夢の志望校合格への
教育資金シミュレーション

夢の志望校合格への教育資金シミュレーション【第1回 大学卒業までにかかる費用、塾・予備校の費用の相場はどれくらい?】

第1回 大学卒業までにかかる費用、塾・予備校の費用の相場はどれくらい?

子育てをする上で、親が真剣に考えなければならないことの一つに、教育資金の準備があります。

教育資金は、住宅資金、老後資金と並ぶ人生の3大資金の一つと言われており、その中でも一番の柱として考えるべきものだとされています。金額の大きさもそうですが、他の2つとは異なり、それ自身を節約してやりくりすることが出来ない性質のものだからです。

子育ては親の収入がこれから伸びていく年代にはじまることが多く、住宅費その他の生活費にお金がかかる時期とも重なります。10年20年と収入に対して支出の比率が大きな時期に、難関大学への進学までに必要なお金を無理なく出し続けていくためには、長期的視点での戦略が欠かせません。

考えるべきことは多岐にわたりますが、必要なポイントを一つひとつ押さえていけば、決して難しいことではありません。まずは、お子さまの夢の志望校合格、大学卒業、さらにその先の親御さまの人生までを見据えた収支計画を立ててみましょう。あとはそこにむかって準備をしていくだけです。

幼~大まですべて国公立で2,800万円・私立中高一貫校から私立大文系なら3,500万円が最低限必要

それでは、子どもを1人、大学卒業の22歳(医歯系なら24歳)まで育てるには、どれくらいのお金がかかるのでしょうか?

よく引用されているAIU 保険会社の統計をもとに計算すると、2020年現在、子どもを0歳から22歳まで育てるのにかかる基本的な養育費(教育費を除いた生活費)は1人あたり1,800万円程度、24歳までだと2,000万円程度になるものと思われます。

1.子ども1人あたりにかかる養育費の目安
22歳まで(4年制大学をめざす場合) 24歳まで(医歯学部など6年制大学をめざす場合)
約1,800万円 約2,000万円

※AIU 保険会社「現代子育て経済考」2005 年版を参考に、総務省統計局 「2015年基準消費者物価指数 長期時系列データ」より2005年・2019年の数値を比較して補正

これに別途、教育費が加わってきます。これも様々な統計がありますが、文部科学省の調査をもとに諸費用を加味して計算すると、次のような数字となります。

2-1.高校卒業までにかかる教育費
公立 私立
幼稚園 約70万円 約160万円
小学校 約200万円 約1,000万円
中学校 約150万円 約430万円
高校 約140万円 約300万円

※「文部科学省平成30年度子どもの学習費調査の結果について」を参考に、幼稚園3年、小学校6年、中学校3年、高校(全日制)3年でかかる教育費(授業料+給食費+部活動費+塾授業料を含む学校外活動費)の平均値を10万円切り上げで算出

2-2.大学でかかる教育費
国公立大 私立大文系 私立大理系 私立大医歯
約400万円
医歯:約600万円
約600万円 約740万円 医:約3,800万円
歯:約3,550万円

※「文部科学省私立大学等の平成30年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」(資料1)(参考2)を参考に、入学金+4年間ないし6年間の学費+施設維持費(私立)+実験教材費(私立)の平均値、その他書籍費等で月2万円、通学費等で月1万円を加味した総額を、50万円切り上げで算出

以上をまとめると、幼稚園から大学まで、すべて国公立で卒業した場合で約2,800万円。幼稚園は私立、小学校は公立に通い、私立中高一貫校から私立大文系学部に進んだ場合で約3,500万円。すべて私立で医学部を卒業する場合には7,700万円程度かかる計算になります。

最難関をめざすなら教育費はさらに600万円以上、総計4,100万円

ここまでの金額はあくまで大学受験をしない生徒を含んだ平均値です。国公立大、難関私立大、医歯薬学部など、上位のレベルの大学をめざすのであれば、進学塾・予備校等の授業料を加算して考える必要があります。

たとえば小4・5・6、中2・3、高2・3の受験学年のうち、いずれか4年間だけに絞って進学塾の授業数を増やした場合でも、上位進学塾の授業料の平均を月10万円とすると、総額で480万円の追加費用が発生します。

ほかにも、受験料や第2志望校に払う滑り止め入学金なども、大学受験までのすべての受験の合計額を考えると相応の金額になってきます。

高校卒業後に浪人する場合には、その分の学費や養育費も必要です。進路を旧帝・早慶・医歯学部などの最難関に絞っている方は、万一に備えておくべきです。

志望する大学が遠方にあり、実家を離れて1人暮らしをする場合には、生活費の仕送りも考える必要があります。

大学在学中の海外留学も当たり前になってきましたし、将来研究職をめざしている場合には大学院への進学が必須の時代です。

3.上位校への進学を考えるなら見込んでおきたい追加費用
進学塾・予備校の授業料 上位進学塾では月10万円~
受験学年4年間限定として480万円~
受験料や滑り止め入学金 中・高・大合わせて100万円は必要(医学部の場合は倍)
浪人をした場合の費用 予備校代+1年分の養育費追加で200万円~
自宅外通学をする場合 都市部では月10万円~ 4年間で480万円、6年間で720万円程度の仕送りが必要
海外留学 大学在学中の単位認定留学半年で150万円程度
大学院への進学 修士課程・博士課程合計5年間の養育費込みで、国公立800万円、私立理系1200万円程度(自宅外通学の場合は+600万円)

進学塾代と受験料、滑り止め入学金だけを考えてもおよそ600万円程度が先程の金額に追加となる計算です。

本気で最難関校をめざすのであれば、すべてを地元の国公立で卒業する場合で3,400万円程度。私立中高一貫校から地元の私立大文系学部に進む場合で4,100万円程度。すべて私立で医学部を卒業する場合には8,400万円程度が、子ども1人あたりにかかるお金の目安となるでしょう。
※あくまで平均的なモデルケースで考えた場合です

1日でも早い親の準備がわが子の選択肢を増やす

ここまでの説明で「親の所得によって子の人生が決定するのだ」そう感じた方もおられるかもしれませんが、それは必ずしも正解ではありません。

親の貯蓄が多いほど有利になるのは確かですが、いま所得が少なくても必要なときに使えるお金を増やすことはできますし、所得が多くても必要なときに使えるお金が足りなければ子どもが本当に行きたい学校を諦めさせることになるでしょう。

無駄な支出を減らしお金を有意義に使うこと。持ちうる資産を上手に運用すると同時に使える助成金等をしっかり活用すること。病気や災害や景気の悪化など今後起こりうるリスクに備えておくこと。最新の情報に基づいて貯蓄と支出の計画を随時見直していくことなど、出来ること/考えなければならないことはたくさんあります。一日でもスタートが早ければ、その分だけお子さまの選択肢は増えていきます。

次回からは、子育て世帯のファイナンシャルプランを設計する上で知っておくべきお金の貯め方・増やし方・使い方のポイントについて、数回にわたり解説していきたいと思います。

今回のおさらい

  • 本気で難関大をめざすなら、中学校から私立に通った場合で大学卒業までに4,100万円(うち、教育費2,300万円)かかる
  • 所得の大小に関係なく、1日でも早く準備をはじめることが選択肢を増やす

著者プロフィール

根岸潤
根岸潤
ねぎしじゅん

一橋大学卒。株式会社ファシオコンサルティング(東京・飯田橋)取締役。行政書士試験合格者。ファイナンシャルプランナーとして法人・個人のライフプラン設計を数多く手掛けている。クイズを趣味としており雑学も豊富で、「第3回FNS1億2000万人のクイズ王決定戦!」(1991年・フジテレビ系)優勝、「連続クイズ ホールド・オン!」(2012~2014年・NHK)100代目チャンピオンなど、全国ネットのクイズ番組で活躍した経歴を持つ。

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