東大?それともハーバード!?
海外の名門大学をめざすという選択
【第1回】海外大学進学のメリット・デメリット
海外の大学進学を考えるにあたって、まず理解しておきたいのはメリット・デメリットでしょう。相当の費用と時間を費やさなければならないだけに、親子双方がきちんと納得したうえで、具体的に検討していく必要があります。海外の大学へ進学すると、どのようなメリット・デメリットがあるのか、どんな人が向いているのかを解説します。
海外大学進学の5つのメリット
【1】質の高い英語力が身につく
海外の大学で得られる英語力は語彙や文法などではなく、「伝える力」です。
語学的な知識は日本国内であっても高めていくことができますが、知識を駆使して自分の考えを相手に伝える力は、国内ではなかなか身につけられないのが現実です。
単純にスピーキング力が求められるだけではなく、多様なバッググラウンドや価値観を持つ人たちに対して、「どうしたら正しく伝えられるか」を考えなくてはなりません。
これは留学生がもっとも苦労するポイントであり、現地でトライアンドエラーを繰り返すことによって能力が磨かれていきます。
このような経験によって習得した本物の英語力は、その後のキャリアにおいて長く役立つのは間違いないでしょう。
【2】多様性への理解が深まる
特に中高一貫校に通っているお子様は、価値観が似通っている子どもたちと過ごす時間が多く、“阿吽の呼吸”でコミュニケーションが成立する環境に慣れきっています。
しかしさまざまな国から学生が集まる海外の大学では、そうスムーズにはいきません。
国籍も価値観も異なる人たちとともに学ぶ環境では、日本の常識にとらわれることなく、多様な考え方や心情を理解したうえでコミュニケーションをはかる力、つまり異文化コミュニケーション能力が高められます。
留学経験者に一番つらかったことを尋ねると、「当たり前だと思っていたことが、当たり前ではない」という回答が多く聞かれます。
育った環境が異なれば、必ずしも自分と同じ考え方をするとは限りません。
自分と相手が違うと知ることで多様性への理解が深まり、グローバル社会を生きるうえでのよい訓練になります。
【3】学校や専門領域の選択肢が多い
大学の数だけで考えてもアメリカには4,000校近い学校があります。
イギリスやカナダなど他の英語圏の大学も含めれば、それ以上の選択肢があるわけです。
日本国内の大学だけに限定するよりも、圧倒的な数の選択肢を検討できることは言うまでもありません。
また、海外の大学に特徴的と言えるのは、専門領域がかなり細分化されているということです。
たとえばガーデニングの領域でも、さらに日本庭園に特化した学科なども存在します。
学びたいことが明確になっている人にとっては、うってつけの環境が用意されていると言えるでしょう。
中高生が留学する場合は語学や異文化を学ぶ目的だけでも十分にモチベーションを保つことができますが、大学進学では単なる語学留学で終わらせてしまわないように「なぜこの大学を選ぶのか」をしっかり考えることが大切です。
【4】一人でやり遂げる力がつき、自立心が芽生える
中高生の場合、日本では家族との同居が一般的なので、どんなにつらいことがあったとしても、一日の終わりには必ず家族のもとに帰ることができます。
しかし海外留学は、何があっても自分を守ってくれる親元から離れなければなりません。
頼れる人がいない環境のなか一人きりで留学をやり遂げた経験は、子どもに自信と自立心を芽生えさせます。
留学から帰国した生徒たちはたった一年でも顔つきが変わり、「同級生が幼く見える」という声もよく聞かれます。
【5】将来、暮らす場所や働く場所の選択肢が増える
留学経験があれば、将来的に日本国内にとどまらず、海外で暮らしたり働いたりすることも検討できます。
以前、都内の難関高校に通う息子をアメリカのボーディングスクールに行かせたいという、研究職の親御様から相談を受けたことがあります。
「息子にも東大をめざして研究者になってもらいたいと考えているが、将来は何があるかわからないため、海外で研究を続けたりすることも検討できるよう、留学を経験させておきたい」とのことでしたが、こういった考えを持つ親御様は少なくありません。
新型コロナ感染症の世界的な流行に象徴されるように、不確実性の時代においては、これまでの常識が通用せず、何が起こるか予測できないという状況があります。
そうしたなかで生活拠点や仕事の選択肢を多く持っていることは、大きな強みになるでしょう。
海外大学進学の3つのデメリット
【1】新卒一括採用で就職活動ができない
海外では9月入学が一般的であるため、4月入学の日本で就職活動を行う場合、どうしても活動時期がずれてしまいます。
そのまま海外で就職するということであれば問題ありませんが、日本国内での新卒一括採用で選考に進むことはできません。
ただし、留学経験者を対象とした採用を行っている企業は日系大手や外資系を中心に多数あるため、就職自体への影響はほとんどありません。
また、アメリカの場合は毎年ボストンで開催される大規模な就職フォーラムが有名で、海外事業に力を入れている日系企業や外資系企業が多く参加するため、こうした場を活用して留学中に就職活動を進めることも可能です。
さらに今後はより優れた人材を確保するため、企業の新卒採用も現行のやり方から変化していくことが予測されます。
留学経験者を高く評価する企業は数多くあるので、むしろ帰国の時期にあわせて就職しやすい流れがいっそう整備されていくのではないでしょうか。
【2】日本の社会に再び適応するのが難しくなる
海外での生活が長くなるほど、帰国した際に日本の社会に適応できないという声は確かにあります。
状況によっては、それがデメリットととらえられる場合もあるかもしれません。
留学経験によって培われた価値観は、その後のキャリアを考えるうえで大きな指針となることは間違いありません。
やはり海外で活躍したいのか、それとも日本国内で人とは違った個性をもつ人材としてアピールしていくのか、どちらを選ぶかは人それぞれです。
逆に海外留学をしたからこそ、どちらでも自由に選べるとも言えるでしょう。
【3】自己管理能力が低いと危ない目に遭うリスクがある
海外で生活する以上、事件や犯罪に巻き込まれるリスクは決してゼロではありません。
どんな状況でも自分の身は自分で守らなければならないため、正しい倫理観をもって自律することが求められます。
周りに流されることなく、はっきりと「No.」を言えるようでなければ、留学は諦めたほうがよいかもしれません。
海外大学進学をおすすめしたい人
- 従来型の日本の教育が合わないと感じている人
- 将来的にグローバルな環境で活躍したい人
- 英語が苦手だけど上達させたい人
日本の社会においては場の空気を読んだり、周囲から浮かない発言をしたりする同調圧力が強い傾向にあり、教育の場においても少なからずその影響はあります。
一方、欧米では発言の内容以上に、「自分の意見を言うこと」自体が評価される傾向があります。
自分の個性を尊重してもらえる環境で学びたいという人には、海外大学進学は向いているでしょう。
少子化による国内市場の縮小が予測される日本では、今後ますます海外との関わりは強くなっていくでしょう。
日本で働くとしても、外国人と仕事をする機会は増えていくと考えられます。
将来グローバルな環境で働きたいと考えている人にとっては、留学経験は大きく役立ちます。
英語に苦手意識があり、手っ取り早く英語力をつけたいという人にも海外留学は大きな効果があります。
何年もかけて地道な勉強を続けていくより、海外の大学に進学して人間関係のなかで英語力を養うほうが、飛躍的に上達するのは確かです。
いまや世界中のどこにいてもLINEやSkypeなどを通じてリアルタイムのコミュニケーションが可能になり、留学中の寂しさや不安などは以前より解消されやすくなりました。
留学のハードルが下がり、海外で学びやすい環境がいっそう整ってきています。
現在、新型コロナの影響により海外への渡航が制限されていますが、海外留学へ向けて国内で準備を進めることは可能です。
海外大学進学を前向きに検討されている方は、ぜひ留学準備スクールなどをご活用ください。
オススメ記事
記事一覧
お近くのTOMASを見学してみませんか?
マンツーマン授業のようすや教室の雰囲気を見学してみませんか?
校舎見学はいつでも大歓迎。お近くの校舎をお気軽にのぞいてみてくださいね。