わが家の受験スタイルを考える
今年4月入学の中学受験者数(首都圏)は6万6500人。少子化、長引く景気低迷、コロナ禍という背景にもかかわらず、今回も過去最高を記録しています(日能研集計。コアネット教育総合研究所「2023年首都圏中学入試総括レポート」より)。
中学受験は大盛況です。「ウチも中学受験を考えた方がいいのかな?」と迷っているご家庭も多いと思います。
そこで今回は、「中学受験」を考えるときに知っておきたい基礎知識を語ってみましょう。
中学受験のトレンド、「ガチ受験」と「ゆる受験」
最近の中学受験の潮流は、大きく2つに分かれているのが特徴です。
それは、ちまたでは「ガチ受験」と「ゆる受験」と呼ばれています。
「ガチ受験」は、多くの皆さんがイメージするところの中学受験です。
通常は、新小4(小3の2月を指します)から、進学塾と呼ばれる塾に通い、難関校を目指します。「従来型」とも言えますが、今もこの層が一番多いです。
ハチマキ姿で塾の正月特訓を受けている子どもたちを、ニュース映像などでご覧になった方もおられるでしょう。最終学年の6年生ともなると、「ガチ受験組」の子どもたちは文字通り「勉強漬け」の日々になります。その是非について、賛否両論があることは否めません。
中学受験のメリットはたくさんありますし、その子に合った学習法であるならば、子どもの心身の成長を促し、未来を明るく照らします。
けれども、逆もまた真なり。
わが子に「良かれ」と思って敷いた道が悪い方向に転がっていくことも、決して少なくないのが中学受験の怖いところです。
一般的には、受験生活は長きにわたりますので、山あり谷ありがむしろ普通です。
「わが家の教育方針」をしっかりと決めた上で、受験生活が子どもに対して過剰な負担にならないように注意しつつ、見守りながら導いていかなければなりません。
「ゆる受験」、3つのスタイル
一方で、その過酷さを和らげたいと思う層が選んでいるのが「ゆる受験」です。
スポーツや習いごと、あるいは熱中している趣味などを受験勉強で中断することなく、思い切り楽しむ。それと同時に、中学入試にもチャレンジしたいというご家庭に支持されている受験方法です。
この「ゆる受験」には、主に次の3つのパターンがあります。
1つめは、塾には通うが、偏差値は重視せず、無理のない範囲で勉強に努め、わが子に
合った学校を選択するというものです。
2つめは、新タイプ入試と呼ばれる入試を活用するもの。
新タイプ入試とは、「思考力入試」、「自己アピール(プレゼン型)入試」、「得意科目選択型入試」、「推薦入試」、「英語入試」などの、さまざまな選抜方法をいいます。近年は、こういった入試を取り入れる学校が増えています。
要は受験生の「得意分野」を見極めて、中高でさらに伸ばしていくことに重きを置いた入試方法といえるでしょう。
入試=知識偏重のペーパーテストという従来の枠組みを超えた受験方法として増加していますが、学校によっても年度によっても、選抜方法が異なることが多いのです。そのため、併願も含めた受験対策に苦慮する面がなきにしもあらず、です。
3つめが公立中高一貫校を目標に、その受検方法である「適性検査型入試」対策に重きを置くものです。
「適性検査型入試」とは、国語、算数、社会、理科の4科目の枠組みにとらわれない入試です。「教科横断型」と呼ばれるもので、出題される文章、資料、地図、グラフなどをもとに総合的に考察し、自らの考えを記述、あるいは論述することを求められます。
私立中学も続々と「適性検査型入試」を導入するようになってきていますので、この入試方法を行っている学校は、公立中高一貫校の併願先になることが多いです。
「ゆる受験」の範疇には入りますが、決して楽なわけではありません。公立中高一貫校は学費の安さも相まって大人気ですので、専門の塾に通って対策するご家庭は多く、激戦ではあります。
中学受験で後悔しないために
公立中高一貫校や本命私立中学に不合格ならば、潔く公立中学に行くと決めているご家庭もありますが、子どもの気持ちとの齟齬が出るケースもあります。
親の一存で「この学校しか行かせない!」という場合には、「子どもの本心」が置き去りになっていないか、注意が必要です。
「ガチ受験」にしろ「ゆる受験」にしろ、12歳にとって受験はやはり大きな経験です。
どの受験にもいえることですが、お子さんが成長したときに、「中学受験(受検)をしてよかったな」と思えるような受験生活を送ることが何よりも大切。どの受験スタイルを取ろうとも、その子なりに懸命に頑張ることには変わりありません。
合否にかかわらず、この経験がお子さんの未来への自信に繋がるように、上手に導いていってあげてほしいと願っています。
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