最難関校合格を勝ち取る 中学受験の「算数」勉強法

Math Study Tips for Top Junior High School Entrance Exams

中学入試において最も得点差が開きやすい教科は、何といっても算数。最難関校の算数には、一見しただけではいったいどこから手をつけたらよいのかわからない難問が続出しています。
このカテゴリでは、最難関校の算数対策として必要な勉強法をじっくり説明していきます。

【中学受験の「算数」勉強法④】合格点をとるために必要な「過去問演習」の方法

【中学受験の「算数」勉強法④】合格点をとるために必要な「過去問演習」の方法

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ここでは、最難関校の「過去問演習」への取り組み時に注意すべき項目として、「問題文の読み取り方」「『試行錯誤』の鍛錬」「答案のまとめ方」の3つをご説明いたします。

問題文の読み取り方

「大問☞小問」の構成で怖いのは、最初の小問を落とした場合の総崩れ

「最難関校合格を勝ち取る 中学受験の『算数』勉強法_合格点をとるために必要な『分野別対策』の方法」の記事で触れたとおり、最難関校入試問題は、多くの場合、1つの大問中に(1)、⑵、⑶、……などの小問から構成されています。このつくりは受験生泣かせです。というのも、大問の最初に書かれているリード文(指示文)、あるいは最初の小問にあたる(1)の設問文が読み取れなかったり、たとえ読み取れても解答に落とし込んだ際にケアレスミスしたりすると、以降の小問である⑵、⑶、……が総崩れを起こしてしまうおそれがあるからです。

問題文の条件と自分の解釈を照らし合わせる

このような「全滅」を防ぐためには、小問(1)を解き終わった段階で、問題文として示されている条件と自分の解釈とが合っているかどうかを確認する必要があります。
たとえば、問題文中で例が与えられている場合があります。その際には、⑵以降の小問に進む前にいったん⑴の問題文に戻り、例として示されている条件と自分がめぐらせている思考の方向性とが一致しているかどうか、ここまで正しく操作しているかどうかを、いったん立ち止まって照合しましょう。このように、最難関校の入試問題は、解きながら確認していくことを受験生に求めているのです。

「試行錯誤」の鍛錬

問題文には逆らわない

「最難関校合格を勝ち取る 中学受験の『算数』勉強法_算数の攻略に必要な『時期ごとの取り組み』」の記事で述べたとおり、できそうなところから手をつけてあれこれやってみるという「試行錯誤」は、最難関校入試問題を攻略するうえで欠かせないプロセスです。
最難関校入試問題のほとんどは、それまでに学んできた解法がそのままでは当てはまらない問題、すなわち、「初見問題」です。こういう問題の場合、一読しただけでは、問題文が何を言っているか把握できません。
このような手ごわい「初見問題」を切り崩していくためには、自分勝手に考えず、問題文の要求へ素直に従うことが必要です。たとえば、最難関校入試でよく出てくる「数をいくつかのルールに従って操作しなさい」などの問題文に対しては、自分の主観を交えず、書かれているとおりに情報処理を行いましょう。このような手順も「試行錯誤」の一種です。

出題者は「神」だと思え

入試問題には、多くの場合、出題者側によってあらかじめ想定されている流れがあります。これは「誘導」と呼ばれます。「誘導」の例には、たとえば、「大問中の最初の小問である(1)が、以降の⑵、⑶、……を解くためのヒントになっている」などがあります。最難関校入試では、この「誘導」にうまく乗って「試行錯誤」できるかどうかで勝負がつきます。
受験生の中には、この「誘導」スタイルの問題を不得手とする子がよくいます。こういう子は、必ずしも算数の学力が低いわけではありません。しかし、指示されている流れに沿わず、無理やり自己流で解こうとするため、「誘導」問題で高得点がとれないのです。「誘導」形式の得点力を上げるためには、「とにかく答えさえ出せればよい」という姿勢を改め、出題者という「神」の言うことをすべて聞き入れるつもりで、問題文の条件を順番に抜け漏れなくおさえていきましょう

答案のまとめ方

「伝わりやすい答案づくり」に有効な「自己添削」

以下、記述式問題の「答案のまとめ方」について述べます。
たとえば、開成中や麻布中などの記述式問題の答案では、解いた過程・考えた過程を適切に表現することが求められます。そのためには、解いた過程・考えた過程を与えられたスペース内で要領よくまとめ、採点者に伝わりやすい答案へと整えていくことが必要です。
「過去問演習」において「伝わりやすい答案づくり」を実践するためには、答案の書きっ放しは厳禁です。書いた答案は、添削によってブラッシュアップしていきましょう
もっとも、受験生が何も見ずに自分の答案を客観的に評価することは不可能です。そこで、添削の参照用として、志望校の過去問集を使いましょう。過去問集に掲載されている解答と自分が作成した答案を照らし合わせて、間違っているところ、間違ってはいないが説明が足りないところ、反対に長々と書きすぎているところなどを赤ペンで加筆・修正していくのです。
その際に絶対NGなのは、元の答案を消してしまうことです。多くの子どもが、間違い答案を書いてしまった場合、恥ずかしさのあまり最初に書いた解答をなかったことにしようとします。しかし、この姿勢はいただけません。記述式問題対策で大切なのは、「ビフォー・アフター」を比較・検討することです。元の答案は、「ビフォー」から「アフター」に至る過程をたどるための記録として必ず残しておきましょう。
なお、参照用の過去問集は、1冊だけでなく、2冊以上用意してください。過去問集を何冊か見比べ、ベストな解答をいずれかの本から抜き出して、答案に反映していきましょう。このような「イイトコドリ」の「自己添削」によって、答案の精度を高めてください。

長すぎる答案は嫌われる

以下、答案のボリュームについてご説明いたします。
学校が模範解答を公表しているわけではないので厳密なことはいえないものの、一般的には、記述答案は短すぎても長すぎても適切ではありません
受験生の中には、記述式答案に図や式を含めず答えだけ書いてしまう子がよくいます。このような、結果だけの答案は減点の対象となります。また、反対に、「たくさん書いてアピールしよう」と考え、スペース内に記述をモリモリ詰め込んでしまう受験生も見られます。しかし、実施から合格発表までの期間が短く、採点に十分な時間が割けない中学入試の厳しいスケジュールの中では、このように長すぎる答案は採点者からしっかり読んでもらえず、低得点がついてしまうおそれがあります。
以上を踏まえると、答案は、必要な情報を簡潔におさえ、見やすくまとめることが必要です。答案には「これだけは絶対にはずせない」という要素のみを入れ、それぞれの要素の間を図や式で滑らかにつないでいきましょう。そもそも、現実問題として、たくさん書いていたら時間がかかりすぎます。採点者だけでなく受験者自身にも負担がかからないよう、答案作成では「シンプル・イズ・ベスト」を心がけてください。

まとめ


最難関校の入試問題ではたいてい、「誘導」として、「受験生にはこのように考えてほしい」という筋道が示されています。「過去問演習」では、このような「誘導」に従い、各校の出題意図に沿った答案づくりを意識しましょう。

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