おかあさんの参考書
小6晩夏の勉強法を考える

小6晩夏の勉強法を考える

鳥居りんこ

今年はコロナ禍のうえに酷暑も加わり、受験生にとっては非常に苦しい夏でしたが、いよいよ中学受験の最終コーナーとなる「秋」が目前という時期になりました。
多くの塾では、夏までにすべての学習範囲が終了します。秋からは振り返りも兼ねた総合演習や、満を持しての過去問演習が始まります。

そうなると、親のほうが「あれも出来ていない」「これもやれていない」という焦りを感じやすくなるでしょう。大人として人生の経験値があるからこそ、「あと数カ月もない!」と入試本番までの日数を逆算して考えてしまうのです。

ところが、子どもは時間を逆算して考えることに大人ほどは長けていません。親から見ると「のんびり」構えているように見えるかもしれません。

もし、親が焦りを感じたならば、一旦冷静になることが結果的に「合格」を引き寄せます。ここはぜひ、「あと数カ月もない!」ではなく、「あと数カ月もある!」という具合に考えをシフトしてみてください。
実際、小6の秋以降に伸びていく子は沢山います。

親が夏休み以降に気をつけたほうが良いことを挙げてみます。

1. 夏休み明けのテスト結果は気にしない

9月は夏の疲れも出るころですし、久しぶりの学校生活に慣れるまでに少し時間がかかるものです。おまけに、範囲が決まっていた単元別の演習ではなく、全単元の中からアトランダムに出題される問題を解くことが多くなっていきます。5年生あたりに習ったことを忘れてしまったということも十分にあり得ます。

そのため、今まで取ったこともない成績に親子で驚くことも多いのですが、点数にのみフォーカスすることなく、まずは学校と塾生活がうまく回るように、生活リズムを整えていきましょう。

2. 自分で選んだ学校に行く! というプライドを刺激する

オリンピックのアスリートを見て、彼らの「自分自身の挑戦をやり切った!」という清々しい顔に心動いた人も多かったことでしょう。
それは、彼らが「自分の道を自分で決め、その目標に向かって、日々地道に努力してきたから」にほかなりません。

トップアスリートほどではないにしろ、中学受験にも同じような側面があります。
それは「自ら決めて」→「自ら勝ち取ろうと動く」こと。自分の人生のために、あまたある学校の中から「この中学に行きたい!」という高い志を持って、栄冠を掴もうと、日々努力を重ねていく経験ができることです。

たとえ、模試での合格率が上がらないという辛い状況下でも、「絶対に自分が選んだ学校に入る!」という強い気持ちがある子は、秋以降グッと伸びていきます。
まずは「憧れの志望校の決定」が強力なモチベーションとなります。
親は、「我が子のモチベーション」を刺激するためにプラスの言葉かけをしてみてください。

3. 過去問演習が本格的に始まる前に、基礎固めを行う

模試の結果で出る「志望校を再検討」などのコメントに心折れることがあるかもしれません。しかし、むしろここは「今が本番でなくてよかった!」とプラスに考えてください。

合格の要は「基礎問題」です。この時期は特に「基礎固め」の重要な時期になります。
本格的な過去問演習が始まる前に、今までの模試の問題から苦手な単元の洗い出しをしましょう。

苦手単元の弱点部分、つまり「理解できていない部分はどこか」が把握できるだけでも大きなプラスになります。
テキストを振り返り、苦手単元を基礎からおさらいしてみて、「ここまでは解った!」という確認作業をし、模試で取りこぼした問題に再度トライします。もし正答できたら、それは大いなる自信になることでしょう。

4. 志望校の中で一番やさしいと思われる学校の過去問を解いてみる

秋が深まると、いよいよ過去問演習がメインとなり、志望校の入試本番を見据えた、より実践的で総合的な学習に移ります。
そこで、第1志望の過去問にトライする前に、志望校のラインナップの中から、基礎問題を重視している学校、あるいは現時点で「抑え校」として考えている学校の過去問をやってみてください。

目的は3つあります。「本物の入試問題に触れてみる」、「問題との相性をみる」、そして「合格最低点に届いたら自信になる」です。

過去問については、「第1志望校ならば最低でも過去3年分をやりこむべし」とも言われますので、全ての志望校の過去問を数年分やるのは意外に大変です。
偏差値を基準にみて、「抑え校になるのでは?」と考えていても、実際に解いてみるとなぜか正答に結びつかない学校は往々にしてあるものです。
これは、実力差というよりは、どちらかといえば相性の問題だと思います。
相性の問題なら、ほかの学校を検討しなければなりませんが、「抑え校になる!」と確認できたならば、その学校の過去問の優先順位を下げることができます。
加えて、この時期に「合格最低点を越えた」という事実は、「心強いお守り」にもなることでしょう。

まだ実力不足だった場合は、過去問演習は一旦延期して、3のステップに戻り、しっかりと基礎固めをしていきましょう。

晩夏の季節はまだ焦るような時期ではありません。
まずは生活リズムをきちんと整え、本格的な過去問演習に繋がるウォーミングアップの時期と捉えることです。入試本番に向けて、一歩ずつ頑張ってください。

著者プロフィール

鳥居りんこ
鳥居りんこ
とりいりんこ

作家&教育・介護アドバイザー。2003年、長男との中学受験体験を赤裸々に綴った初の著書「偏差値30からの中学受験合格記」(学研)がベストセラーとなり注目を集める。保護者から“中学受験のバイブル”と評された当書は、その後シリーズ化され、計6タイトルが出版された。自らの体験を基に幅広い分野から積極的に発信し、悩める女性の絶大な支持を得る。近著に『【増補改訂版】親の介護をはじめたらお金の話で泣き見てばかり』(双葉社)、『【増補改訂版】親の介護は知らなきゃバカ見ることだらけ』(同)、『親の介護をはじめる人へ伝えておきたい10のこと』(学研プラス)、企画・取材・執筆を担当した『女はいつも、どっかが痛い がんばらなくてもラクになれる自律神経整えレッスン』(やまざきあつこ著・小学館)、『たった10秒で心をほどく 逃げヨガ』(Tadahiko著・双葉社)、『1日誰とも話さなくても大丈夫 精神科医がやっている 猫みたいに楽に生きる5つのステップ』(鹿目将至著・同)、『神社で出逢う 私だけの守り神』(浜田浩太郎著・祥伝社)など多数刊行。最新刊は『消化器内科の名医が本音で診断 「お腹のトラブル」撲滅宣言!!』(石黒智也著・双葉社)

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