医学部に合格するための具体的勉強法

study tips to pass medical school

医学部入試では、とくに単科医科大を中心として、応用レベル・発展レベルの大変な難問がたびたび出題されます。たしかに、一部の最難関校では、このような難問でもある程度までは得点できなければなりません。しかし、そのような例外を除けば、医学部入試では難問の出来で合否が決まることはありません。医学部の受験戦略としては、「難問をとる」ことではなく、「基本問題・標準問題で落とさない」ことが必要なのです。
ここでは、「医学部という進路」「学習計画と学習戦略」「もっと知りたい医学部受験」のカテゴリで述べてきた「総論」からもう一歩踏み込み、「各論」として教科・科目別の対策と、個別対策を超えたより実践的な対策に触れていきます。医学部用の受験勉強に必要なステップである「入試基礎固め」「典型問題演習」「過去問演習」「共通テスト対策」「面接対策」「小論文対策」の具体的な方法論を確認し、日々の受験勉強に落とし込んでください。

【医学部受験用 教科・科目別対策⑦】物理の勉強法(入試基礎固め・典型問題演習)

【医学部受験用 教科・科目別対策⑦】物理の勉強法(入試基礎固め・典型問題演習)

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この記事では、「医学部に合格するための具体的勉強法_物理・化学・生物に共通する学習上の大前提」の記事で触れた内容にもとづいて、物理の「入試基礎固め」「典型問題演習」に関する勉強法を述べていきます。

物理の「入試基礎固め」

問題演習よりも「イメージ理解」を優先する

物理という科目には、化学・生物とは大きく異なる点があります。それは、化学・生物は「目に見える事象」を扱うことが多い一方、物理は電流や電磁気のような「目に見えない事象」を扱うことが多いという点です。実験では、「目に見えない事象」も「ビジュアル」で可視化され、データとして記録されます。しかし、たとえ実験で視覚的に表現されるとしても、「目に見えない事象」を「ビジュアル」のイメージとしてとらえることは、「目に見える事象」のイメージ化よりもはるかに大変です。
受験勉強の目的は、問題が解ける実力を習得していくことにあります。しかし、物理では、実験のイメージが「ビジュアル」としてパッと思い浮かばない限り、問題を解くことは不可能です。物理については、「入試基礎固め」の段階では、問題演習よりも、実験の「イメージ理解」を優先してください
「イメージ理解」用の教材としては、資料集が最適です。『視覚でとらえるフォトサイエンス物理図録』(数研出版)などを使いましょう。資料集に出てくる実験をすべて脳内で「映像化」するつもりで読み込んでください。

「入試基礎固め」を構成する「模式化」と「数式化」の2ステップ

物理には、2つの学習ステップがあります。1つ目のステップは「模式化」、2つ目のステップは「数式化」です。
「模式化」とは、いくつかの事象に共通する視覚的なイメージを一般化してとらえていくという過程です。たとえば、リンゴが木から落ちるという事象と、サルが木から落ちるという事象を「リンゴもサルも、地面と引き合った結果、木から落ちた」という共通のイメージでとらえ、「リンゴと地面との間、サルと地面との間には、互いに引き合う力(=引力)が働いた」という一般的な規則性を見いだしていくプロセスを意味します。
一方、「数式化」とは、「模式化」によって発見された一般的な規則性を公式・定理として数式によって表現していくというプロセスです。たとえば、引力の考え方を地球上の物体だけでなく宇宙全体に存在する物体にまで拡張した「万有引力の法則」としてFGMm/R2という数式で示していく過程を意味します。
物理の勉強を始めた人の多くは、教科書や参考書に載っている公式・定理をいきなり丸暗記しようとします。しかし、このやり方は悪手です。「数式化」の前段階に相当する「模式化」を飛ばしているからです。
「入試基礎固め」の段階では、先述の「イメージ理解」と並行し、「模式化」と「数式化」の2ステップによって、丸暗記をともなわず、公式・定理を体系的に習得していきましょう

独学が厳しければ、指導者に頼る

元も子もないことを言ってしまうと、物理は、そもそも独学が難しい科目です。先ほど述べたとおり、「目に見えない事象」である電流や電磁気の「イメージ理解」は大変です。また、物理実験で設定される「条件」は複雑ですから、その前提から自力で分析・考察を進めていくことも大変です。もし『物理のエッセンス[力学・波動]』『物理のエッセンス[熱・電磁気・原子]』(以上、河合出版)、『大学入試 漆原晃の 物理基礎・物理[力学・熱力学]が面白いほどわかる本』『大学入試 漆原晃の 物理基礎・物理[電磁気]が面白いほどわかる本』『大学入試 漆原晃の 物理基礎・物理[波動・原子]が面白いほどわかる本』(以上、KADOKAWA)など、解説がていねいな参考書を使っても成績が上がらない場合には、物理指導のエキスパートである塾講師や家庭教師などに頼ることも検討してください。

物理の「典型問題演習」

実験データに関する「情報収集」「情報整理」の方法を学ぶ

物理の「典型問題演習」におけるトレーニングで不可欠なのは、実験データに強くなることです。
入試問題の題材として出てくる実験では、必ず膨大なデータが示されます。データは、文章形式で示される場合もありますが、多くは表形式、もしくはグラフ形式などによって表されます。
「典型問題演習」では、文章・表・グラフの各形式で示されたデータにもとづく「情報収集」「情報整理」の方法を学んでいきましょう。「情報収集」とは「データから情報を読み取る」方法、「情報整理」とは「読み取れた情報を、出題されたデータと整合させながらまとめていく」方法です。演習用の参考書としては、『名問の森 物理[力学・熱・波動Ⅰ]』『名問の森 物理[波動Ⅱ・電磁気・原子]』(以上、河合出版)、『物理基礎・物理の実験問題が面白いほどとける本』(KADOKAWA)などが適します。

解いたプロセスは、必ずノートに記録する

物理の実験問題を解く際に必要な「情報収集」「情報整理」の方法論は、問題を1回解くだけで終わりではなく、その後解いていくこととなるすべての問題に適用できなければなりません。そのためには、学んだ手法を自覚し、普遍的な解法に高めていくことが必要です。
問題を解く際には、「『自分が何を考えているか』を考える」という頭脳の働きが必要です。この作用は「メタ認知」と呼ばれます。物理の「典型問題演習」では、「メタ認知」の過程をノートに記録し復習時に見直すという「振り返り」を行いましょう。自分の頭の働きを認識し汎用的な方法論に昇華できれば、入試問題は、いつでも・どこでも・同じやり方で解けるようになっていきます。

 参考URL 「計算気象予報士の『知のテーパ』」:「モデル」とは何か? 物理学的なモノの見方・考え方
https://blog.goo.ne.jp/qq_otenki_s/e/0127ce33a42f1b8c5848eaf5cf43f92a

■本気で医学部をめざすなら……医学部受験専門の個別指導塾・予備校[メディックTOMAS]
https://www.tomas.co.jp/medic/


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