おかあさんの参考書
夏休みは受験生にとって大事な時期。 そんな夏休みを迎えるにあたって、親が心掛けるべきことは?

夏休みは受験生にとって大事な時期。 そんな夏休みを迎えるにあたって、親が心掛けるべきことは?

菅原裕子

中学受験をめざして小学3・4年から準備をしてきた親子にとって、夏休みは正念場。

この時期をどう過ごすかは、受験の結果に大きな影響を与えるとあって、気を引き締めていることでしょう。

受験の専門家や塾の先生は、普段の3倍の勉強量は普通であるというところ。

ここでは、親の役割に意識を向けてみたいと思います。

高校・大学受験ともなれば本人次第ですが、中学受験はまだまだ親の関わり方が大きな成果に結びつく可能性のある時期です。

子どもの受験コーチとして、この時期に親が子どもをどうサポートすればいいかを考えましょう。

夏をどう過ごすかの明確なテーマを決めることで、子どもに達成感を体験させる

夏休みは正念場いうことで、とにかくたくさん勉強させようと詰め込みがちになりますが、これはあまり効果的なやり方とは言えません。

子どもにしてみれば、とにかく課題を追いかけるので精いっぱいになります。

そうすると、機械的にこなすようになって、ていねいに読んだり、計算したりということがおろそかになってしまいます。

また、すごくやっている割に成果が見えないということになると、子どもは疲れを感じやすくなり、夏休み明けに成績不振に陥ることもあります。

そこで、有意義な夏休みを過ごすためにも、はっきりとしたテーマを持つことをお勧めします。

たとえば、子どもの傾向を振り返ってみて、ていねいさに欠けて小さなミスが多いようであれば、「よく読み、よく聞き、正しく理解する」をテーマにしてみましょう。

親子で話し合い、テーマとなることを標語にしてもよいかもしれません。

また、親も子どものできないところを探すのではなく、できるところを探すように心がけましょう。

子どもがテーマを持つと、親はつい、できていないところを探して指摘しがちです。

「きちんと読みなさいって言ったでしょ」「最後まで聞きなさい、約束でしょ」などと言われると、子どもはテーマを持つことが嫌になります。

できていない時にできていないことを指摘するのではなく、できた時にできたことを指摘してあげてください。

「落ち着いて聞いてくれてありがとう」「なるほど、よくわかったね」という具合です。できたことを指摘された子どもは、テーマに取り組む意欲がどんどん増すでしょう。

ONとOFFをはっきりさせる

夏休みを境に本格的な受験体制に入ります。

秋になると受験校も決まり、模擬試験を受ける機会も増えていきます。

否応なしに子どもの緊張も高まっていきます。

できれば夏休み中に、親子で息抜きの時間を作ることを計画してください。

この大切な時期に息抜き? そんな時間があったら勉強よ! と思うかもしれませんが、残りの半年を乗り切るためには、重要なOFFタイムなのです。

学習の合間を縫ってプールでひと泳ぎしたり、家族そろって外食を楽しんだり、子どもの希望を取り入れて、時には友達や家族と楽しむ時間を取りたいものです。

これは1日の生活の中でも言えることですが、ONとOFFをはっきりさせることをおすすめします。

ONの時は集中できるような環境づくりをし、OFFの時はしっかり休ませることです。

睡眠をしっかりとり、食事を楽しむなど、基本的な生活を整え、健康を管理します。

OFFタイムは、精神的な健康や、やる気を維持するためにも役立ちます。

余裕を持って子どもの話を聴こう

夏休みは、「なんとか合格させたい」「合格しなかったらどうしよう」などと、親が不安を持つことで、ついつい厳しい声がけをしてしまいがちな時期です。

そんな時ほど、親の笑顔と自信のある優しい声掛けが、子どもの気持ちを安定させて、よい方向へと導きます。

口角をあげて元気な声で「おはよう」から始めましょう。

そして、1日の最後には「今日もよく頑張りました」と声をかけてください。

肯定的な声掛けは子どもに話す機会を与えます。

頑張ったという自覚のない子は、言い訳を始めるかもしれません。

それでもいいのです。話を聴いてください。

ここで、「ちゃんとやったの?」などと否定的な声がけをすると、子どもは親と話したくなくなって、親を避けるようになります。

頑張ったことでも、頑張れなかったことでも、何であれ親が聴くことで、子どもの心は安定するのです。

著者プロフィール

菅原裕子
菅原裕子
すがはらゆうこ

NPO法人ハートフルコミュニケーション代表理事。有限会社ワイズコミュニケーション代表取締役。1977年より、人材開発コンサルタントとして企業の人材育成の仕事に携わり、従来の「教え込む」研修とは違ったインタラクティブな研修を実施。参加者のやる気を引き出し、それを行動に結びつけることで、社員と企業双方の成長に貢献。後に、企業の人育てと自分自身の子育てという2つの「能力開発」の現場での体験をもとに、子どもが自分らしく生きることを援助したい大人のためのプログラム「ハートフルコミュニケーション」を開発。各地の学校やPTA、地方自治体の講演やワークショップでこのプログラムを実施し、好評を得ている。著書に『子どもの心のコーチング』『子どもの「やる気」のコーチング』(以上、PHP文庫)、『子育てが変わる親の心得37』(幻冬舎)等。

公式ホームページ『NPO法人 ハートフルコミュニケーション』


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