
中学入試に出る理科実験
science-experiment
近年、中学入試の理科では、身のまわりの物事の仕組みについて考え、もっている知識と相互に紐づけていく取り組みが求められています。「どうして?」という日常の素朴な疑問を大事にすること、実験・観察に関連した出題に対応できるような学習を進めておくことが大切です。
このコーナーでは、実際に中学入試で出題された問題に触れながら、ご家庭で取り組める簡単な実験を紹介します。

【中学入試に出る理科実験①】 栄光学園中で出題された 小麦粉のグルテンに関する実験
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栄光学園中で、スパゲッティの材料となる小麦粉からグルテンを取り出すというテーマの出題がありました(2020年理科)。今回は、パスタを使って、グルテンを取り出す実験を紹介します。
【実験1】
パスタの「こし」のもと!
グルテンを取り出してみよう
パスタのこしのもと「グルテン」を取り出してみましょう。最近、グルテンフリー食などで注目される「グルテン」。どんな物質なのでしょうか。
<用意するもの>
- ボウル…2個
- 小麦粉(強力粉)…1カップ
- 水………ボウル1杯
- こし布…(さらしやガーゼ、いらなくなったTシャツでも結構です)
- ヨウ素系うがい薬……1㎖
ボウルに小麦粉1カップと水0.5カップを入れます。
生地を手で混ぜ、10分ほどこねます。
こし布で包んで、水の中で10分ほどつぶすようにもみます。
水が白くにごり、布の中は固く小さくガムのようになります。
20分ほどたつとデンプンが沈澱するので、上澄みを捨てます。
ボウルの底にたまったデンプンにうがい薬を垂らすと……。
うがい薬のヨウ素がデンプンと反応し青紫色に変わりました。
こし布の中に残った成分がグルテン。粘り気があります。
タンパク質に反応するニンヒドリン溶液を加え加熱すると……。
紫色になるので、グルテンはタンパク質の一種だとわかります。
【まとめ】
小麦粉の成分はグルテンとデンプン
小麦粉にはタンパク質とデンプン(炭水化物)が含まれていて、水中でもむと、簡単に分離できます。さらにもむと、タンパク質の一種で弾性のあるグルテニンと粘性のあるグリアジンが水を吸収して網目状につながり、弾性と粘性を兼ね備えたグルテンが形成されます。グルテンはパスタの「こし」のもと。デンプンはソースなどの「とろみ」のもとになります。
【実験2】
おいしさのひみつは「乳化」!
パスタを作ってみよう!
<用意するもの(1名分)>
- A 唐辛子…1本
- A ニンニク…1片
- A オリーブオイル…20cc
- 水………100cc
- パスタ…70g
- 塩……1つまみ
- パセリ……お好み
- フライパン……1個
フライパンでAを弱火で5分熱し、風味を出します。
パスタ、水を直接油に入れ、かき混ぜながら中火で熱します。
水と油が白く混ざり、だんだんとろみが出てきます。
なめらかなソースがからんだペペロンチーノが完成!
【まとめ】
水と油が混ざり合う「乳化」
ふつうは混ざり合うことのない水と油。なかよくなれない関係を「水と油」と例えることがあるほど。ところが、パスタを直接油に入れることで、小麦粉にふくまれるデンプンが油を包み、水と油が混ざってなめらかなソースになります。この作用を「乳化」とよびます。とろっと乳化したオイルはパスタにからまりやすく、再び水と油に分離することもありません。
■実験監修
TOMASサイエンス教室 矢野 仁(やの ひとし)先生
TOMASの教室で理科実験プログラムを開催している。子どもたちの「なぜ?」「ふしぎ!」を引き出す問題発見型のプログラムに定評がある。
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