中学受験って何だろう?

中学受験って何だろう?

中学受験は年明けの本番を控えて最後の「追い込み」の時期を迎えています。中学受験に関心があれば、その様子は気になることでしょう。でも、一度立ち止まって考えてみたいのが中学受験の目的ではないでしょうか。誰が何のために受験するのか、その意義や素朴な疑問を解決していきます。

中学受験とは?

義務教育である中学は、受験をしなくても地域の小学校から進学することができます。それをせずに私立中学校の受験を目指す理由はさまざまです。共通するのは「わが子によりよい学びの環境を用意してあげたい」「子どもに合った環境でその力を活かしてほしい」という気持ちです。中学受験をする代表的な理由を挙げていきます。

なぜ中学受験をする? その理由は?

まず「高校受験をする必要がないこと」があげられます。中学で受験勉強をせず、中学と高校合計6年間をのびのび過ごせる点に魅力を感じる子どもや保護者は少なくありません。勉強だけでなく部活動や習いごとなどに打ち込みたい場合、中学受験をして活動できる時間を確保できます。

「大学進学に有利だから」も大きな理由のひとつです。付属校や系属校など大学とのつながりが深い私立中高に通えば、推薦でその大学に進める割合も高くなります。また付属校でなくても大学進学に力を入れる学校に通えば、6年間の計画的できめ細かな指導で、希望する進路を実現できる可能性が高まります。

「周りが中学受験をする(した)から」もポピュラーな理由です。年上の親戚や友達のきょうだいから私学の学校生活の様子を聞いて、本人が「自分も私立に行ってみたい」と考えるようになります。また、保護者自身が中学受験を経験していて、中高6年間を充実した環境で過ごせたと感じている場合、子どもにも同じような経験をしてほしいと中学受験を勧める場合があります。

「地元の中学校に通わせたくない」。これも中学受験の理由として考えられます。公立中学校には地域のさまざまな子どもたちが通ってきます。小学校時代から続く友人関係に居づらさを感じたり、荒れているなどの環境が心配な場合に、落ち着いた環境を求めて中学受験を選択する家庭もあります。

中学受験人口はどのくらい?

1都3県の私立中学校の一般入試が集中する2月1日に、中学受験に挑んだ小学6年生は、2022年入試で41,897人(前年は41,251人)いました。1都3県の公立小学校の卒業生に対する割合から見た「受験率」は14.6%(前年は14.3%)となっており、増加傾向です。学校やクラスによりばらつきはありますが、1クラス40人として5、6人は中学受験を経験している計算です。コロナ禍にもかかわらず、中学受験は多くの小学生とその保護者から支持され、受験生は増えていることがわかります。

2月1日私立中学受験者数の推移、募集定員及び受験比率(森上教育研究所 提供)

「森上教育研究所調べ(TOMAS会員誌スカラ20号より抜粋)」

中学受験と高校受験は何が違う? どちらがよい?

同じ受験でも中学受験と高校受験とでは何が違うのでしょうか? どちらを選んだら子どもにとってよいと言えるかは、実は家庭やお子様の状況や特性によっても異なります。中学受験が合う場合と、高校受験のほうがよい場合とがあります。違いを理解して判断することが大切です。

偏差値の考え方が違う

受験勉強をする中で避けて通れない「偏差値」。でも、中学受験と高校受験ではその意味するところは違います。高校入試の偏差値は、いろいろな学力レベルの公立中学3年生を母集団として計算されます。偏差値50は平均的な位置と捉えることができます。

一方、中学受験の場合は、小学校で成績上位層が母集団となるため、偏差値50といっても小6年全体から見ると成績は上位のお子様が多いのです。ですから小学校で勉強ができると思って中学受験の模試を受けてみたら低くてがっかりした、という経験をするかもしれません。その違いを理解して、偏差値を点数のように捉えるのではなく、自分の立ち位置を確認するために活用できるお子さんやご家庭が、中学受験に向いていると言えるでしょう。

入試問題が違う

高校入試は基本的には中学3年間の学びの習得状況を見るものなので、基本的には中学の教科書の範囲から出題され、応用問題もすでに習ったことを組み合わせれば解けるものがほとんどです。けれども、中学入試は小学校での基礎・基本に加えて授業の範囲外の内容も問われます。教科書以外の内容も試されるため、志望校合格のためには学校以外の進学塾などに通って準備を進める必要があります。

内申書の考え方が違う

中学1年からの成績や学校生活の様子をまとめた「内申書(調査書)」は、高校入試の際、合否に関わる重要な資料で、中学校から高校へ提出されます。成績は中3になってから挽回することができません。志望校合格のためには、普段の定期考査などでコンスタントに力を発揮していかなければなりません。

中学入試では「調査書」の提出を求める学校、提出しても合否判定の材料にしない学校、提出不要の学校などさまざまです。入試要項をよく読んで確認することが大事です。高校に比べて合否判定に響く割合は高くありません。むしろ中学受験は小6の冬にむけて入試一本での勝負も可能な入試です。

保護者のサポートの度合いが違う

学習塾への送り迎え、学校と塾の宿題の進度チェック、志望校の情報収集、学校見学、模試の手続き、入試要項の取り寄せから出願、と受験には家族のさまざまなサポートが求められます。高校受験をする中学3年生の場合は1人で頑張れることも増えますが、中学受験をする小学生の場合は、心身ともに保護者の手厚いサポートが合格のカギになります。

中学受験が向いているのはどんな家庭?

中学受験は高校受験と違い、小学校のクラスの中の一部の子どもがチャレンジすることになります。保護者のサポート、祖父母やきょうだいの協力は欠かせません。子どもが「私立中学に行ってみたい」という動機だけでは合格にたどりつけないのです。どんな家庭が中学受験に向いているのでしょうか。

教育方針が定まっている

周囲も塾に通っているから、大学合格実績がよいから、スポーツがたくさんできそう、校舎や施設がきれいだから、といった「きっかけ」は大切ですが、山あり谷ありの中学受験を乗り越えるには、ご家庭内の教育方針が定まっていることが重要です。「将来、しっかりと自立した人に育ってほしい」「目的意識を持って生きてほしい」「好きなことは続けさせてあげたい」など、子育てに対する思いがご家庭内で共有できていれば、それを実現する教育を行っている学校を選ぶことができ、入試本番までご家庭全体がひとつの目標に向かって頑張れるのです。中学受験を契機に保護者が話し合い、お子様の個性や長所を改めて理解できたというご家庭も多いのです。

保護者がサポートできる体制がある家庭

中学受験生活は5、6年生になるととても忙しくなります。限られた時間を有効に使うためには、例えば妻が受験をするお子様に付き添うあいだに、夫がほかのきょうだいの面倒を見る、家事を引き受けるといった連携プレーが必要です。ただしこれを「負担」と捉えてしまっては、どちらかに不公平感がつのりがちですし、お子様自身が「自分が中学受験をするから家族が大変になる」と遠慮してしまいます。お子様のチャレンジをみんなで盛り上げるための「プロジェクト」としてご家族が中学受験に協力することができれば、お子様も前向きに勉強に取り組めるでしょう。

大学進学まで視野に入っている家庭

お子様が小学生のうちから、大学進学の具体的なビジョンを描いているご家庭はそう多くはないでしょう。ただ、私立中・高では大学進学を前提として6年間を通じたカリキュラムを組み立てています。中には中学入試段階からコースを設けて大学進学の方向性を明確に打ち出す学校もありますし、理系に進むなら4年制の学部のあとに大学院進学も視野に入ってきます。もちろんお子様本人の適性や希望もありますが、中学受験と大学進学は連続して考える、と決めているご家庭は中学受験には向いていると言えるでしょう。

高校からの募集を行っていない一貫校も

一部の私立中高一貫校には、中学からしか入学できないところがあります。海城や豊島岡女子学園など一部の進学校は、高校からの募集を行っていない、もしくは停止しているため、注意が必要です。

中学受験のメリットにはどんなものがある?

子どもの個性をのびのび引き出せる

中学受験をすると、多くの場合、高校への進学は内部推薦という形を取ります。高校入試がない分、のびのびと中学・高校時代の6年間を過ごすことができます。
勉強や部活動、学校行事に打ち込む、スポーツや読書、プログラミング、音楽などさまざまな活動に没頭する時間があり、自分に向いていることは何か? と模索したり、自分の得意なところや個性を自覚したりすることができます。
私立中高一貫校ではそうした機会を生徒が味わえるように、勉強を中心としたカリキュラム以外にも、さまざまなプログラムを用意しています。私立中学校は都内だけで約180校もあります。建学の精神に基づいて独自の教育を行っていますから「自分に合う学校」を選べて、個性を伸ばすことができるのです。

大学受験・進学への万全の準備が整う

難関大学への進学で、素晴らしい実績を上げている私立中高一貫校が数多くあります。それは、中学1年の段階から6年後の大学進学を見据えた取り組みを整えているからです。
中学校ではまず、勉強面で基礎・基本の定着や学習習慣を身につけることに力点を置きます。時には補習や特別講座が設けられることもあります。でも、これは単に授業に遅れないためではなく、大学受験に必要な最もベーシックな知識を早い段階でしっかり定着させるためなのです。そのおかげで高校3年では演習を中心とした授業で受験に向けて万全の準備ができるのです。
進路指導では「どのような生き方をするか」「どのように社会に貢献していくか」を考える「キャリア教育」が盛んです。大学名だけでなく、本当に自分が学びたいことを基準にした大学進学ができるのも中学受験のメリットです。

ハイレベル・最先端の教育を経験できる

私立中高一貫校の先生は、公立学校と違って先生の「異動」はほとんどありません。先生は中学1年から高校3年までの6年間、生徒の育ちを見ながら指導力を高めていきます。
前年度に高校で授業を受け持っていた先生が、新年度から中学を担当すると、「中学校の間に何を身につけておいてほしいか」がはっきりしているため、授業に工夫を凝らすケースも多いのです。そうなると自然と授業の質も高まります。
効果的かつ楽しい授業ができる先生に出会えるのが中学受験をするメリットです。

また、私立中高一貫校では「高大連携」の取り組みが盛んです。付属校や系属校でなくても大学と協定を結び、生徒が最先端の研究室を見学したり、大学の講義を体験したりする機会を提供しています。中学や高校では学べないハイレベルな内容に触れ、大きな刺激を得ることができます。

困難を乗り越える力や自信がつく

中学受験では、小学6年生という段階で、わが子を大きな試練に向き合わせることになります。そのこと自体がまず素晴らしいチャレンジと言えるでしょう。
小学校生活と学習塾、習いごとなどと両立させながら、志望校合格を目指して努力する経験は、目標をめざして困難に立ち向かい、乗り越える力を与えてくれます。見事「合格」を勝ち取れば、「努力した分だけ成果はついてくる」達成感が味わえ、自己肯定感が高まります。ほかの子どもたちより一足早く「大人に近い経験をする」ことで、自己管理の力も芽生えます。
予測不可能な変化の激しい社会で、これから先は誰しもが思いもよらぬ壁にぶつかることがあるはず。そんな時に、中学受験の経験が活かされます。

中学受験のデメリットにはどんなものがある?

専門の塾に通う必要があり、対策に時間がかかる

中学受験をする場合、多くは小学校4年生から進学塾に通い始め、入試本番まで約3年間の準備をします。
その理由の1つは、入試問題に対応する学力を伸ばすためです。入試問題は小学校の教科書の範囲を超えた「発展的な応用問題」が出題されます。基礎的な学力のうえに演習を重ねて応用力をつけることが求められるのです。
また、国語に限らず、算数や理科などでも長い文章題が出る学校もあります。応用力や長文読解力を身につけるには時間がかかります。そのため、友達と遊ぶ時間や習いごとの時間を削らなければならないのが中学受験のデメリットと言えるでしょう。

授業料以外の活動にかかる費用も

2023(令和5)年度の、都内私立中学校の初年度納付金の平均額は98万9125円でした(東京都調べ)。内訳は、入学金26万3020円、授業料49万2209円、施設費3万4137円、その他19万9759円となっています。納付金の最高額は190万6500円、最低額は54万8000円となっています。
高校は国の修学支援金制度で負担は軽くなるものの、「授業料」と「その他」は毎年度納付します。修学旅行や海外短期留学の費用もかかります。これに加え、通学定期代、食費、部活動なども必要となると、経済的な負担は小さくありません。付属校でない進学校の場合は大学受験に向けた費用もかかります。
志望校を選ぶ前に、費用がどのぐらいかかるのかリサーチと準備が必要です。私立中高一貫校では補習や講座、英会話レッスンなどを授業料に含めず、オプション料金として徴収する学校もあります。「やらせたい」と思うことを経済的な理由で諦めざるを得ない、という事態にならないようにしたいものです。

新しい環境・人間関係が苦手なお子さんにはストレス

私立中高一貫校には、受験を経て合格した生徒が広い通学範囲から通ってきます。地域により通う範囲が決まっている公立中学校とは違います。小学校の同級生に会うことはほとんどなく、新しい人間関係を一から作っていくことになりますから、新学期の緊張感が強いストレスになる可能性があります。
学校側はそうしたことを見越して、新学期から親睦を深める行事を行ったり担任の先生や学年ぐるみできめ細かな関わりを持ったりすることを大事にしています。それでも、新しい環境になじむのに時間がかかる、人間関係を作るのが苦手というお子さんには向いていないかもしれません。

中学受験における偏差値とは?

偏差値イコール点数ではない。どのような意味がある?

偏差値は、そのテストを受けた人の中で、自分の点数がどのあたりに位置するかがわかる数値です。偏差値は平均点を50とし、受験生一人ひとりの点数のばらつきを示す「標準偏差」を使って計算されます。
もし自分の点数がそのテストでの平均点に重なった場合、偏差値は50になり、その集団のボリュームゾーンにいると考えます。その場合、平均点より高い得点ができたら50以上、平均点より下なら50より下の偏差値になります。
つまり、偏差値は「点数」ではなく、自分が全体のどのあたりに位置するかを示す指標なのです。問題の難易度や平均点に左右されず、その母集団の中で客観的に自分の位置を把握することができます。自分の学力の推移や、得意な教科、苦手な教科を知ることもできます。

また、偏差値は私立中高一貫校の難易度を示すのに活用されます。中学受験用の模擬試験で貼り出される「〇〇中学校 偏差値65」というのは、その模試で自分の偏差値が65あれば合格できる可能性が高いことを示しています。

入試本番までの偏差値の見方・捉え方

中学受験の偏差値は高校受験における偏差値とは違うことに注意が必要です。高校受験の母集団はその年の日本の中学3年生が対象です。成績のばらつきが大きいため、偏差値50は「平均的な位置」と捉えることができます。
一方、中学受験の場合は小学6年生全員が母集団となるわけではありません。受験しようと思う6年生だけが対象です。受験生は小学校の中では成績上位者が多いので、全体として「レベルの高い母集団」になります。中学受験の自分の偏差値が「思ったより低く出てしまった」と感じるのはそのためです。保護者自身が中学受験を経験していない場合など、高校受験と違う偏差値の意味をしっかり理解し、志望校選びに活用するようにしたいものです。

中学受験本番までの偏差値活用ポイント

同じ模試を続けて受けること

日ごろの勉強の成果を偏差値で継続的に見ていくためには、安定した母集団の模試を受けることがポイントになります。その模試を受けた母集団の性質やレベルが違えば、偏差値も変わってしまうからです。中学受験の模試や学習塾の定期テストはいろいろな種類がありますが、あれこれと変えるのではなく、同じ模試を続けて受けたほうがいいのです。
また、模試の結果には設問ごとに正答率が示されています。正答率が50%以上の問題を解けていなかったら、そこを重点的に復習するなど、弱点克服の方策を立てるヒントにもなります。

小4、小5の偏差値は「伸びしろ」を期待して

中学受験に向けた勉強を始めて、発展段階にある小学4・5年生の偏差値は、ばらつきも大きいため、それだけで志望校を決めないほうがいいでしょう。まだ中学受験の「入試」というスタイルに慣れておらず、実力を発揮できていない場合もあります。それよりも、学習塾や家での勉強を続けた結果、どのぐらい成績がアップしたかの推移を「見える化」するものとして、モチベーションアップに活用していきましょう。

小6の秋以降の偏差値を重視

小学6年生の夏休みは、実力アップが期待できる貴重な時間で、「中学受験の天王山」とも言われます。秋以降の模試ではどの受験生も入試本番のつもりでラストスパートをかけてくるため、リアルな偏差値が示されます。ここから先の偏差値はこれまでの受験勉強の努力の結果であり、受験する学校を絞り込む重要な指標になります。本番まで残りの数カ月の伸びしろが期待できないわけではないですが、現状の偏差値からあまりに現実離れした志望校選びは危険です。チャレンジ校、本命校、安全校などの併願対策を立てるために偏差値を活用していきましょう。

主要校の中学受験偏差値ランキング

中学受験のガイドブックやホームページ、模試の偏差値を見ると、1つの学校に対していろいろな偏差値が示されていることがあります。私立中高一貫校の入試は1回しか行わず、偏差値などのデータが1つだけの学校もあれば、入試が複数回あり、入試日や定員、試験科目、コースなどの「入試回」により偏差値が異なって出る学校もあります。同じ学校でも何日に受験するか、また、どの科目やコースで受験するか、共学校の場合は男子か女子かでも偏差値が異なってきますので、見方に注意が必要です。
また、かつては中堅の難易度の学校でも、近年、学校改革を行って偏差値を伸ばした学校もあります。また、その逆もあります。保護者世代の学校イメージではなく、現在の最新情報とも照らし合わせながら偏差値を見ることも大切です。次に、主な学校の偏差値ランキングを紹介します。

2022年度中学入試 主要校偏差値ランキング

筑波大学附属駒場 73
渋谷教育学園幕張 72
桜蔭 71
開成 71
慶應義塾中等部 70
渋谷教育学園渋谷 70
聖光学院 70
筑波大学附属 70
豊島岡女子学園 70
女子学院 69
麻布 68
栄東 68
早稲田実業学校 68
栄光学園 67
雙葉 67
早稲田 67
市川 66
広尾学園 66
武蔵 65

※データは2022年2月17日時点での「森上教育研究所調べ」をもとにしています。試験日・男女別の偏差値のうち、もっとも高い数値を表示しています。

中学受験の4教科と面接の対策は

中学入試は、主要科目である算数、国語、理科、社会の4教科を中心に試験が行われます。
最難関校をはじめとするトップクラスの私立中高一貫校の多くは4教科が課されます。それ以外では、4教科か、算数と国語の2教科の選択式、あるいは算数と国語の2教科のみという場合もあります。また、近年では得意な科目1教科を選んで受験するスタイルや、英語を加える学校も出てきています。
ですが、中学受験を目指すなら、まずは4教科を中心に勉強を始めるべきでしょう。そのほうが学校の選択肢が広がるからです。さらに、中学受験では学校によっては面接がある場合も。それぞれの勉強法や対策をしっかり行うことが合格につながります。

算数の勉強法

算数は中学受験において最も重視したい教科です。ですが、小学校の勉強だけでは入試問題を解くのは質・量ともに困難です。そのために進学塾で中学受験向けの算数対策が行われているのです。

どの問題を解くのにも求められるのが「計算力」です。入試問題では冒頭の大問1で計算問題が出題されることがよくあります。ここで時間をロスしてしまうと、後の問題を解く時間がなくなります。独立した四則演算(足し算・引き算・かけ算・割り算)がしっかりできる、かっこや分数、小数の入り混じった計算が素早く正確にできることが大切です。
そのためには、毎日数問でも解いて習慣化し、面倒くさがらずに計算する力をつけていきましょう。計算力が高まると、大問2以降の問題も素早く答えにたどり着けますし、確実に検算ができます。公式を知っていても計算が間違っていては不正解になってしまうため、算数では計算力が必須なのです。

計算力のほかに必要なのが「思考力」です。中学受験では「比と割合」「図形」「速さ」「特殊算(つるかめ算、植木算など)」といった、考える力を問う問題が多く出題されます。これらは進学塾で数多く問題を解いて、考え方や解き方のパターンを身につけることが大事です。答えを出すまでの「途中式」や「考え方」を書かせて部分点を配点する学校も多いので、問題を解くときに途中式を飛ばさず書く習慣も身につけたいものです。

国語の勉強法

中学受験の国語は、物語文などを読んで問題を解くオーソドックスなスタイルの問題も出されますが、新傾向として知識を基にした思考力を見る傾向が強くなっています。グラフや図表、会話文などの資料を読み取り、わかったことを抽出して記述したり、自分の考えを書いたりする問題が増えています。
こうした新たな傾向に対応するには、問題の読み方や解き方を理解し、自分の頭で考え、表現できるまでをセットで繰り返すことが大切です。家庭で保護者がサポートするのは難しい面もありますから、進学塾に任せたほうがよい部分です。

一方、家庭でも確実にできるのが漢字や熟語、慣用句の学習です。算数の計算と同じく、毎日数問でも解けば定着させることができます。正確に文字を書ける、漢字や熟語を間違えずに使えることは記述式の問題を解く際にもアドバンテージになります。

「本が好き」なお子さん、読書習慣が身についているお子さんは国語が好きになりやすいという点で有利ですが、国語力を上げるために読書から始めるのは遠回りかもしれません。進学塾の教材を読み込む、演習をたくさんこなすことでも実力はアップします。

理科の勉強法

理科では、生物・地学・化学・物理の分野が出題されます。覚えることも多い教科ですが、暗記するだけでは解けない出題が、最近の中学受験の傾向です。国語の問題かと思うような長文を読んだ後に、資料やグラフ、写真などを読み解きながら答える「知識の活用力」を見る問題も出ています。
理科に苦手意識を持つお子さんには、ほかの教科の負担が少ない小学4・5年の早めの段階で準備を始めて、必要な内容の暗記と同時に、演習をこなしながら知識も身につけていく双方向の学習が有効になります。

社会の勉強法

歴史、地理、公民の分野が出題されます。暗記科目のイメージが強い社会ですが、これもまた近年の思考力重視の流れを受けて、出題傾向も変わってきています。
例えば歴史であれば、ある年代のできごとが「どうして起きたのか」「その結果、どうなったのか」などの因果関係や周辺のできごととの関連性が問われるようになっています。地理であれば生活に身近なものと地理の知識の結びつき、公民なら時事問題への関心が問われます。
家庭でニュースなどを見ながら、あるいは家の手伝いをしながら家族で会話することで関心を高める対策が有効です。

中学受験の面接の対策法

中学受験では一部の学校で面接があります。お子さんが単独で受ける個別面接、親子面接、グループ面接などスタイルは多様です。定番の質問を想定し、準備して臨むのが一番の対策になります。

面接を行う目的は、その学校の先生が、受験生と直接会話することにより、入学の意志を確認することにあります。4教科の学力試験ほど合否に影響するウエイトは大きくありません。上手く話そうとするのではなく、コミュニケーションが取れることが大事です。

受験番号や名前を呼ばれたときに「はい」と返事ができる、「よろしくお願いします」「ありがとうございました」と挨拶できるように練習しておきましょう。敬語は流暢に使える必要はありませんが「お父さん・お母さん」ではなく「父・母」と言えると好印象です。服装は小学校の制服か、ジャケットやブレザースタイルが定番です。

面接でよく聞かれる定番の質問は「この学校を志望した理由」「通学ルートや時間」「将来の夢」「自分の長所と短所」などです。想定質問は文章に書き起こして、家庭で答える練習をしておくとよいでしょう。丸暗記するのではなく、言いたいことを頭の中で整理しておけば、緊張した面接会場でも落ち着いて話せます。

面接は入試当日、学力試験の後に行われることがほとんどです。午前の入試でもお昼近くにかかることがあるので、同日の午後に別の学校の受験を考えている場合は、スケジューリングに注意が必要です。進学塾などで受験日程を相談する際にも確認する必要があります。

中学受験のよくある質問

Q 中学受験をする理由は?

A  高校受験のない6年一貫の環境で質の高い教育を受けられることが最大の理由です。ほかにも「地元の公立中に行かせたくない」「部活動を頑張りたい」などのさまざまな理由があります。私立中学には通学区域の指定がほぼありません。建学の精神に基づいた教育活動を行う学校を選べる自由があるのです。

Q いつから中学受験の準備を始めるべき?

A 新小学4年生(3年生の2月ごろ)から受験勉強を始めるのがよいでしょう。4教科を勉強するのにも時間のゆとりがあり、志望校の選択の幅が広がります。サッカーやピアノなどの習いごととのバランスも、小4から通塾を始めれば取りやすくなります。

Q 中学受験をしたほうが大学進学には有利?

A 有利です。国公立・私立を問わず難関大学合格者には、私立中高一貫校出身者が多いことからも中学受験は大学進学に強い、と言えます。これは大学入試に向けた6年間の効率的な学習に加え、キャリア教育などで「将来やりたいこと」「学びたいこと」を早くから考えさせていることによるものです。

Q 中学受験をすると学費はどのぐらいかかる?

A 2023(令和5)年度の都内私立中学校の初年度納付金(入学金や授業料など)の平均は約99万円でした。金額は学校ごとに違いがありますので、事前にチェックが必要です。このほか、通学定期代、食費、部活動費、修学旅行の積立などもかかってきます。大学入試前には授業以外の講習費がかかる場合もあります。

Q 公立中高一貫校と私立中学の併願は意味がある?

A あります。私立中高一貫校の中には、公立中高一貫校の入学者選抜で行う「適性検査」と似たような入試を行う学校があるからです。公立中高一貫校対策で伸ばした学力を、1回の適性検査で終わらせてしまうのはもったいないことです。公立一貫校の検査日前後で受験できる私立を併願して、お子さんが実力を発揮できるチャンスを用意してあげてください。

Q 第一志望はいつ、どうやって決める?

A 志望校は偏差値だけで決めず、必ずお子さんの目で確かめて決めましょう。私立中高一貫校は首都圏に数多くあります。誰もが知っている有名校だけでなく、先進的な教育を行う新興の学校もあります。小学4年から学校の情報を集めはじめ、気になる学校は見学にいくとよいでしょう。子どもが「ここに行きたい」、保護者が「通わせたい」と思う学校を徐々に絞り込んでいき、最終的には小学6年の夏までには決めるのがベターです。

Q 中学受験に失敗したらどうすればいい?

A 不本意な結果に終わったとしても、合格を目指して真剣に努力した経験はほかでは得られないものです。そこに価値を見出し、次の目標に向けて切り替えていきましょう。不合格を失敗ととらえていつまでも引きずるのは、お子さんの自己肯定感を低下させてしまうことにもなります。挽回するチャンスはこの先もある、という気持ちで保護者も心の整理をつけていきましょう。

まとめ

中学入試における4教科の勉強法と面接の対応法について見てきました。小学校だけの勉強では追いつかない中学受験対策は、教科ごとに何を学ぶのかを保護者が把握しておくと、計画が立てやすくなります。
読解力や思考力・表現力を高める「応用力」を進学塾で高めるとするなら、家庭学習では習慣化できる計算力や漢字、理科・社会の暗記事項や時事問題などに注力して、思考力の土台となる「知識」を豊かにすることができます。進学塾と家庭の役割分担で、効率的にお子さんの学力を伸ばしていきましょう。


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