医学部という進路

the path to medical school

強者(つわもの)たちが集う医学部受験の激しい競争で勝つためには、高い学力だけでなく、綿密な作戦も求められます。ここでは、選択科目をどれに決めるか、どの受験方式を選ぶか、どの併願パターンで受けるかなど、「戦うための武器の使い方」を伝授します。

【そもそも「医学部をめざす」とはどういうことか②】おさえておきたい医学部受験の「全体像」

【そもそも「医学部をめざす」とはどういうことか②】おさえておきたい医学部受験の「全体像」

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医学部入試は一種の「採用試験」

医学部入試には、学校推薦型選抜・総合型選抜だけでなく一般選抜でも面接・小論文・適性検査などを課すという、他学部の入試には見られない大きな特徴があります。このように、学力評価以外の「非学力試験」によって「人物評価」も行なわれるという点から、医学部入試には「採用試験」の側面があるといえます。
会社に採用基準があるのと同様、それぞれの大学には「求められる学生像」があります。そこには、おもに2つの基準が含まれます。
基準の1つ目は、「高い学力を有していること」です。医学部は、入学以降の勉強がとても大変です。医学部として困るのは、入試はなんとか突破できたものの学力が足りないため留年する学生、あるいは一定の学力を有していながら勉強不熱心であるため医師国家試験に合格できない学生です。そのため、医学部は、自校での学びに耐えられない学生になりえる受験生は合格できないよう、理科2科目を必須としたり場合によっては国語を課したりするなど、入試に厳しい学力基準を設けるのです。
基準の2つ目は、「医師に向いていること」です。医師には、つねに学び続ける姿勢が必要です。したがって、たとえ高い学力を有しているとしても、勉強に興味がなかったり勉強に取り組む態度がふまじめだったりする学生は、医師としての能力・適性という点では失格です。そのため、医学部は、面接や小論文によって、「あなたは本当に医師になりたいのですか?」「医師になったら何をやりたいのですか?」など、受験生の「本気度」を試すのです。

面接では、「臨床医」志望か「研究医」志望かをはっきり伝える

「医学部と医学部以外で悩んでいる人へ」の記事では、受験生は「臨床医」と「研究医」のどちらを志望するのかあらかじめ決めておくべきである、と話しました。当然、医学部にも臨床医と研究医が在籍しており、面接もそれぞれの分野の教員が担当します。
ここで、受験生にアドバイスしたいことがあります。それは、もしあなたが研究医志望だとしたら、その点を面接の場で積極的にアピールしてほしい、という点です。理由は2つあります。
1つには、面接の場で用いられる医師としての能力・適性の評価基準が、臨床医に対しては比較的緩めである一方、研究医に対しては比較的厳しめだからです。その理由は、面接を担当する教員には研究医よりも臨床医のほうが多い点にあります。たしかに、臨床医の教員も人の子ですから、もし臨床医志望の受験生が面接に来た場合にはつい温情が働き、採点がやや甘めになる可能性はありそうです。
もう1つには、研究医志望の受験生には他人とのコミュニケーションを苦手とする人が多く、面接での印象が悪くなりがちだからです。医学部教員から聞いた話によると、実際に研究医の道に進んだ学生には、他人と接するのが不得意である一方、寝食も忘れてパソコンにかじりつきデータを分析することに喜びを感じる人が多いそうです。
将来的に日本における医学基礎研究を支えることになるかもしれない人材が面接の場で埋もれてしまうことは、日本の医学界にとって大きな損失です。面接の場では、面接官に対してあなたの志望を臆せず堂々と伝えてください。

医学部の受験勉強・2大戦略は、「基礎力の養成」と「苦手科目の撲滅」

医師という仕事と医学部の受験勉強には共通点があります。それは、「ミスが許されない」という点です。医療の現場では、人の命を脅かすようなミスは絶対に避けられなければなりません。それと同様に、1点を争う厳しい競争が繰り広げられる医学部入試の現場でもミスがあってはなりません。
この点を踏まえ、医学部の受験勉強として必要な戦略を2つお話しします。

1つ目の戦略は、基礎力を徹底的に身につけることです。
医学部入試には、難問や、マニアックな分野からの問題がたくさん出ています。しかし、実際に得点差がつき合否を分けるのは基本問題・標準問題です。反対にいうと、これらでしっかり得点できていなければ、たとえ応用問題・発展問題がとれていても合格することはできません。したがって、医学部の受験勉強では、基本問題・標準問題を解くために必要な基礎力の完成度を高めることに主眼が置かれなければならないのです。また、近年の医学部入試問題は長文化の傾向が強まっているため、基礎力を高めると同時に、文章を速く読み、問題を速く解くという「情報処理能力」の向上も図る必要があります。

2つ目の戦略は、苦手科目・苦手分野をなくすことです。
一般的に、得意科目・得意分野でさらに得点力を伸ばすには膨大な時間と労力がかかる一方、苦手科目なら得意科目よりも短い時間と少ない労力で得点力を上げることが可能です。1つ目の戦略で取り上げたように、苦手科目の対策としては、まずは基本問題・標準問題で得点することを最優先してください。医学部受験では、得意科目・得意分野で勝負することよりも苦手科目・苦手分野という「穴」をつくらないこと、言い換えれば「加点法」の発想よりも「減点法」の発想を持つことのほうが大切なのです。

「求められる学生像」から「逆算」して志望校対策を立てよう

戦略を決めたら、次は具体的な志望校対策を立てていく段階に入ります。
先ほど、それぞれの大学には「求められる学生像」があるとお話ししました。各大学の入試問題では、この思想が「出題傾向」や「配点」などに色濃く反映されています。
受験生は、過去問から出題傾向を読み取ったうえで志望校対策を立てていく必要があります。つまり、志望校対策に必要なのは出題傾向からの「逆算」なのです。
志望校の過去問から読み取れる出題傾向にはいくつかの種類があります。
たとえば、「基礎力重視型」の出題傾向。この場合に立てるべきなのは、基礎力そのものをストレートに試す「典型問題」、すなわち基本問題・標準問題の対策です。
一方、「思考力重視型」の出題傾向が強い大学もあります。この場合に立てるべきなのは、運用力を試す「初見問題」、すなわち、文字どおり、試験本番で「初」めて「見」るような応用問題・発展問題の対策です。これらには、たとえば生物の「実験考察問題」や、物理のほとんどすべての問題などが該当します。
このような非定型タイプの問題が出されるのは、医療現場で求められる「現場対応力」を測りたいという意図が大学側にあるからです。「現場対応力」とは、不測の事態にもたじろぐことなく、冷静に対応する能力です。たしかに、患者を取り巻く状況が刻一刻と変わる医療現場においては、とっさの判断や機転が必要だということは容易に想像できます。しかし、先述のとおり、医学部入試では応用問題・発展問題よりも基本問題・標準問題で稼ぐという戦略を優先すべきです。志望校の過去問で応用問題・発展問題がたくさん出ているからといって初見問題の対策に時間と労力をかけすぎないよう注意しましょう。
ミスが絶対に許されないという医療の性質から、医師には、ガイドラインをしっかり守って医療を遂行することが求められます。医師に求められるそのような資質を踏まえ、医学部は、ミスせず基本問題・標準問題をとり切るという「手堅さ」「そつなさ」「まじめさ」を受験生に求めます。それは、先述の「求められる学生像」にも重なります。「求められる学生像」にもとづいてつくられた入試問題から出題傾向を読み取り、志望校対策に落とし込んでいきましょう。

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