第4回 家計向上のための収支計画のポイント
(その2:支出編)

夢の志望校合格への教育資金シミュレーション【第4回 家計向上のための収支計画のポイント<br>(その2:支出編)】

前回ご説明したように、家計に残るお金を増やすためには、入ってくるお金を増やして出ていくお金を減らす必要があります。収入を増やすことは簡単ではないため、教育資金の計画を立てる際には、支出をいかに減らしていくかの検討が重要になります。

多くの人は支出を減らすというと「がまん」という言葉が頭に浮かぶと思います。実際のところ受験生がいる家庭の多くは、食費・被服費・娯楽費・交際費等、生活の質に関わる部分で、少なくない「がまん」をしているものです。

しかし一方で、通信費・光熱費・保険料・住宅費等、契約を見直すだけで支出が減る部分が手つかずのままという家庭が多いのも事実です。お得なサービスや制度を利用せず、結果として損をしているケースも多数みられます。

「がまん」をする前に節約することのできる支出はたくさんあります。世帯によっては1年間で100万円以上、20年間で2,000万円を超える節約になることも珍しくありません。

以下、とくに受験生がいる年代のご家庭で見直しておきたいポイントを整理しておきます。1日でも早く取り組めば、それだけ節約の効果が大きくなります。ぜひ、今日からでもはじめてみてください。

■ 通信料・通話料の見直し

インターネット回線やスマートフォンの通信費・通話料は、家計において節約効果の最も大きい支出の一つです。平均的な4人家族の場合、インターネット回線+固定電話+スマートフォン(1人1台)として、毎月の通信費・通話料は4万円程度になります。これを以下のような契約の見直しにより2万円未満に減らすことは難しいことではありません。さらに、契約を大手キャリアに限定する必要がない場合には、MVNO(格安SIM)に切り替えることで1万5千円程度まで減らすことが可能です。

普段使わない有料サービス・アプリを登録したままになっていないか
契約したもののほとんど使っていないサービスやアプリがあれば解約してしまいましょう。
現在の利用状況に合った契約になっているか?
インターネット回線のスピードや、スマートフォンのパケットプラン、無料通話プラン等が実際の利用状況に合っているか確認しましょう。過剰なプランに入っていても、過小なプランに入っていても、結果としては余計な料金がかかります。
無料通話アプリで済む連絡を、通常の通話で行っていないか
無料通話アプリの大半は、そのアプリを入れているユーザー同士の通話が無料になるだけでなく、一般の携帯電話や固定電話への通話料も安く済むようになっています。
利用することのできるWifi環境を活かしているか
ご自宅にインターネット回線があるなら、自宅ではWifiを使ってスマートフォンのパケット量を節約しましょう。外でも公衆無線LANを使うことでパケット量を節約することができます。
まとめることのできる契約を別々にしていないか
インターネット回線、固定電話(光電話)、スマートフォンの契約をまとめることで料金が割引になる場合があります。また、家族間で同じキャリアのスマートフォン・携帯電話を使っている場合には、大半のキャリアで家族割引が使えます。

■ 光熱費の見直し

平均的な4人家族では、電気代が月々12,000程度、ガス代が5,000円程度、合計17,000円前後の光熱費を必要としますが、下記の見直しによって3,000円以上の節約をすることが可能です。

電気の契約アンペア数が過剰ではないか?
東京電力等、ブレーカー容量で基本料金が決まっている電力会社では、契約アンペア数を落とすことで月々の料金を抑えることができます。4人家族の場合40~50Aあれば足りると言われていますので、たとえば東京電力で契約アンペア数が60Aの場合、これを50Aに下げるだけで月々286円節約になります。
電力会社の料金比較ができているか?
2016年4月の法改正で電力の小売が自由化されたことに伴い、消費者が電力供給会社を自分で選ぶことができるようになりました(いわゆる「新電力会社制度」)。ご家庭の利用状況に合った電力会社を選択することで電気料金を5%以上節約することができます。
ガス会社の料金比較ができているか?
電力と同様、2017年4月より都市ガスの自由化がはじまっています。こちらも適切なガス会社を選択することで5%以上の節約が可能です。LPガスについては元々自由料金制で、販売会社ごとに料金が異なります。契約先や契約内容の見直しで30%以上の節約となる場合もあります。

※ただし賃貸住宅のLPガス会社の切り替えは大家さんの許可が必要です。

電気・ガスの契約をまとめているか?
電気と都市ガスの両方を販売している会社の多くは、電気・ガスの契約を1本にまとめることで月々の基本料が100~300円、利用料が2~3%安くなる特待プランを用意しています。インターネット、携帯電話等との組み合わせプランを用意している会社もあります。
エネルギー効率の低い電気製品を無理に使い続けていないか?
白熱灯を蛍光灯やLED電球にすると8~8.5割もの電力を節約することができます。たとえば60Wの白熱灯を1日8時間使っている場合には、1個替えるだけでも月々約300円の節約になります。また、家電製品の中でも冷蔵庫は省エネ化が特に進んでいる製品で、10年前と比較すると消費電力が6割以上も減っている場合が少なくありません。数年分の電気代の差額で新製品が購入できるため、製造後10年を超えた製品を使い続けるよりは、新品に買い替えた方が経済的には有利です。

■保険料の見直し

保険の複雑な契約内容、補償・保証内容を、細部まですべて理解して加入している人はそれほど多くありません。そのようにして見逃している部分には節約のヒントが多数隠れています。以下を中心に、加入している保険の証券と約款をもう一度読み直してみましょう。

誤ったリスク判断による過剰な契約をしていないか
たとえば、マンションの高層階なのに家財の水災補償をつけていた、公的保険による保障内容を考慮しないで必要以上に高額な医療保険に入っていた、住宅ローンの団体信用生命保険のことを考えずに必要保障額をオーバーする保険に入っていた、等の過剰契約がよくあります。
複数の保険で保証内容の重複がないか
たとえば、火災保険や自動車保険に賠償責任特約を付けているにもかかわらず、家族の自転車保険にも加入するといった、補償・保障を重複させてしまっているケースが多々あります。世帯全体で3重、4重の重複になっていることも少なくありません。
年1回払いすることのできる保険を月払いにしていないか
どのような保険商品でも、年間の支払保険料は月払いよりも年1回払いの方が安価です。一般的には3%前後安くなります。学資保険等、貯蓄性のある保険での3%の差は、超低金利期の昨今としては大きなものです。昔と違い、年度の途中で解約した場合でも未経過月の分は戻ってきますので、一時的な出費が大きくなること以外のリスクもありません。
複数年契約することのできる損害保険を単年契約にしていないか
たとえば、火災保険を10年の長期契約にして保険料を一括で支払うと、単年契約の10年分の保険料と比べて約18%も安くなります。長期契約をして毎年支払う「長期年払い」という方法もあり、一括払いより割引率は落ちますが、単年契約よりも費用を抑えることができます。
料率を改定できる保険契約をそのままにしていないか
保険の料率は社会情勢や企業間の競争により随時改定されます。また、契約者側の条件が契約当初より大幅に改善される場合もあります。たとえば、以下のいずれかに該当する場合には、今の保険を解約し新たに契約することで保険料が安くなる可能性が高いです。

  1. ① 2019年4月よりも前に収入保障保険等の期間限定の(終身保障ではない)死亡保険に加入している
  2. ② 契約時には喫煙者だったが過去1年以上禁煙を続けている
  3. ③ 契約時には異常値だった血圧やBMIの値が正常値の範囲内になった
  4. ④ 契約時に受けていた治療(通院・服薬)が医師の診断により不要になった
  5. ⑤ 自動車の運転免許証がいわゆるブルー免許からゴールド免許になった。

■ 住宅費の見直し

家賃が不要/返済が終わっている持ち家に住んでいる場合を除き、住宅費は家計の中で最も大きな割合を占める支出項目です。賃貸にせよ住宅ローンにせよ「手取り月収の1/3未満が適正」とされるほどの大きな支払いが長期に渡って続きます。減額の率が少なくても、結果として減らすことのできる金額は大きなものとなりますので、以下を参考に少しでも減らす方法を考えてみてください。

高すぎる賃料を払っていないか
同じ地域でも賃料の相場は頻繁に変わるものです。また、住宅は年数が経つごとに価値が落ちていきます。長期間同じ賃料を払い続けている場合には、同条件の他の物件に引っ越すことで賃料を抑えることが期待できますし、更新時に賃料の値下げを交渉することも一般的に行われています。家賃を不変の固定費と考えず、日頃から近隣の同条件の物件と比較してみてください。
借りるよりも購入したほうが有利ではないか
2020年7月現在、住宅ローンの金利は過去最低の水準です。そのため、同条件の物件を借りるよりも購入した方が月々の支払いを抑えられるケースが多くなっています。新築物件や特定条件の中古物件では「住宅ローン減税制度」により所得税・住民税を一定期間減らすこともできます。

<参考>住宅ローン減税制度の概要:すまい給付金事務局ホームページ
http://sumai-kyufu.jp/outline/ju_loan/

金利が高い時代の住宅ローン契約をそのままにしていないか
前述のとおり、昨今は金利が最低水準になっていることから、住宅ローンの借り換え商品が増えてきました。(1)ローンの現時点の金利がおおむね1.5%以上、(2)返済期間が残り15年以上、(3)返済残高が1,500万円以上、このうち2つ以上に該当するようなら借り換えをすることで最終的な支払総額を減額できる可能性があります。たとえば10年前に3%台後半の高金利で組んだ35年ローン(フラット35)の物件であれば、途中解約の違約金・解約金を払ってなお、ローン総額の10%近い減額が期待できます。金利が安くなった分だけ期間を延長し月々の支払いを減らすといった先延ばし策も、家計向上の面では捨てがたい選択肢です。
他のローンと住宅ローンの一本化ができないか
住宅ローン自体の借り換えによる恩恵がなくとも、借り換えにより自動車や太陽光発電、リフォームのローン等の残債と一本化させることで、月々の返済総額を減らすことができる場合があります。大手銀行でもそのような商品を扱うようになってきました。

■ 特典を得られるサービス・制度の活用

官民を問わず、利用することで特典を得られるサービス・制度が多数存在します。もし以下の中で「存在は知っているが使っていない」というものがあれば、食べず嫌いをせず積極的に利用してみてください。

クレジットカードや現金会員のポイント制度
クレジットカードの大半は0.5%~1%のポイント還元制度を設けています。日々の買い物から、公共料金・保険料・税金の納付等、銀行振替にしているような支払いまで、すべてをクレジットカードに切り替えることで年間では数千円~数万円の節約が可能です。スーパー等で独自に行われている現金会員や割引券も併用すれば、更に大きな節約となります。
「子育て支援パスポート」
第2回でも触れましたが、妊婦や18歳までの子どもがいる世帯に対して各種の割引・優待サービスや乳幼児連れの外出支援・応援サービス等を提供する制度です。たとえば東京都だけでも5,000件協賛店舗があり、総額10%以上の割引を実施しているところも少なくありません。

<参考>東京都福祉保健局:子育て応援東京パスポート
https://kosodate.pass.metro.tokyo.lg.jp/

「ふるさと納税」
自分の選んだ自治体に寄附をした場合、自己負担金2,000円を除き所得税と住民税が一定額まで控除されるとともに、寄付額の最大3割の返礼品をもらうことができる制度です。たとえば、ご夫婦の一方だけが働いている※年収1,000万円、お子さまが全員中学生以下のご家庭の場合、およそ166,000円までの寄付が控除の対象となります。ちょうどその額を寄付したとすると、最大で約49,000円相当の返礼品を、実質負担額2,000円だけで手に入れることができます。

※給与所得者として働いている場合

<参考>総務省:全額控除されるふるさと納税額の目安F
https://www.soumu.go.jp/main_content/000408217.pdf

「企業型DC」(企業型確定拠出年金)「iDeCo」(個人型年金制度)「NISA」(少額投資非課税制度)
企業型DCの掛金は給与として扱われません。企業型DCのうち選択型(給与から掛金を差引くタイプ)を導入している会社にお勤めの方は、掛けた分だけ所得を減らし、結果として税金・社会保険料を減額することができます。iDeCoやNISAにも似たようなメリットがあります。

■ 家計簿を細かくつければ無駄遣いと使途不明金が減る

最後に、それほど「がまん」をせずに削ることのできる「無駄遣い」「使途不明金」にメスを入れておきましょう。

とくに必要もないのに習慣的に何かを購入していないでしょうか?

何に使ったかわからないのに減っているお金が無いでしょうか?

こうした支出は家計簿を細かくつけるだけで、はっきり浮かび上がります。

過去に遡ることが難しければ、この先1ヶ月だけでも構いません。レシート1枚、自動販売機等で購入したジュース1本まで、できる限り細かく集計してみてください。

予想以上に不要な支出をしていたことがわかるはずです。

手書きの家計簿や、表計算ソフトを使った家計簿でも十分ですが、家計簿用のソフトを使えば収入や貯蓄も含めた管理がしやすいのでおすすめです。無料のスマートフォンアプリでも、レシートの情報やクレジッドカードや銀行の取引を、自動で取り込んでくれるものが増えてきました。

<家計簿は細かくつける>
△不十分な家計簿の例 ◎支払い先ごとに細かく、できれば日付も入れる
2020年6月

光熱費:○○○○円

保険料:○○○○円

税金 :○○○○円

交際費:○○○○円

・・・・

・・・

・・

2020年6月

電気代(**電力):○○○○円

ガス料金(※※ガス):○○○○円

上下水道料(◆◆市):○○○○円

生命保険(非貯蓄目的/☆☆生命):○○○○円

生命保険(貯蓄目的/▲▲生命):○○○○円

医療保険(□□生命):○○○○円

がん保険(●●生命):○○○○円

火災保険(△△損保):○○○○円

自動車保険(△△損保):○○○○円

固定資産税:○○○○円

自動車税:○○○○円

6/1ジュース(自販機):○○○○円

6/1ランチ(ファミレス●●):○○○○円

6/2タバコ:(コンビニ●●)○○○○円

・・・・

■ ケチになるのではなく節約を楽しもう

いかがでしたでしょうか? 今回取り上げたポイント一つひとつは、それほど節約額の大きいものではありませんが、すべてを実践できれば月々数万円~の節約が可能です。冒頭でお話した20年間で2,000万円というのもそれほど特別な数字ではありません。

ときには生活を犠牲にした「がまん」の節約も必要ですが、まずは「がまん」しないでどこまで節約できるか試してみましょう。とくに定期的に出ていく支出を減らすのが効果的です。1日100円の節約でも20年間では73万円にもなります。思っていた以上にお金が貯まって、節約がどんどん楽しくなるはずです。

そして情報は日々変化しています。ケチになるだけでは生活が息苦しくなるうえに、視野も狭くなります。あまり神経質にならず、日々の節約を楽しんでいくことで、自ずと最新の情報が目に飛び込んでくるようになります。

・・・・・・

さて、「収入」「支出」を見直して、まとまった額の教育資金が貯まってきたら、もう一つ考えたいことがあります。教育資金は手堅く貯めていくべきものですが、お金を銀行に寝かせておくだけというのも、大変もったいないことです。次回はお金を「殖やす」方法についてご紹介したいと思います。

■ 今回のまとめ

  • 生活を切り詰めなくても減らすことのできる支出がたくさんある
  • 「わからないからやらない」「面倒だから使わない」は大きな損
  • 家計簿を細かくつけるだけでお金がどんどん貯まるようになる
  • 節約を楽しむことでお得な情報が勝手に飛び込んでくる

著者プロフィール

根岸潤
根岸潤
ねぎしじゅん

一橋大学卒。株式会社ファシオコンサルティング(東京・飯田橋)取締役。行政書士試験合格者。ファイナンシャルプランナーとして法人・個人のライフプラン設計を数多く手掛けている。クイズを趣味としており雑学も豊富で、「第3回FNS1億2000万人のクイズ王決定戦!」(1991年・フジテレビ系)優勝、「連続クイズ ホールド・オン!」(2012~2014年・NHK)100代目チャンピオンなど、全国ネットのクイズ番組で活躍した経歴を持つ。

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