


教育費を考える
中高一貫校ブームが続いています。首都圏模試センターの調査によると、令和4年の首都圏の中学受験者数は約5万1,100人にのぼり、過去最高を記録しました。
このような状況ですので、中学受験熱が高い地域では、受験塾に入る時期を早める傾向が見られ、“王道”の入塾タイミングである新4年生(小学3年生の2月)よりも早い入塾も珍しくありません。
周囲が「中学受験」に向かって動き出しているのを目にすると、何となくソワソワしてしまい、流されるように中学受験のことを考えてしまうかもしれません。
しかし「中学受験」が頭をよぎった際、最初にクリアにしておかなければならないことは、ズバリ「お金」の問題です。
中学・高校・大学の教育費をざっと計算してみる
令和元年12月の文部科学省「平成30年度子供の学習費調査」によると、保護者が支出した1年間の子ども1人当たりの学習費総額(学校教育費、学校給食費、学校外活動費)は、公立中学校で約49万円、私立中学校で約141万円です。
高校になると、全日制の公立高等学校は約46万円、全日制の私立高等学校で約97万円との調査結果が出ています。
つまり、計算上では、中学・高校とオール公立の場合の学習費は6年間で約285万円。中学は公立で、高校が私立の場合は約438万円。中学・高校とオール私立の場合は約714万円となります。
加えて、大学の学費を見てみましょう。
日本政策金融公庫の「令和3年度 教育費負担の実態調査」によると、入学費用と在学費用を合わせた費用は国公立大学の4年間で約481万円。私立大学は文系で約690万円、理系で約821万円という結果が出ています。
大雑把に数字だけを並べるのであれば、中学から大学までオール公立で約766万円。オール私立となると文系で1,404万円、理系で1,536万円です。
年にならしてみましょう。中学から大学までオール公立で年間約77万円。オール私立だと年間で、文系が約140万円、理系が約154万円です。
このように大変な金額がかかるわけですが、大切なわが子の教育費ですから、親としては何とかしたい気持ちは山々でしょう。特に下のきょうだいがいる場合には、その子にも平等にという思いもあるでしょうから、当然ですが教育費負担は、子どもの人数だけ多くなります。
特に大学費用は高額ですので、おおよそでいいので、将来的に費用の目途がつくかどうかを先に計算しておいた方が無難です。
奨学金や特待生制度は?
「中学受験に参入したい」と相談してくださる親御さんの中には、「大学は奨学金で」とおっしゃる方もおられるのですが、給付型でない限り、奨学金は「借金」になります。
高額な借金を背負っての社会人デビューは、今の社会情勢ではかなり厳しいように見受けられます。できればわが家の教育費シミュレーションを実施した上で、中学受験を決断されることをお勧めします。
また、多くの私立中学・高校には特待生制度というものがあります。それを利用することも考えられなくはないですが、学力、あるいはスポーツ実績などを重んじて、翌年の給付が決まることが多い制度です。お子さんの性格や、さまざまな背景事情なども絡みますので、最初から「制度ありき」で子どもに強要するにはリスクがあるように感じます。
「教育費の貯め時」を逃さないで
中学受験しようか・しまいかをお悩み中のご家庭は、まだお子さんが低学年以下だと思います。ぜひ今のうちに、ご夫婦で「教育費の貯め時」について話し合いをしてみてください。低学年以下であれば、まだまだ学費はそこまでかからないことが一般的です。
例えば、児童手当を将来の子どもの教育費に回すために貯金しておく、税制上でメリットがある「つみたてNISA」を利用する、勤務先に給与天引きで利用できる財形貯蓄があるならば、それで教育費を積み立てる、などの手立てが考えられます。
投資に自信がなく、財形貯蓄制度も勤務先にない場合は、例えば、銀行の積立定期預金や学資保険を利用するなど、半ば強制的に貯める方法で教育費を準備しておく必要があります。
お金の問題は思うようにならないのが常ですが、人生設計の中では、ある程度の未来予測をしながら、事前に動いておく必要があります。子どもの教育費もそのひとつにあたります。
先述したように、わが国の教育費負担は高額です。もちろん、ご家庭によって考え方もさまざまでしょうが、子どもにはある程度の教育が必要な時代です。
「貯め時」を逃さず、「来る時」に備えておくのも、親としての大切な責務であるといえるでしょう。
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