医学部入試問題分析

東京慈恵会医科大学 【2025年度 英語】

東京慈恵会医科大学 【2025年度 英語】

基本情報試験時間:60分/問題数:大問3題
分析担当渡邉 哲史
出題内容・難易度
大問 出題内容 出題形式 難易度
【長文読解】空所適語選択・内容一致文選択 選択
【長文読解】空所適語選択・内容一致文選択 選択 やや難
【長文読解】空所適語句選択・空所適文補充・本文をふまえての意見文作成 選択・記述 標準
問題分析
Ⅰ. 〔文章題材〕免疫低下のリスクを予測できる炎症性老化時計 約940words
問1適語選択問題では選択肢の語彙レベルが高く、本文の対応箇所の内容を正確に把握することが出来ていても正答を選ぶことが難しい。選択肢の中で最も難しい単語が正解となっているものが多く、消去法アプローチが有効であった。問1での得点が難しいことから問2以降の内容一致文選択で得点をかせぐ必要があったが、例年と比べて文章量が増えており、想定していた時間配分通りに処理するという点での難しさもあった。本文全体や対応段落の主旨との一致の視点から判断出来る問題であるため、主張部分とサポート文とでメリハリをつけてスピーディーに本文を読み進めていくことが必要であった。
Ⅱ. 〔文章題材〕幼少期の記憶に関する研究 約760words
大問Ⅰと比べて段落構成が少なく内容を把握しやすい。問1適語選択問題においても、選択肢の語彙レベルの高さに苦戦を強いられることはない。本文、選択肢ともに標準レベルではあるが、ダミー選択肢がうまく作られていることが特徴である。問1適語選択では、空所の周辺の語句から誘導されやすいものがあり、問2以降の内容一致文選択では、単語だけで見てしまうと正解に思えるもの、あるいは、本文に記述があり正解に思えるが問われていることの答えとしては不適というダミー選択肢が見られる。この点は昨年度の大問Ⅱと同じ特徴である。過去問演習を通して出題の特徴を把握し、注意しておく必要があった。
Ⅲ. 〔文章題材〕人体組織の利用をめぐる問題 約710words
文章中の空所適語句選択が昨年度までの4問から1題増えて5問になった。加えて文中の空所に入る英文を作成する問題、および本文内容に関連した英作文問題という構成。適語句選択は空所を含む段落の論旨との一致で容易に判断可能であり、3つの大問の中で最も解きやすかった。文中の空所に入る適切な文を記述する問題も段落主旨がそのまま解答となる。英作文のテーマは「医学的、科学的目的でどのような使い方であれば、人体組織を使うことが許されるか」というもの。本格的な題材ではあるが、英作文のテーマとしては頻出のものであり、英作文練習、過去問練習において触れたことのある受験生が多かったと思われる。
総評
例年通り、大問Ⅰ、Ⅱは文中の空所適語選択、内容一致文選択、大問Ⅲは文中の空所適語句選択、適文作成(英作文)、100語レベルの英作文から成る長文読解3題構成である。大問Ⅰを中心に総単語数が昨年度より約320語増加、大問Ⅲにおいて設問数1問増加となり、ボリュームが増したことが本年度の特徴である。大問Ⅰに時間をかけすぎてしまい、時間配分戦略が崩れてしまった受験生が多かったであろう。加えて、昨年同様、引っ掛かりやすいダミー選択肢が多い大問Ⅱは、本文の内容を把握できていても取りきることが難しい。英作文問題を含む大問Ⅲよりも大問Ⅰ、Ⅱでの得点が合否を分けるポイントである。細部の精読と、段落および全体の論旨把握、英作文という総合力が高いレベルで必要とされるが、今年の出題傾向をふまえると、表面的な訳し方ではなく、英語としての使い方を含めた語彙力の底上げ、および設問の意図、各選択肢の違いを正確に把握する設問分析力も高いレベルが求められる。知識事項や精読のベース作りから、長文の読み方、設問への対応力、英作文を含めた記述力の養成へと段階的に力をつけていくことが重要であり、どの段階においても十分に時間をかけて練習量を積み、高い完成度に仕上げておかなければならない。

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