東京大学
基本情報
国語全体で100分/問題数:国語全体で大問3題
分析担当
武居 裕之

出題内容・難易度

大問 出題内容 出題形式 難易度
第三問 1 語句の解釈 記述式 やや難
2 現代語訳 記述式 標準
3 内容説明 記述式 やや難

問題分析

  1. 語句の解釈の問題で、やや難しい。aの「不僅」は「わづかに~のみならず」と読み、「~だけではない」の意。bの「草野」は「在野」という言葉をヒントにすること。cの「与」は「あづかる」と読むこと。
  2. 現代語訳(送り仮名なし)の問題。「不敢~」は「あへて~ず」と読み、「決して~しようとしない」の意、「自」は「みづから」で「自分で」の意、「非是」は「是非」に同じであることがポイント。
  3. 内容説明の問題で、全文の主旨に関わる理由説明の設問である。対句や対比の表現を利用し、「亦」「之」に注意して、筆者が学校には本来「養土」と「公其非是」の2つの役割があることと規定して、「朝廷之勢利」によっていずれもが失われていると論じていることを読み取ること。その内容を的確にまとめるのが難しい。「本文の趣旨を踏まえて」にも留意しよう。

総評

出典は黄宗羲の『明夷待訪録』という論説文。分量は192字と、昨年の219字と比べてやや減少。全体としては、やや難化した。設問に関わる部分での送り仮名の省略が、昨年は1箇所だったものが本年は6箇所に増加している。ここ数年のものと比べて解答欄がやや狭いので、明瞭・簡潔に解答を記す表現力が求められた。
本文は学校のあり方を論じた文章であり、論説文は2年連続の出題である。学校の本来のあり方は、天下の是非を決め、有能な人材を育成することにあるのに、現在はその機能を果たしていないという内容の文章であり、本年度も昨年同様、論理的でやや難しい文章であった。漢文の論説的文章の特徴である対比や対句的表現が用いられており、それを利用して読み取ることが重要である。
東大国語の漢文では、随筆や史伝などからの出典が多く、比較的難度に無理のない良問であることが多い。対策としては、基本句形や重要単語の習得と(注)などに対する注意力、記述型の設問に対する解答力など、模試や過去問を通じての十分な問題演習が必要である。さらに、漢文の背景となる思想や歴史などの知識も学んでおこう。また、数年おきに漢詩が出題されるので、文科・理科ともに対策が必須である。