

中学受験の面接 どう対応する?
中学受験で面接が課される学校は多くありません。実施している学校でも短時間で、合否判断の重点はあくまで学力に置かれています。ですが、志望校の入試に面接がある場合はしっかりと対策を立てたいものです。定番の質問は事前に準備することができるからです。
さらに、近年はプレゼンテーションやディスカッションなど学力を測る入試の一部として取り入れる中学校が増えおり、従来の面接とは異なる準備も求められています。入試のスタイルが多様化する今どきの中学受験の面接について解説していきます。
中学受験の面接の目的や種類
中学入試で面接を設けているのは、一部の伝統校や女子校に見られます。
面接を行う主な目的は「その学校に通いたい気持ちがあるかの確認」です。学力試験ほど重視されませんが、合否のボーダーラインにいるときには、判定の参考になることがあります。子どもが単独で受ける個人面接、複数で受けるグループ面接、保護者が同伴する親子面接が主に行われています。
個人面接
子どもが1人で受ける、もっともオーソドックスなスタイルです。面接官は1人、または複数人で机をはさんで行われます。筆記試験のあと、1人ずつ3~5分程度で行われます。1つの教室に複数の机が設置されることもあります。
グループ面接
複数人の子どもが同時に面接を受けるスタイルです。同じ質問に順番に答えていく、1人ずつ別の質問がされるなど学校によりさまざまです。全体としては個人面接よりも受け答えの時間は短くなります。
親子面接
子どもに保護者が同伴して面接を受けます。家庭での教育方針や、親子での会話など家庭での過ごし方を問われます。保護者にとっても緊張の高まる面接です。
中学受験の面接、服装やマナーは?
受験生や保護者としては、「上手く答えられるように」という気持ちが先走ります。でも、学校の立場からすると、面接官である先生と受験生が直接会話することにより、学校の雰囲気を理解してもらい、入学の意志を固めてもらうことが面接の目的なのです。
そう考えると面接成功のカギは、きちんとコミュニケーションが取れることにあります。面接のポイントを見ていきましょう。
言葉遣いやマナー
どのような面接でもそうですが、面接官との会話の内容以前に、言葉遣いやマナーは判断されてしまうものです。受験番号や名前を呼ばれたときの「はい」という返事や、お辞儀、着席の仕方や話すときの正しい姿勢、視線、ハキハキした受け答えは必須です。
面接が終わったあとも「ありがとうございました」とお礼を述べ一礼する、椅子をもとに戻す、といった動作も身につけておきたいものです。
丁寧語や敬語がある程度使えることが望ましいですが、流暢に話せる必要はありません。緊張で言葉に詰まることがあるのは面接官もよくわかっています。ゆっくりでもいいので落ち着いてやりとりができるようにします。
服装
ジャケットやブレザーにパンツやスカートの組み合わせ、靴はローファーが定番です。制服のある小学校に通っている場合は、それを着て構いません。
親子面接がある学校では、保護者は紺や黒などのスーツスタイルが一般的です。親子とも、清潔感があり華美過ぎない、また極端に砕けていない「無難な」スタイルであれば周囲から浮かず安心です。
注意したいのは、筆記試験のあとに着替えたりする場所が少ないということ。筆記試験では上にカーディガンを着て、面接時にジャケットに着替えるなら持ち運びなども考えなければなりません。最初から面接用の服装で筆記試験にも望むなら、着心地や寒さ対策なども考慮したいところです。入試前に「着慣らし」「履き慣らし」をしておくとよいでしょう。
面接までのタイムスケジュールは要確認
面接のある学校の入試と同じ日に、併願校を受験する予定があるなら、タイムスケジュールをしっかり確認しておくことをおすすめします。面接は筆記試験のあとに、受験番号順に行われることが多いのですが、昼食をとってから午後に面接する学校もあれば、筆記試験終了後にすぐ面接に入る学校もあり、終了時刻がはっきり読めないからです。
コロナ禍でここ数年、面接を中止していた学校も、2023年入試では復活の兆しを見せています。面接の有無も含めて、わからないことがあれば学校説明会や入試説明会の際に問い合わせるのがベストです。
中学受験の面接でよく聞かれる質問
面接時の代表的な質問は、ある程度共通しています。あらかじめ答えを用意し、スムーズに言えるように準備をしておきましょう。親子面接がある場合は、保護者も事前準備が必要になります。
子どもの面接対策のコツ
1) 子どもがよく聞かれる定番の質問
- 受験番号と氏名
- この学校を志望した理由
- 通学ルートや時間
- 筆記試験の感想
- 得意な科目と不得意な科目
- 将来の夢
- 自分の長所と短所
- 小学校でがんばったこと
- 最近読んだ本の感想
- 気になったニュース
2) 定番の質問は文章化して練習する
定番の質問への回答は事前に文章にして準備をしましょう。学校は模範回答を求めているわけではありません。受験生や保護者の考え、意見を確かめたいと思っています。嘘がないよう、子どもと保護者で話し合いながらポジティブな回答になるよう考えていきましょう。
志望動機は学校のパンフレットを参考に、学校説明会や行事に参加しての印象も入れるといいでしょう。自分の長所、短所などは親子で会話しながら決めましょう。結論を先に出し、具体的なエピソードや理由があると説得力が高まります。
回答の文章ができあがったら、丸暗記して読み上げる形ではなく、自然に話せるようになるまで練習が必要です。もし、本番で考えていなかった質問をされたときは、自分の言葉で話して構いませんし、わからないときは素直に「わかりません」と答えて大丈夫です。
3) 第三者に聞いてもらってアドバイスをもらう
受験が近づいてくると忙しくなり、親子で練習する時間を取るのは難しいかもしれません。そんなときは学習塾の面接対策講座を受講する、塾の先生に直接相談するのが有効です。客観的に見てどんな印象だったか、回答の中身はわかりやすく伝えられたかなど、アドバイスを受けるといいでしょう。
保護者の面接対策のコツ
1) 保護者が面接でよく聞かれる質問
- この学校を志望した理由
- 通学ルートや時間
- 併願校
- 家庭の教育方針
- 子どもの性格
- 家で子どもにさせている手伝い
- 親子のコミュニケーションの取り方
- どのような人に育ってほしいか
2) 親子で回答が食い違わないようにする
親子面接では、同じ質問が子どもと保護者の両方に問いかけられることがあります。回答が食い違っていると家庭でのコミュニケーションが不十分、という印象を与えます。面接の準備をするときに家族でしっかりと話し合い、考え方を確かめておきたいものです。
3) 普段からのコミュニケーションを大切に
親子面接では面接官から予想外の質問を投げかけられることもあるでしょう。また、子どもがどんな受け答えをするかドキドキすることもあると思います。ですが、子どもが話しているのに途中から割り込んだり、「違うでしょう」と子どもを否定したりしては、良い印象を与えません。
日ごろの親子の会話の様子が見えてしまうのが親子面接です。子どもの目を見て話す、互いに最後まで話を聞く、子どもが言おうとしていることを先回りして言わない、など丁寧なコミュニケーションを心掛けることが、面接時の本番力につながります。
新タイプの「面接」はしっかりした準備を
近年、グループディスカッションやプレゼンテーションを入試で課す私立中学校が増えています。表現力や協調性を見るために行うもので、面接の結果が「点数化」され、合否判定に用いられます。ここまで紹介してきた従来型の面接とは狙いや形式が異なるので、志望校選びの際には注意が必要です。
多様化する入試の1つとして広がる
私立中高一貫校の募集要項を見ると、「プレゼンテーション」「自己PR」「グループワーク」などの名称で面接を実施する学校があります。2010年代半ばから進んできた「入試の多様化」を象徴するスタイルとして注目を集めています。
表現力やコミュニケーション力を評価
これらの面接は、従来型の面接とは目的が異なります。受験生本人の知識だけでなく、思考力や判断力、表現力、ほかの受験生とのかかわり方やコミュニケーション力、積極性などをパフォーマンスから評価しようというものです。受験生全員ではなく、その入試回を希望した受験生だけが参加するものです。
新しいスタイルの面接では、普段から自分の考えを持って、相手にわかりやすく伝える経験がないと本番で力を発揮することができません。現在の小学校のカリキュラムではプレゼンテーションをする機会も増えていますから、普段の学校の勉強にも力を入れること、加えて学習塾での準備も必要でしょう。
ひと口に「面接」といっても今はいろいろな形があることに注意して、準備を進めていきたいものです。
まとめ
入試で面接のある私立中高一貫校の在校生に話を聞くと、「面接のときに誘導係の先輩が優しかった」「順番を待つあいだ高校生が雰囲気を和ませてくれた」などと、うれしそうに教えてくれる生徒が少なくありません。
面接本番で味わった緊張感は入学後、学校への愛着へと変わっていくようです。子どもにとって、中学受験の面接が、人生で初めての面接体験となることも多いでしょう。学力重視の中学受験ではありますが、面接は子どもの成長と自立を促すよい機会になります。
2021年、22年の入試では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、面接中止、面接時間の短縮化、筆記などへの代替をする学校が相次ぎました。2023年の入試では復活するところも出てきていますが、感染状況によっては変更の可能性も残されています。
面接の有無は中学入試全体の動向にも影響しますので、受験を控えた6年生だけでなく、5年生、4年生も注目しておきたいものです。
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