


非常事態宣言後の中学受験を考える
こういう時だからこそ、何をどうすればよいのか整理する
2020年、大変な災禍に見舞われておりますが、皆さまはお変わりないですか。
ご承知のように、教育業界も大混乱の様相を呈しており、新入生の制服が一度も袖を通されないまま、夏服に移行するというような事態になっております。
特に、私立中高一貫校におきましては、先生方が在校生の学力保持に全力を尽くしておりますが、想定外の出来事ということもあり、思うような動きが取れないという学校が多いように感じます。
そんな中、首都圏の合同学校説明会が8月まではすべて中止、秋以降も実施は未定という状況です。
事実上、例年通りの広報活動が叶いませんので、今年度入試をどうするかも含め、発表にはまだまだ時間がかかることが予想されています。
現在は、大手塾も通塾ができない状況をオンライン授業に切り替えて対応しています。
公開模試も自宅受験で実施するものがあるなど、親御さんにおかれましても、大変な不安な中におられるとお察しいたします。
ここでは、こういう時だからこそ、何をどうすればよいのかを整理して、ご提案したいと思います。
1)教育費のシミュレーションをする
私立高校は、2020年4月より授業料が所得制限付きで実質無償化されています。
年収590万円未満の家庭では実質的な「無償化」で、年収910万円未満の世帯であればある程度支援を受けられます。
しかし、私立中学に目線を移してみると、このような減免措置はありません。
もちろん、家計急変のための給付型奨学金制度を設けている私立中学もありますが、少数派です。
ここで、今一度、私立中学→私立高校→私立大学コースを辿ると仮定して、学費のシミュレーションを行うことが大事になります。
この中には、医歯薬系学部コースが入るか? 大学院まで考慮に入れるか? 大学奨学金制度を利用するか? 中学より特待生制度の利用を考えるか? あるいは公立中高一貫校を志望するかなど、いろいろなケースを想定して、実際の費用見積もりを把握しておく必要があります。
2)今一度、原点に立ち返り、我が家の教育方針を決める
学習塾、学校向け教材販売を行っている「エデュケーショナルネットワーク」の資料によると、2019年度入試の中学受験者数は首都圏だけで63,000人を突破。全小6児童の約5人に1人が受験したことになります。
受験者数は2009年のピーク時である65,000人に近付きつつあったのです。それだけ、私学の価値に魅力を感じる保護者が多かったということの表れでしょう。
しかし、景気に左右されるのも、学費が高い私立学校(学費が安いと言われる国立や公立一貫校でも補助教材や各種研修などは高価な場合が多い)ならではの特徴です。
特に、本年度はこのような状況下で、どのような学習環境と教育的効果を求めて受験するのかを、今まで以上にしっかりと認識しておく必要があります。
今一度、原点に立ち返り、我が家の教育方針を固めておいてください。
なぜなら、受験の志望動機がぐらついていては、結果的にどっちつかずになって、子どもを支えていくことができなくなるからです。
3)未来を見据えた学校情報を積極的に掴みに行く
今は、2020年度入試がどうなるのか全く読めません。
今年度は偏差値も不確かでしょう。
しかし、そうは言っても時は流れていきます。受験を考えるのであれば、親がやれるだけの準備はしていかなければなりません。
それは、勉強をさせることではなく、我が子に与えたい学習環境はどこなのかについて、今まで以上に真剣に悩むことを指します。
大学合格実績なのか、校風なのか、教育方針なのか、英語をはじめとする国際化教育なのかなどなど、これからの未来も視野に入れながら、付けるべき力は何で、それはどこに行けば満たされそうなのか、且つ、お子さんにとって楽しいであろう学校がどこかを調べなければならないのです。
学校説明会の扉が事実上、閉じられている今は、学校側もSNSなどの充実などで、より一層の自校の魅力発信に努めていくでしょう。
このような危機に際して、ICT教育はどのように機能しているか、自宅学習のフォローの在り方なども含めて、積極的にキャッチしてみてください。もちろん、塾の先生に聞くのもアリです。
これらの情報収集によって、時代にマッチしている学校かどうかを判断する材料にすることができます。親子で気に入った学校が見つかったら、その学校に合った対策を立てることが可能になります。
全員が同じ条件下にある
特に、6年生は非常に厳しい環境に置かれていることは確かですが、全員が同じ条件下にあります。
みんな悩んでいて、思うように学習がはかどっていません。
親御さんの心労は相当だとお察ししますが、もし、受験をすると決めたならば、無理のない対策を講じて下さい。
その際のコツは課題を100%やろうとしない、各教科の時間を短めに区切る、新しいことより基礎固め、机に向かったことをとにかく褒めることです。
友人との切磋琢磨の手段が閉ざされているので、自分の立ち位置が分からず、やる気が失せていくことも考えられます。
気持ちが切れることのほうが大問題ですから、ご自分の不安をお子さんにぶつけることなく、上手に伴走することが、今年度の親の役割と言えるでしょう。
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