御さんが「ゲームばかりしているのは……」と思い、その依存を心配されるなら、試しにこういうことをしてみたらいかがでしょうか。
子どもが好みそうな本を手に取りやすい位置に置いておく
これは、難しい本や、いかにも受験に役立ちそうな本である必要はありません。
あくまで「余暇」なのです。
それゆえ、漫画でも良いのです。
例えば、『ドラえもんの学習シリーズ』(小学館)であったり、『学研まんが・ひみつシリーズ』(学研プラス)であったり、『学習まんが・日本の歴史シリーズ』(集英社)などは、漫画という視覚的な手助けがあるので、子どもたちに受け入れられやすいのです。
もし、それから興味が出てくるようでしたら、今度は文字だけのものに移行しても良いでしょう。
『怪盗ルパン』などの推理もの、『ファーブル昆虫記』といったノンフィクション、『ハリー・ポッター』などのファンタジーもの、もちろん、森絵都、重松清というような中学受験頻出作家のものなども、子どもが興味をそそられるものであればOKです。
すき間時間の読書が、知識や語彙力を伸ばす
とても優秀だといわれている大学に通っている中学受験経験者の学生に聞くと、彼らは必ずと言っても過言ではないほど、幼い頃から本は身近な存在だったと証言します。
やはり、受験は語彙力勝負でもあるので、読書で知らず知らずに知識を蓄えていたのだと思います。
実際、彼らには以下のような共通点があります。
「中学受験時には、すき間時間を利用して読書をしていた」
つまり、休憩時間に読書をしていたのです。
ある学生(東京大学・航空宇宙工学専攻)は、次のように教えてくれました。
「今、考えると親が策士だったと思います(笑)。時々、私好みの本が1冊だけ、リビングに置いてあるんですが、それが微妙に隠してあるような感じで……(笑)。すごく興味を駆り立てられて、手に取って夢中で読んでいましたね。ちなみに、それはロケットとか宇宙の本で、科学雑誌のニュートンもさり気なく置かれていました」
また、別の学生(東京大学・日本文学専攻)はこう言っています。
「ウチの母は模試が終わると、国語の物語文を広げて、こう言うんですよ。『この続きはどうなるのかしら? あなたはどう思う?』って。そう言われると、自分も続きが知りたくなって、母に図書館で借りてきてもらっていました。それで、作品の全文を読むことが段々と楽しくなってきたんです。思えば、あれが本好きに目覚めたきっかけだったと思います」
このように、はじめは親が、子どもが興味を引きそうだなというジャンルの本を選んで、さり気なく勧めています。
「楽しい」「興味が湧く」「ワクワクする」という経験は素晴らしいもので、それは読書であっても言えることです。
息抜きにやるゲームが悪いわけではありませんが、もし、中学受験生であるお子さんがすき間時間に読書を選ぶとするならば、それは結果的にお子さんの知識や語彙力を伸ばすということに直結していくでしょう。
ただし、無理強いは禁物です。読書は強要すると面白くなくなってしまうものだからです。
もし、今まで子どもに本を触らせてこなかったご家庭で、「やっぱり、本好きにさせるのも良いかな」と思われた場合には、この方法を試してみてはいかがでしょうか。
もし、お子さんがハマってくれたら、これも親子の楽しい思い出になることでしょう。
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