


苦手科目を考える
苦手意識を親が植え付けている
中学受験は4科目(または2~3科目)で受験しますので、そこに得意・不得意が出るのは普通のことです。すべての科目で満点を取り続ける子は稀ですし、その必要もありません。中学受験の合否は、その合計得点で決まるからです。全教科を得意科目にしなくても大丈夫なのです。
しかし、毎回の模試で“極端に足を引っ張る科目”には、やはり注意が必要です。
そこには、「この科目は苦手だから」という子ども自身の思い込みが発生している可能性があるからです。
この「苦手だから」という意識が、「どうせ得点できない」という思いにつながり、さらに「勉強しても仕方ない」となって、“不戦敗”という結果を招いてしまうのです。
これでは、伸びるものも伸びていきません。
実はこの意識、恐ろしいことに親が知らず知らずのうちに、子どもに植え付けてしまうことが多いのです。
このタイプの親は、例外なく「結果重視」です。
志望中学への合格可能性の数字だけ、模試の偏差値だけ、あるいは教室内のクラス分けにしか興味がない場合に陥りやすいのです。
すると、往々にして、親はこのような感想をダイレクトに子どもにぶつけてしまいます。
「何? この算数(の偏差値)? これじゃあ、入れる学校はないわね……」
子ども自身がこの結果に傷ついている最中なのに、さらにトドメを刺されるのと同じことですので、その瞬間に「自分はダメだ」=「この科目は苦手だから解けない」=「やっても無駄」=「考える事を放棄」という思考に結び付いてしまうのです。
親の仕事は、模試や各種テストの結果分析
親のやるべきことは、「苦手意識」を子どもに植え付けることではありません。
中学受験において、模試や各種テストが戻って来た段階で、結果分析をするのは「親の仕事」です。
偏差値の上がり下がりを確認することが、親の仕事ではないということです。
模試では、何をどう考えたために、結果として得点できなかったのかを分析するほうが、はるかに大切なのです。
例えば、「算数が苦手」と感じる子はとても多いのですが、ひと口に「算数が苦手」といっても、すべてにおいて「チンプンカンプン」という子は少なく(もしそうならば、長きにわたって親が苦手意識を植え付けてきた結果でしょう)、単元別に理解しきれていない部分があるという場合が多いのです。
例を挙げるならば、計算問題は得意なのに特殊算が苦手、あるいは図形が苦手、比が苦手……などということが考えられます。
また、同じ単元の中でも、平面図形は得意なのに立体図形になるとつまずいているとか、“旅人算”は理解できているのに“点の移動”になると混乱しているなどというような場合もあるでしょう。
そんなとき、親は、子どもが何をどう理解しきれていないのかを大まかに把握する必要があります。
例えば、公式の暗記だけに頼ってしまって問題に対応できていない、分数と小数計算という基礎的なことを理解していないのに、割合の問題にチャレンジしていたなど、その理由を探っていくことが肝要です。
子どもの勉強方法を見直そう
その上で、勉強方法を一度、見直してみることをおすすめします。
- 理解していないにもかかわらず、「やったつもり」になっていないか
- 「答えさえ合えばいい」という思考法になっていないか
- 具体的に手を動かしているか
- 「できた!」「わかった!」という「!」の瞬間に喜びを感じているか
- 大量の問題を解くことが正しいやり方だと思っていないか
筆者が、効果があると考える家庭学習の方法をお伝えしておきましょう。
- 基礎問題なのに、まったく太刀打ちできなかった問題をコピーしておく
- その問題の単元は何かを把握する
- その単元の4年生の問題をピックアップし、子どもに復習する時間をつく「る
- しばらく経ってから、子どもを先生役にし、その問題をどう考えて解けばいいのかの家庭内講義をしてもらう
- さらに、その単元の5年生の問題をピックアップして、4と同じことをする
- その上でその単元の6年生の問題をピックアップして、4と同じことをする
- 1でコピーしている問題にチャレンジしてみる
このお母さんが生徒役になるという方法は、子ども自身の頭の中を整理して、理解を定着させるのに効果的です。
ぜひ、お母さんは“生徒役”を楽しんでみてください。
そして、お子さんが「先生としての職務」を無事に果たしたら、そのお礼は必ず伝えてください。
ここに、親子の好循環が生まれることでしょう。
中学受験は「基礎的勉強」の時間の積み重ね
中学受験は、どの科目でも「基礎的勉強」をしっかりとする時間の積み重ねで挑戦するものです。
暗記するのではなく、子ども自身がしっかりと考える時間を持つ学習法を取ることが、中学生になったあとに効いてきますので、親は短絡的に点数を上げようと躍起にならないことが大事です。
苦手科目を作るか否かは、実は親の言動にかかっているのです。
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