TOMAS主催入試イベントレポート
2021年度 中学入試
直前ガイダンス
※2020年9月27日公開の動画の採録です。
2020年9月27日にオンライン配信形式で開催された2021年度中学入試直前ガイダンス。第1部では中学入試分析の第一人者、森上展安氏へのインタビューを通して、来年度入試分析や受験者動向予測についての最新情報をお伝えしました。第2部ではTOMAS入試対策委員・扇谷洋平より「ラスト4カ月の志望校対策と併願戦略」についてお伝えしました。
本記事では、第2部「ラスト4カ月の志望校対策と併願戦略」の内容をお届けします。
中学入試の併願戦略
出願パターン策定の3つのポイント
第1志望校の入試本番で最大限の力を発揮するために
出願パターン策定のポイントは3つあります。
1. 優先順位を明確にする
中学入試は始まってしまえばあっという間に終わる短期集中決戦です。受験から発表までの期間が短く、入試の展開がはやいのが特徴です。そのため、受験校の優先順位を入試が始まる前に決めておくことが重要です。決めておかないと、迷いやブレが生じ、入試期間中に右往左往することになってしまいます。
2. メリハリをつける
入試直前に不安になり、第1志望校を下げないと危ないのではないかという悩みを持つご家庭は少なくありません。
しかし、第1志望校が高いから危ない入試プランになるわけではありません。どういった受験校を組み合わせるかが重要です。
「第1志望はゆずらない」のは当然です。しかし、「第2志望・第3志望もゆずらない」となると、どんどん危険な入試プランになってしまいます。
「ゆずらないところはゆずらない。ゆずるところはゆずる」というメリハリをもって出願パターンを決めましょう。
3. 勢い・流れを想像する
合格が続くと気持ちが楽になって本来の実力を発揮できます。
不合格が続くと「受験をやめたい」という気持ちになるかも知れません。
お子様のメンタルの動きを想像して受験プランを立てるということが重要です。
具体的な出願パターン
以上のようなポイントをふまえ、出願パターンを具体的に考えて見ましょう。
1. 2月3日が第1志望校の場合
筑駒、慶應中等部、浅野など2月3日が第1志望校のパターンです。
受験生が実力を出しきれるのは、合格校をすでにつかんでいる状況です。
第1志望校の受験日より前に合格を積み重ねていって、最後に万全の状態で勝負するのが理想です。失敗するパターンは、2月1日・2日に欲張ってチャレンジ校を入れ、メンタルが悪くなった状態で第1志望校を受験するという流れです。チャレンジ校を入れるにしても2月1日または2日のどちらかだけにしておくべきでしょう。
2. 2月1日が第1志望の場合
2月1日が第1志望の場合は、2月2日・3日に実力適性校を押さえるのがポイントです。万が一、2月1日が不合格だった場合は、2月2日または3日で確実に合格をとり、2月4日にもう1勝負かけるのが望ましいでしょう。
また、1月入試を活用して、2月1日の第一志望校の受験の前に、経験・場慣れをするのも重要です。受験生にとって1回目の受験が第1志望校の受験となるようなスケジュールは避けましょう。
3. 1月の試験がメインの場合
千葉や埼玉のように1月がメインというパターンでは、1月中にレベル差をつけた受験パターンをたて、いったん受験に区切りをつけましょう。1月中に合格校を確保しておいて、2月にさらにレベルの高い学校にチャレンジしていくという計画がよいでしょう。
1月受験を強くおすすめする理由
2月1日以降に第1志望校の受験が控えている場合、1月受験をするかどうか迷われる方もいるかも知れません。「体調が心配」「合格で気が緩んだり、不合格で落ち込んだりメンタルが心配」「合格しても進学する気がないのに」といった考えから消極的な方もいます。
しかし、場慣れ、経験、勝負度胸がつくなどのメリットは大きく、「第1志望合格の可能性を高めるにはどうするべきか」という1点にこだわれば、1月受験は利点が大きいといえます。
たとえば、こんな受験生がいました。
彼は2月1日の早大学院が第1志望、第2志望が3日の慶應中等部、第3志望が2日の学習院でした。過度に緊張してしまう受験生で、模試でさえも、緊張による体調不良を訴えるほどでした。
2月3日の慶應中等部などを第1志望とする受験生ならば、1日・2日に押さえの受験校の合格を決めて、階段をのぼるように志望度の高い学校の受験に臨んでいくことができます。しかし、彼のように2月1日が第1志望という生徒は多いと思います。
その場合、2月1日が最初の受験となるようなプランは避けるべきでしょう。
「2月1日に本来の力を発揮させてあげたい。そのためには場慣れしかない」と思い、次のような1月受験プランを考えました。
1/10 栄東A
1/11 佐久長聖
1/12 栄東東大選抜
1/16 早稲田摂陵
1/25 立教新座
5校も受験させるのかと驚かれる方もいるかも知れません。
特にこだわったのは1月10日・11日・12日の3連戦です。2月1日・2日・3日をイメージし、連日出る合否結果に動揺せず、気持ちを切り換えさせる練習として、挑んでもらいました。
さすがに5校も受けると、入試で経験しうるトラブルなどをあらかた経験できます。5校目の立教新座の受験では「あまり緊張せずにできた」と言えるようになっていました。
そして迎えた2月1日の早大学院。受験から帰ってきた彼は「やっぱり緊張した」と言っていましたが、結果はみごと第1志望校合格。「1月に5校も受験したからこそ合格した」とは言いきれませんが、ご家庭からも「ここまでやってダメならしょうがないと思える」と言っていただきました。
受験生にとって、模試と入試は全然違います。第1志望校の受験より前に、「受験」を経験させるのはとても重要です。
1月受験は、あくまで第1志望校合格の可能性を高めるためのものです。通うか通わないかなどは重要な問題ではありません。
千葉・埼玉の受験生は他県の東京会場入試を利用するなどして、積極的に1月受験を活用しましょう。
ラスト4カ月の志望校対策
過去問演習の4つの目的
過去問を解く目的は4つあります。
1. 配点・試験時間を知る
2. 形式を知る
3. 問題傾向を知る
4. 時間配分を知る
中学入試は各校の出題形式・出題傾向が異なり、画一的な学習では得点力は伸びません。
しかし、過去問を通じて、志望校の入試の特徴を押さえることで、効果的に得点力を伸ばせます。
過去問演習に取り組む際の3つの注意点
過去問に取り組む際の具体的なポイントは3つあります。下記のポイントを意識して効果的な過去問演習を行いましょう。
1. 計画的に取り組む
受験生は忙しいです。受験勉強が進むほど、弱点補強・頻出分野の補強・時事問題対策など、やりたいことがたくさん出てくると思います。残念なのは、目の前の課題に追われ、一生懸命取り組んだにもかかわらず、肝心の第1志望校の過去問演習をやりきれず、結果として不合格になるパターンです。
過去問演習の時間を週間スケジュールに組み込み、日々の課題とは別に、しっかりと時間を確保するべきです。
2. 受験校すべての過去問を解く
出願校の過去問についてはすべて買い揃えましょう。しかし、すべて解ききることは難しいと思います。志望度が高い学校について優先的に解ききるようにしましょう。
3. 科目の特徴に合わせて取り組む
算数・理科は年度による傾向の違いが大きくないので、古い年度まで何度も解くのが効果的です。
社会は時事問題や統計資料など年度による違いが大きく、混乱しかねないので、古い年度を掘り下げるよりは、傾向が似ている他校の近年の過去問を解くことが有効です。
国語は初見の文章をどこまで解けるかが重要なので、2度目・3度目に解いた得点結果の信ぴょう性は他科目より低いかもしれません。学力のかたまっていない時期に解ききるより、何年度分かを入試直前まで解かないでとっておくのもひとつの方法です。
TOMASからのメッセージ
受験生は一人ひとり違います。同じ第1志望校でも、優先順位、本人の個性によって、受験プランは異なります。偏差値や模試の判定だけで受験プランは決められません。
あなただけの受験プランを立てましょう。
限られた時間の中で、偏差値は伸ばせなくても、得点力はまだまだ伸ばせます。
受験校の数はだいたい5~7校。重要な学校はさらに3校ほどに絞れるはずです。その3校に絞って対策すれば、必ず、傾向に慣れ、得点力は高まります。
TOMASでは、お子様の個性をふまえ、一人ひとり異なる受験プラン、得点力を上げるための合格逆算カリキュラムを提案し、1対1完全個別指導で確実に実行します。
ぜひお気軽にご相談ください。
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