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二度目の緊急事態宣言、大学の対応は
2021年1月、首都圏を中心に新型コロナウイルス感染症が再び拡大、二度目の緊急事態宣言が発出されることになりました。前年とは異なり、萩生田光一文部科学大臣は学校の一斉休校は求めないと明言しています。長らくオンライン授業が続いた大学では、どのような対応をするのか、2020年末に公表された調査をもとに見ていきます。
対面授業の実施「半分未満」187校、そのうち8割は「納得」
文部科学省は2020年12月23日、大学の後期授業の実施状況を公表しました。
2020年9月時点で、対面授業の実施割合が「半分未満」と回答した大学及び高等専門学校377校を調査対象としたものです。授業の実施状況や、学生の理解・納得を得るための取り組み状況、各大学の工夫等を尋ねました。
対面授業の実施割合が「半分未満」と答えたのは、49.6%の187校でした。
この187校のうち「ほぼ全ての学生が、授業の形態等について理解・納得している」と回答したのは18校(9.6%)、「大多数の学生が、授業の形態等について理解・納得している」と回答したのは140校(74.9%)でした。
つまり、対面授業の割合が半分未満であっても、約8割の大学では、学生が納得していることが明らかになりました。
首都圏の総合大学はオンライン中心
対面授業が半分未満、すなわちオンラインなどの「遠隔授業」を多く実施している大学では、大学が考慮した事項を丁寧に説明する、学長・学部長メッセージを発信して理解や納得を得る、などの工夫をしていました。
また、図書館などの学内施設の開放や、学生同士が交流できる機会の設定、学生からの相談対応など「学生に寄り添った対応」に努めていたこともわかりました。
大学の対応を具体的に見てみましょう。
東京大学では、授業はオンラインと対面を併用していますが、調査当時はほぼオンラインの状態でした。
同大のホームページを見ると、2021年度も対面、オンライン、または対面とオンラインの併用と、それぞれの授業形態の良さを生かしながら実施するとしています。
実技を伴うものや大学にしかない設備を必要とする授業はなるべく対面で、多人数の講義形式の授業は原則としてオンラインで行うとしています。
早稲田大学では、昨年の秋学期は、オンライン授業を基本としながら、対面授業も併用。比率としては「ほぼ遠隔」と回答しています。
約5万人の学生が在籍していることから、対面授業を増やせばクラスターの要因になりやすいと説明。学内アンケートによれば約69%の学生が授業のオンライン化に理解を示しています。
緊急事態宣言が発出される見通しとなった1月5日、田中愛治総長のメッセージが大学のホームページに掲載されました。
それによると、冬学期末までは、対面とオンラインを併用した授業形態を継続するとしています。2021年度は7割をキャンパスでの対面授業にすることを目指し、教室の空調設備の入れ替えなども済ませたそうです。
明治大学でも対面は3割にとどまり、オンラインが中心です。オンライン授業の満足度は、オンデマンド型(満足度82%)、リアルタイム配信型(満足度78%)、資料・課題提示型(満足度59%)の順で高いと報告しています。
学生が自宅からでも相談できるサポートセンターを設け、交流のためのオンラインイベントを開催しました。就職支援では、オンラインによる個別就職相談を8,200件行ったといいます(12月8日時点)。また、保護者とも「つながる」ための取り組みに力を入れています。
1月5日には緊急事態宣言の発出を見込んで、授業は極力オンラインで実施すると発表しました。
学校発のメッセージやフォローが納得のポイントに
「入学して一度も大学に通えていない大学生」の存在に注目が集まり、文科省は対面授業の積極的な実施を大学側に求めてきました。
ですが、首都圏の総合大学の対応を見ると、オンラインか対面かのどちらかではなく、感染状況や学校の規模などに応じて両者を使い分け、併用していることがわかります。
学生に向けてメッセージや説明をはっきりと打ち出し、対面授業が少ない中でも、納得感や満足感を得ることに成功していると言えるでしょう。
大学と規模は異なりますが、私立中高一貫校も、新型コロナ対応としてオンライン授業の導入に積極的に取り組んできました。
学校が再開しても、オンラインで講習を実施したり、文化祭などの学校行事に活用したりする学校もありました。
今回の緊急事態宣言では全国一斉休校はない見通しですが、学校単位での判断は十分あり得ます。
これからは、「オンラインか対面か」ではなく、状況に応じて両方を使い分け、学習や交流を途切らせない体制づくりが重要になるでしょう。そしてそれを明確なメッセージとして打ち出せるのが、生徒や保護者の納得感が高い、ニューノーマルな学校といえるのではないでしょうか。
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