


国際教育を考える
2022年の中学入試は、首都圏で過去最高の受験者数と受験率に到達しました。空前の中学受験ブーム到来とまでいわれています。
おそらく、今の園児が中学受験の年齢になるまでは、このブームが続くであろうと予測している塾関係者も多いのが現状です。
「中学受験ブーム」が起こった2つの理由
このブームの理由として、おもに次の2点が指摘されています。
ひとつは、2016年度から始まった「私立大学入学定員厳格化」と2020年度の「大学入試改革」。これらの政策によって大学受験の先行き不安が生じ、不安を回避するために中学受験に舵を切るご家庭が増えていったのです。
もうひとつは、コロナ禍の影響です。報道の中で、ICT教育に代表される私立と公立の教育格差が盛んに取り上げられ、もともと増加傾向にあった中学受験人口がさらに増えるという結果になりました。
これらを勝機と見た各中高一貫校は、さまざまな入試を用意。結果として、各中高一貫校の多様性を生むことに繋がり、さらに受験生人口が増えるという、「中学入試バブル」になっているのです。
学校選びは「偏差値」から「時代に即しているか」へシフト
ひと昔前までは、難関大学合格という目的のために「偏差値が高ければ高いほどよい学校」と思い込む保護者も少なくなかったような記憶があります。
ところが、今の学校選択は必ずしも難関校志向とはいえなくなっています。どちらかといえば、偏差値よりも、時代に合った教育環境を求めているご家庭が多い印象を持ちます。
このような背景もあり、最近は「時代」に敏感な中高一貫校が人気です。
つまり、予測がつかない不確実な未来を生きる子どもたちが身につけなければならない力は何か? ということを明確に打ち出している学校に受験生が集中しています。こうして打ち出される「身につけるべき力」のひとつに「国際教育」があります。
特に英語に関しては、2020年から小学校でも必修科目となりました。グローバル化や情報化の時代の流れにともない「英語教育」が重視されているのは周知の事実です。
中高一貫校の国際教育プログラム例
英語教育に熱心に取り組んでいる中高一貫校は、爆発的に増えています。
もちろん、学校によって取り組み方はさまざまですが、いずれもグローバル社会での活躍を見据えた教育プログラムを積極的に導入していることが特徴です。
国際教育に関する中高一貫校の「授業」と「海外プログラム」の特色の一部をご紹介しましょう。
▼授業に関して
英語の授業数の多さ……最低でも週6コマ、多ければ週10コマの学校も
ネイティブの授業……英会話授業だけでなく、ネイティブが校内に常駐し、「校内留学」を実施する学校も
オールイングリッシュの授業……日本人教諭の補佐で実施する学校が多い
英語によるイマージョン授業……英語と社会、英語と体育など他教科とコラボする形で英語環境を作る
レベル別少人数制の英語授業……帰国子女から英語初心者まで多様なクラスで実施
インターナショナルコースの設置……英語に興味がある生徒をさらに伸ばすコースを導入
オリジナルまたは海外テキストの使用……ケンブリッジ大学出版の教材を使用など
e-ラーニング教材の利用……オンラインでネイティブと会話することに力を入れる
英語スピーチコンテストの実施……年に数回のコンテストを開催している学校が多数
第2外国語の受講……フランス語、ドイツ語、スペイン語、中国語、韓国語などを学べる
各種英語検定試験へのチャレンジを積極サポート
▼海外プログラムに関して
海外研修……希望制、必修などの違いはあるが、さまざまな国への研修機会を提供
海外留学制度……学校が提携している留学先があり、年間またはターム留学ができる
海外協定大学推薦制度……協定大学に推薦で進学できる制度
TOEFL、SAT対策などの海外大学進学サポート……難関海外大学への進学を応援
日本と海外の卒業資格を同時に得られる「ダブルディプロマ」コースの設置……これにより英語圏のすべての大学に出願可能
学校選びで忘れてはならないこと
高度な教育プログラムを実施している場合、もちろんそれなりの費用はかかりますが、「国際教育」を重視している家庭にとっては、このような取り組みは魅力的に映ることでしょう。
しかし、ここに注意点があることを忘れてはいけません。
大切なことは、その学校が子どもたちの未来のために、具体的にどのような応援体制を組んでいるか、それが有名無実化していないかを見極めることです。
中高一貫校は、6年間の教育の中で、豊かな体験や学習を通して人間性を高めていくことが“ウリ”ですが(英語教育もそのひとつ)、当然ながら、それぞれ特色があり、校風は1校1校で違います。
その学校の理念と校風がわが子に合っているか確かめるのが、最も重要なのはいうまでもありません。
秋から本格的に学校説明会が始まります。
ぜひ、実際に学校へ足を運んでみて、流れている空気を感じてください。
「わが子の笑顔がより輝く場所はどこだろう?」という視点で見ていくと、より判断しやすいかと思います。
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