
最難関校合格を勝ち取る 中学受験の「算数」勉強法
Math Study Tips for Top Junior High School Entrance Exams
中学入試において最も得点差が開きやすい教科は、何といっても算数。最難関校の算数には、一見しただけではいったいどこから手をつけたらよいのかわからない難問が続出しています。
このカテゴリでは、最難関校の算数対策として必要な勉強法をじっくり説明していきます。

【中学受験の「算数」勉強法②】算数の攻略に必要な「時期ごとの取り組み」
powered by Spec. TOMAS
中学受験算数のメインフレーム
ここでは、中学受験算数の大枠(メインフレーム)となる2つの項目を取り上げます。
算数の主要分野
「最難関校合格を勝ち取る 中学受験の『算数』勉強法_『算数が苦手』な原因はココにある」の記事で触れたとおり、中学受験の算数にはいくつかの分野が含まれます。主要分野は、「計算」「図形」「文章題」です。
また、それぞれの分野は、さらに細かいテーマを含みます。たとえば、図形は「平面図形」「空間図形」、文章題は「割合や比」「規則性」「場合の数」などのテーマに分かれます。
時期別の学習計画
学習計画は、合格という最終目標からの「逆算」で決まっていきます。受験生個々人によるカスタマイズが必要ではあるものの、最難関校合格というゴールまで行き着くために進めるべき学習計画は、だいたい決まっています。標準的なカリキュラムは、おおむね以下のとおりです。
1・2年生 | 「数の感覚」の養成 |
---|---|
3年生 | 「図形の感覚」の養成と「試行錯誤」の経験 |
4・5年生 | 「単元学習」 |
6年生 | 「単元学習」の総仕上げと「過去問演習」 |
以下からは、この表にもとづき、学習計画の基本方針を説明します。
1・2年生:「数の感覚」の養成
「四則計算」をマスターする
1・2年生の子どもでも、たとえば「20-12」のような計算であれば難なく解けます。一方、たとえば数が大きくなる「70-22」のような計算となると、ほぼ同じ種類の計算でありながら、多くの子どもが「わからない」と言って投げ出してしまいます。その原因は、問題文の情報から数のイメージをつかんでいくことができないという「数の感覚」の欠如にあります。1・2年生では、小数や分数ではない数、すなわち整数しか習いません。1・2年生の段階では、整数に対する「数の感覚」を習得しておかなければなりません。そうでないと、整数に含まれない小数・分数の計算には、とうてい太刀打ちできないからです。
「数の感覚」は、計算トレーニングを通じて、数のイメージを把握していくという経験の積み重ねによってしか身につきません。1・2年生の段階では、「四則計算(足し算・引き算・掛け算・割り算)」の基本ルールを徹底的にマスターしましょう。
「四則計算」の主要パターンは、3年生までに習います。3年生になると、単純な計算だけでなく、「時間」「量」などがからむ高度な計算も出てきます。もし「四則計算」のトレーニングが順調に進むようであれば、1・2年生の段階から、「先取り学習」で3年生の範囲まで進みましょう。このように早くから勉強しておけば、本格的な受験勉強のために必要な時間的・精神的な余裕が生まれます。
問題文に含まれる数字の意味を考えて解く
「最難関校合格を勝ち取る 中学受験の『算数』勉強法_『算数が苦手』な原因はココにある」の記事でお伝えしたとおり、多くの子どもは、問題文に出てくる日本語をしっかり読まず、数字だけ拾って解こうとします。その結果、たとえば「文章題」に「8人乗って、4人降りて、3人乗る」などという問題文が出てくると、「乗る」のと「降りる」のがそれぞれ「足す」のか「引く」のかに迷い、混乱してしまうのです。
また、多くの子どもが引っかかるのが、「後ろから何番目にいるか」という問題です。たとえば、「10人並んでいる場合、前から3番目にいる人は、後ろから何番目にいるでしょうか」ときかれると、子どもが10人いるとしたら8・9人が「10-3」と計算し「7番目」と答えてしまいます。しかし、これは間違いで、正解は「8番目」です。「7番目」にいる人は「前から3番目にいる人」の後ろにいる人であり、「前から3番目にいる人」はそこに1を足した「8番目」だからです。
このように、たとえ1・2年生範囲の「文章題」であっても、問題文の中に含まれる数字の意味を考えなければ、正解には至りません。1・2年生の段階から、問題文に出てくる数字が持つ意味を考えながら解くというトレーニングを行い、「数の感覚」を磨いていきましょう。
3年生:「図形の感覚」の養成と「試行錯誤」の経験
図形問題の演習から「試行錯誤」の経験を積む
3年生は、1・2年生で養成した「数の感覚」の上に「図形の感覚」を塗り重ねていく時期です。
1・2年生の項目では触れませんでしたが、じつは、1・2年生の範囲にも「図形」は出てきます。ただし、1・2年生で扱う「図形」は、三角形や四角形などの基本図形のみです。また、扱うのは平面図形のみで、空間図形には触れません。一方、3年生になってから解くことになる問題は、たとえば、「ある図形の中に入っている三角形は何枚あるか」「その図形の中には三角形がどのように入るか」「紙を折るとどのように見えるか」などのように、平面図形と空間図形の両方の見方・考え方を試してきます。
上に示した例からわかるように、3年生で解くことになる図形問題は、どこから手をつけたらよいのかわからず、また正解に至るルートも幾通りか存在しそうな問題です。このレベルの問題だと、何か特定のテクニックだけに頼って一点突破することは不可能です。
このようにひねられた図形問題を解く唯一の方法は、できそうなところから手をつけてあれこれやってみるというやり方です。この方法は「試行錯誤」と呼ばれます。「試行錯誤」のトレーニングを積み重ねていくと、どんな問題も感覚に頼らず「なぜ」「どうして」という視点で論理的に解いていく力、すなわち「思考力」が身についていきます。
次の項目で述べるとおり、4年生からは、個々の単元に出てくる解法を習得していく「単元学習」という勉強が始まります。「単元学習」で覚えるべき解法は膨大です。4年生に入ってから「試行錯誤」の方法を身につける余裕はありません。問題演習を通じて3年生のうちから「試行錯誤」の訓練を積み、「思考力」の基盤を固めていきましょう。
勉強が順調であれば、3年生から「単元学習」に入れる
1・2年生の項目で、勉強がうまく行っているようであれば3年生の範囲まで「先取り学習」してもかまわない、と述べました。このことは、3年生についても当てはまります。3年生段階で「思考力」がある程度固まっている子の場合には、4年生に入るのを待たず3年生から先取りし「単元学習」を開始することが可能なのです。
このように、学習計画を全体的に繰り下げることができれば、受験勉強の最終段階である6年生からの「過去問演習」に使える時間が長く確保できます。受験勉強には、「早すぎる」ということはないのです。
整数範囲の計算であれば、3年生から「過去問演習」に入れる
上では、3年生からでも「単元学習」に入ることが可能だと述べました。さらにいうと、「単元学習」のみならず「過去問演習」に入ることすら可能です。
じつは、入試には、小数と分数を含まない範囲の計算がよく出ています。つまり、このような入試問題であれば、3年生までに習う整数の範囲だけで解けてしまうのです。
もし指導者に頼れる環境があれば、志望校として検討している学校の過去問から整数範囲の計算問題を指導者に選び出してもらい、お子さんに解かせてみましょう。憧れの志望校の入試問題に取り組ませることは、子どもの学力向上のみならず、モチベーション向上にもつながります。
4・5年生:「単元学習」
解法が適用される条件を意識して問題に取り組む
すでに述べたとおり、4・5年生は、「単元学習」によって受験範囲をひと通り終えることとなる時期です。この「単元学習」が始まる4年生こそ、受験勉強の実質的なスタート時期に相当します。
4・5年生では、毎週のように新しい解法・テーマを学んでいくので、子どもに大きな負荷がかかります。また、「小数・分数の掛け算・割り算」「割合や比」など、履修しなければならない単元・分野も多岐にわたるので、解かなければならない問題の抽象度も、3年生までに出てくる問題に比べて格段に上がります。「単元学習」こそ、受験勉強最大の難所です。
「単元学習」には、気をつけなければならないポイントがあります。それは、与えられた問題をただ解法に当てはめて機械的に解くのではなく、「どのような条件のもとで使うのか」を考えながら解く、という点です。「単元学習」では、あたかもコピーでも取るように解法を問題へ適用するのではなく、「自分はこの問題をどう解いているのか」という頭の働きを意識しながらトレーニングしていきましょう。このような「モニタリング」経験の積み重ねが、6年生から始まる「過去問演習」の土台となっていきます。
範囲も分量も膨大な「単元学習」は、とてもつらい勉強です。しかし、なんとかがんばって5年生までに終了させましょう。
6年生:「単元学習」の総仕上げと「過去問演習」
「過去問演習」の前に「単元学習」を取り入れる
6年生は、いよいよ試験本番に臨む受験学年です。6年生の学習では、志望校の入試問題を解いていくという「過去問演習」が中心となります。
もっとも、最難関校の過去問はいずれもレベルが高いため、6年生になった段階でいきなり解いて高得点を上げることは難しいはずです。そこで、6年生の前期では、「過去問演習」の足慣らしとして、まず「単元学習」の復習と実践演習を行ってください。
先ほど、「単元学習」は5年生までに終了させてほしいと述べました。しかし、多くの子どもは全範囲をさらうのに精いっぱいです。5年生終了時点で解法の定着・弱点の克服まで達成している子は、そう多くありません。そのため、6年生の最初の期間を使って上記のような「単元学習」の総仕上げを行う必要があるのです。
志望校の入試問題は、「もつれた糸を解きほぐす」というイメージで解く
「単元学習」の総まとめによって実践力を高めたら、6年生の後期からはいよいよ「過去問演習」に突入していきます。
「単元学習」と「過去問演習」では、分野と解法の対応関係に違いがあります。
「単元学習」で解くこととなる問題のほとんどは、出題される分野と解法が1対1に対応しています。「単元演習」に出てくる問題は、いったん「この分野から出ているな」ということがわかってしまえば、選ぶべき解法もおのずと決まります。一方、「過去問演習」で解くこととなる多くの問題では、出題される分野と解法が多対多の関係にあります。
「過去問演習」に出てくる問題、すなわち志望校の入試問題は分野横断の融合問題であるため、一見しただけで出題分野を特定することは困難です。当然、複数含まれる出題分野に対応して、解法も複数存在します。このような点から連想すると、「単元学習」の問題には「1本の糸からできている」というイメージ、志望校の入試問題(=過去問)には「何本もの糸がからみ合ってできている」というイメージがそれぞれ当てはまります。
過去問は、「何本もの糸がからみ合ってできている」状態のままでは解けません。「過去問演習」には、「もつれた糸を解きほぐす」というイメージで取り組んでいきましょう。具体的には、以下の3つの手順が必要です。
分野の特定 | いま目の前で取り組んでいる問題がどの分野から出ているかを、手を動かして図や式をかいてあれこれ試すことによって、なんとか見抜く ☞問題を構成している分野は、すべて特定する |
---|---|
解法の特定 | 特定した複数の分野ごとに、使用可能な解法を見抜く |
解法の適用 | 選び出した解法がどの順番で使えるかを考えながら、実際に解いていく |
じつは、上に挙げた「過去問演習」の手順こそ、3年生で経験している「試行錯誤」の過程にほかなりません。「できそうなところから手をつけてあれこれやってみる」というこのプロセスが、3年後に行う本格的な受験勉強に生きてくるのです。時期ごとに必要な取り組みを地道にこなし、夢の志望校合格を勝ち取ってください。
まとめ

受験勉強の本格的なスタート時期は「単元学習」が始まる4年生ですが、事実上は、3年生からの「試行錯誤」経験から受験勉強の火ぶたが切られています。6年生からの「過去問演習」に備え、それぞれの時期でこなすべき学習計画を着実に消化していきましょう。
■夢の志望校合格に導く 低学年からの難関中学・難関校対策個別指導塾[スペックTOMAS]
https://www.tomas.co.jp/spec/
オススメ記事
記事一覧
お近くのTOMASを見学してみませんか?
マンツーマン授業のようすや教室の雰囲気を見学してみませんか?
校舎見学はいつでも大歓迎。お近くの校舎をお気軽にのぞいてみてくださいね。