東京大学
基本情報
国語全体で100分/問題数:国語全体で大問3題
分析担当
尾崎 美穂

出題内容・難易度

大問 出題内容 出題形式 難易度
第一問 1 傍線部の説明 記述式 やや難
2 傍線部の説明 記述式 標準
3 傍線部の説明 記述式 標準
4 傍線部の説明
(論旨の把握)
記述式 やや難
5 漢字の書き取り
(3問)
記述式 やや易

問題分析

  1. 傍線部を含む段落と次の段落、その次の段落までの内容をまとめる。「生物の営み」が「自然界」で「例外的」であるとはどういうことかという問いなので、「自然界」のことを記した部分と比較する形で「生物の営み」がどのように「例外的」かを答える。
  2. 傍線部の直前に着目すると、「秩序」と「無秩序」の「間」にあるのが「生命」であるとあり、傍線部ではこのことを指して「複雑で動的」であると言っている。また、前々段落には「安定」と「無秩序」の「間」にある「特殊で複雑性に富んだ」存在が生命であるとも述べられていることから、「秩序」や「安定」と「無秩序」の「間」にあることを「複雑」と捉える。その「間」において「動」いているのが「生命」である。
  3. 傍線部のある段落とその前三段落分の内容を把握する。「福音」は「良い知らせ」の意。傍線部直前に「それは」とあるので、指示語で示された内容をまとめる。前の三段落では科学により明らかになったことが増えたことを述べる。そのことを傍線部の段落では「形」が「生まれ」ることとし、「それ」で受けている。
  4. 生命が「秩序」や「静」と「無秩序」や「動」とのはざまにあるという前半の趣旨を踏まえる。「分からない」世界から「分かること」を増やす=「形」を作るという人の知的な営みもまた、「分からない」と「分かる」のはざまにある。「分かること」ばかりの世界では知的な営みは行うことができず、「分からない」世界を前提として初めて「いろんな「形」」・「多様性」が生まれる世界となる。
  5. a コウケンは、「貢献」 b ダイタイは、「代替」 c サイキンは、「細菌」

総評

昨年度に比べて分量も増加し、問題もやや難化した。
出題は、例年通り文章の核となる部分についての内容を問うものであり、各まとまりで筆者が主張していることを簡潔にまとめる能力が求められている。今回は、(一)と(二)で前半の核となる「生命」の特徴はどのようなものであるかという点が問われ、(三)では科学的営為の効用、(四)では(三)の部分に対する筆者の見解について問われている。(一)~(三)は概ね傍線部の前後3~4段落分の要約、(四)は本文全体を把握した上での傍線部の意味を答える問題であった。
また、例年同様(五)に基礎的な漢字の書き取り問題が3問出題されている。今回はすべて同音異義語が存在する語であり、前後の文脈を正確に読み取る必要があった。 解答の書き方としては、本文にある語を使いつつ、ときに自分の言葉でまとめることも必要となる。正確な内容把握力および要約力と、適切な言葉を選ぶ語彙力とが求められている。
普段から多くの評論文に触れ、要約力・語彙力を高めていくことが必要となる。