初秋のスランプを考える
夏休み明けにおとずれる「底」
中学受験生である6年生の秋は、多くの子たちが「底」を見る季節です。2学期のスタートと共に、今まで取ったこともないような下落した偏差値を見て、愕然とすることが多いでしょう。
そうです、“スランプ”の始まりです。
考えられる原因はおもに5つです。
1.夏の疲れが一気に来る
2.秋は学校行事が多く、最高学年であるために、その長に選ばれやすく時間がなくなる
3.夏休みの総復習の時期に“穴”を見つけて、混乱している
4.全員が本気モードに突入してくる
5.過去問に歯が立たず、焦りを感じる
1.夏の疲れが一気に来る
単純に酷暑の夏で、想像するよりもはるかに体力を消耗したということが考えられます。
また、夏休みは朝から晩まで、塾漬けになってしまうケースもあるので、うまく息抜きができなかったときなど、一時的な“燃え尽き症候群”のようにやる気がなくなる場合があります。
これは大抵の場合、一時的なものですので、普段以上に栄養と睡眠に気を付けて、体調を整えていくことで、自然と戻って行きます。
2.秋は学校行事が多く、最高学年であるために、その長に選ばれやすく時間がなくなる
今までも、学校と塾の両立で忙しかったのですが、その上に学校行事が重なるので、疲労が蓄積されます。
また、中学受験生はその長にも選ばれやすい傾向があるので、ストレスがかかります。
しかし、行事も素晴らしい体験ですし、仲間をまとめるという任務は子どもを一段と成長させるでしょう。達成感を持って行事を終了させることで、受験にも良い影響が出ますので、親は子どもの愚痴を聞きつつ、見守ってあげてください。
3.夏休みの総復習の時期に“穴”を見つけて、混乱している
多くの塾では、夏休みを総復習の時間にあてます。
5年生あるいは4年生で習ったはずのことを忘れてしまった、またはまったく理解できていないという“穴”を発見しやすい時期が夏休み明けなのです。
土台がぐらついていることが分かるので、焦りを呼び、それが点数にも影響を与えてしまうという悪循環が始まります。
ここは、親こそがいったん落ち着いて、「今のうちに穴が見つかって良かった」という前向きな方向に舵を切ることが重要です。
4.全員が本気モードに突入してくる
中学受験生の中には、サッカーや野球、あるいはバレエなどの習い事と受験勉強を両立させてがんばる子がいますが、大きな大会や発表会を区切りに受験一本に絞る時期でもあります。
つまり、その子たちが受験に本気で参入してくるということです。
また、全員の意識が受験本番に向いてきますので、思うような偏差値を得られない場合が出てきます。
しかし、「継続は力なり」です。
やはり、受験は持久戦。腐らず、めげずに、やるべきことを淡々とこなしていく子が合格します。
5.過去問に歯が立たず、焦りを感じる
秋は過去問に着手するシーズンです。
解いてみたものの歯が立たなかったというケースが続出するでしょう。
しかし、初回で合格最低点をクリアする子は少数派です。
過去問は志望校の出題傾向が分かるという、受験生側から見れば、大変ありがたいものです。
合格最低点以上の得点を取るというよりは、志望校の“癖”に注目して、それに慣れる意味合いが強いのです。
併願校を含め過去問に挑戦するべき学校の数、過去問を解く年数なども含めて、親子で、ときには塾の先生を交えて、話し合いをしてください。
実際に取り組む際には、無理のないスケジュールを立てることが必要です。
思うような得点が得られない時には焦りを感じますが、受験本番は冬なので、時間はまだたっぷり残っています。諦めずに粛々とスケジュールを実行しましょう。
また、過去問を解くことで、子どもがその学校の入試問題と相性が良いかどうかが分かります。
相性の良い学校が見つかると、子どもはそれだけでも安心しますので、“学校との相性度”という観点からも見ていくことで、併願校が絞れてくるでしょう。
「今が底」を胸に秘め、「応援団長」に徹する
このように、初秋から秋本番までは、ふとしたことで、これまで積み重ねてきた自信が崩れる時期でもあります。しかも、上記の事柄、ひとつひとつが微妙に絡まって、問題をより複雑化させるケースがとても多いのです。
しかし、底まで沈んだら、もう上がるしかありません。
子どもが自信をなくし、ストレスフルになっている時こそ、親は「今が底」という言葉を胸に秘め、「応援団長」の役目に徹することがとても大切なのです。
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