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ぼうっとしているとき、脳内で何が起きているのか?

ぼうっとしているとき、脳内で何が起きているのか?

親野智可等

「うちの子、ぼうっとしていることが多くて心配」という声を聞くことがあります。

そういう姿を見ると、つい「ぼうっとしてないで、さっさとやることやりなさい」とか「ぼうっとしてる暇があったら手伝ってよ」などと言いたくなると思います。

でも、これからはそれはやめた方がいいでしょう。

今まで、こうしたぼうっとしている時間はまったく生産性のない無駄な時間だと思われていました。

でも、最近の脳科学の研究によりますと、こうした状態のときに脳の中では特別なことが起こっていることがわかってきました。

なんと、仕事や勉強などで頭を使っているときよりも、実は「ぼうっとしているとき」のほうが、脳はより多くのエネルギーを使って活発に動いていることがわかってきたのです。

そして、この「ぼうっとしているとき」に活性化する脳のネットワークのことをデフォルト・モード・ネットワーク(DMN)といいます。

ぼうっとしているときに脳内で起きていることとは?

こういうときだけ活発に活動する脳の部分があるそうです。
そこは普段は活動していないのですが、ぼうっとしているときだけ活発に活動するのです。

そして、活発に活動して何をしているのかというと、非常にクリエイティブかつ重要なことをしています。

例えば、自己認識に関わることです。
つまり、自分自身について考えて、「自分はどういう人間なのか? こういう人間なんだ」ということを考えているのです。

また、見当識に関わることです。
つまり、「自分は今どこで何をしているのか、自分はどういう状況におかれているのか」などを把握する作業です。

また、記憶に関わることです。
つまり、自分が経験したことや学んだことを整理したり再構築したりしているのです。

こうした中でアイデアが閃いたり、日ごろ悩んでいたことについて思いがけず解決法が見つかったりするのです。

ぼうっとしているときに閃くというのはよくあることですよね。

このDMNの働きが少ないと、インプットされた情報が脳内で整理されません。
すると、情報がカオスな状態のままで脳の疲労を招きます。
当然、記憶の定着や新しいことの創造にも繋がりません。

ぼうっとしている人はクリエイティブ

この他にもDMNの働きはいっぱいあるようですが、今回強調したいのは、ぼうっとしているとき、本人も意識しないうちに非常にクリエイティブなことがおこなわれているということです。

ですから、ぼうっとしている子や大人はクリエイティブなのです。

逆に、常に時間に追われて忙しくいろいろなことをしている人は、こういう時間が持てないので、忙しい割にはクリエイティブではないとか仕事のパフォーマンスがイマイチなどということになりかねないのです。

ですから、創造的な仕事をしている人の中には、敢えてこうしたぼうっとする時間を取っている人も多いのです。

また、先進的な企業の中にも、社員にこうした時間を取らせているところもあるようです。

また、日本の寺井広樹さんという人は、呆活という言葉をつくって、こうした時間を取ることの大切さを提唱していらっしゃいます。

ということで、みなさんもぼうっとする時間、呆活の時間を大切にしてください。
お子さんにも自分自身にも。

著者プロフィール

親野智可等
親野智可等
おやのちから

教育評論家。1958年生まれ。本名 杉山 桂一。公立小学校で23年間教師を務めた。教師としての経験と知識を少しでも子育てに役立ててもらいたいと、メールマガジン「親力で決まる子供の将来」を発行。具体的ですぐできるアイデアが多いとたちまち評判を呼び、新聞、雑誌、テレビ、ラジオなど各メディアで絶賛される。また、子育て中の親たちの圧倒的な支持を得てメルマガ大賞の教育・研究部門で5年連続第1位に輝いた。読者数も4万5千人を越え、教育系メルマガとして最大規模を誇る。ブログ「親力講座」も毎日更新中。『「親力」で決まる!』(宝島社)、『「叱らない」しつけ』(PHP研究所)などベストセラー多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても知られる。長年の教師経験に基づく話が、全国の小学校や幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会で大人気となっている。

教育評論家・親野智可等 公式ホームページ『親力』


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