おかあさんの参考書
はっぱをかける~普段からできる「子どものやる気を引き出す習慣付け」とは?

はっぱをかける~普段からできる「子どものやる気を引き出す習慣付け」とは?

菅原裕子

ハッパをかけ続けても効果は期待できない

親にとって気になることのひとつが、子どものやる気です。

特に受験ともなると、やる気を出して日々の学習に取り組むことが重要です。

ところが、子どもはなかなかやる気を見せないことが多いもの。

そんな時、どういうふうにすればやる気を出せるのかを考えてみましょう。

ここでまっ先に考え付くのが「ハッパをかける」ということです。

もちろんそれも大事なことですが、6年生であれば1年間、5年生であれば2年間、受験のための準備を進める上で、その都度ハッパをかけ続けるというのは、効果的とは言えません。

そもそも、小学校の高学年ともなると、親の言葉だけではそう簡単に動かないでしょう。

逆に、下手な言葉に反応して、「やる気がなくなった」などと言われてしまう可能性もあります。

ここでは、なぜやる気になれないのかを考える前に、やる気に関する根本的なことから考えてみましょう。

根本を押さえておくことで、子どものやる気アップのお手伝いをすることができます。

将来に夢を感じさせる

子どもにとっての「好き」の対象は、人によって異なります。もちろん、男子と女子でも違います。

例えば、男子の将来の夢の第1位はサッカー選手だそうですが、子どもがみんなスポーツ好きとは限りませんし、「本ばっかり読んでいる」からといって本好きとは限りません。

子どもが興味を持つものはいろいろあるのですから、十把ひとくくりにしないで、自分の子どもが何に興味があって、どんなことに夢中になっているのかを観察することが重要です。

そうやって子どもの「好き」が分かれば、それと子どもの未来を結び付けた会話が可能になります。

「それって科学者の仕事だよね。新しい素材を開発してヒトの暮らしを進化させるなんてすごいね。きみもそんな仕事ができるようになるといいね」などと会話ができれば、「勉強しなさい」などというよりも、はるかに子どものやる気を後押しすることができます。

子どもの今の好きなことを認めて、それと将来を結び付けることです。

将来に夢を感じさせることが大切なのです。

成長する楽しさを体験させる

人にとって「できる!」と体験するのは、大変うれしいことです。

子どもにとってもそれは同じで、ましてやそれを周囲から認められれば、なおやる気になります。

ですから、塾などではよく、子どもの習熟度に合わせて学習を進めます。習熟度合いが大きく異なる子と比べて、やる気をなくさせないためです。

周囲と比較して、どのくらいできていないかではなく、以前のその子自身と比べてどのくらいできるようになったかを意識させることが重要です。

自宅でも、学校のテストや塾での成績を細かく見て、とにかくできるようになったことを探してみましょう。

1点でも成績が上がったり、以前解けなかった問題が解けるようになったりしたら、「できるようになったね」「成績あがってきているよ」と自然体で認めることです。

ただし、大げさに「すごい、すごい」などと褒めると、子どもはかつがれる危険を感じて余計に嫌になります。

さりげなく、自然体で認めることが重要です。

そうすることで、子どもは自分が伸びている、成長しているというワクワク感を体験することができます。

そのワクワク感が、子どものやる気を後押ししてくれるはずです。

小刻みに学習計画を立てる

大人は、1年先なんてすぐやってくることを経験的に知っています。ところが、子どもにとって1年先・2年先は、大変遠い未来のことです。

その遠い未来に向かってがんばれと言われると、絶望的な気持ちになるのではないでしょうか。

そこで、子どもにも分かるように、小刻みに学習計画を立ててみましょう。

学習計画とはいえ、かっちりとしたものである必要はありません。

例えば、ゴールデンウィークまでに一番の弱点である算数の計算問題の正解率を上げておこうとか、苦手な漢字の書き取りを克服しておこう、というふうに、身近な見える未来に目標を置けば、一つひとつ着実に苦手を克服していくことができます。

そこでお勧めなのが、その期限が来たらいったん完了として、完了の儀式を設けることです。

「正解率が上がりました。今夜はみんなで外食しましょう!」というふうに、いつもよりちょっと違うことを、完了の儀式にすればいいでしょう。

受験の期間を短く刻むことで、子どももがんばろうという気持ちを持ちやすくなります。

今回は、子どもをやる気にさせる方法を3つほど挙げてみました。

どうもうまく学習に取り組めていないなと思ったら、「勉強しなさい」のひと言よりも、なぜなんだろうと考える親の余裕がほしいものです。

著者プロフィール

菅原裕子
菅原裕子
すがはらゆうこ

NPO法人ハートフルコミュニケーション代表理事。有限会社ワイズコミュニケーション代表取締役。1977年より、人材開発コンサルタントとして企業の人材育成の仕事に携わり、従来の「教え込む」研修とは違ったインタラクティブな研修を実施。参加者のやる気を引き出し、それを行動に結びつけることで、社員と企業双方の成長に貢献。後に、企業の人育てと自分自身の子育てという2つの「能力開発」の現場での体験をもとに、子どもが自分らしく生きることを援助したい大人のためのプログラム「ハートフルコミュニケーション」を開発。各地の学校やPTA、地方自治体の講演やワークショップでこのプログラムを実施し、好評を得ている。著書に『子どもの心のコーチング』『子どもの「やる気」のコーチング』(以上、PHP文庫)、『子育てが変わる親の心得37』(幻冬舎)等。

公式ホームページ『NPO法人 ハートフルコミュニケーション』


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