昭和大学
基本情報
試験時間:2科目140分/問題数:大問 3題
試験時間:2科目140分/問題数:大問 3題
分析担当
小出 信夫
小出 信夫
出題内容・難易度
大問 | 出題内容 | 出題形式 | 難易度 |
---|---|---|---|
1 | 文法・語彙(15題) | 選択式 | やや難 |
2 | 読解(総合問題3題) | 選択式 | 標準 |
3 | 読解(総合問題7題) | 選択式と 記述式 |
やや難 |
問題分析
- 文法7題、語彙8題で構成されている。両分野ともに基本的な問題を中心に出されているが、難度が高い問題が数題含まれている。特に、疑問副詞Howがbe動詞の補語として用いられる問題(1)や、holidayを目的語にとる動詞がtakenではなくearnedになる問題(3)は失点率が高いだろう。とりわけ後者は、文法ではなく文脈判断になっているが故に間違えやすい。また、systemを「身体」という意味で選ばせる問題(4)やThe world is my ( ).「この世は思いのまま」という表現で、空欄にoysterを入れる問題(13)も難しい。前者は医学部固有な問題の様だが、これまでに出された例は東海大(国際文化 2017)だけである。他方で、後者はシェイクスピア由来の難解な表現だが、京都教育(教育 2019)や早稲田(商 2008)で出されている。配点比率30%ほどであろう。
- 「生物の概日リズム」に関する論稿で、約700語。問題構成は、段落整序1題、語句の空所補充1題(枝問3題)、同義語1題(枝問3題)となっている。概日リズムに関する読解問題は、医学部に限っても、筑波(2020)、愛媛(2014)、東邦(2010)、東北(2002)、奈良県立医科(2000)が出題している。設問に関しては、段落整序が大きな割合を占め、その他は語彙力にかかわるものでしかない。段落整序問題の作り方は2022年度(Ⅰ期)の大問3と似ている。なお、語彙問題の中に、解答が不明確な問題(3(a))がある。配点比率は20%ほどであろう。
- 「偽薬の効果」に関する論稿で、約1400語。問題構成は、語の空所補充2題(選択3題、記述5題)、和訳1題、整序英作1題、誤り指摘1題、下線部説明1題、字数指定の説明1題(160字)となっている。なお、このテーマは入試頻出で、島根(2023)、名古屋市立(2022)、順天堂(2022、2018)、岩手医科(2021)、東邦(2015)、防衛医科(2015、2012)、浜松医科(2013)、日本医科(2013)、関西医科(2011)、岐阜(2011)、東北(2009)などで出題されている。また、「偽薬」に関しては、被験者も治験者も共に偽薬か実薬かをわからないままに治験を行うという従来の「二重盲検法」に対して、本問は両者が共に偽薬であることを知った上で治験を行うという新しい方法を説明したもので、前述の名古屋市立の問題と内容的にかなり近い。配点比率は50%ほどであろう。
総評
「文法・語彙」一題と「読解」二題という設問構成は昨年度までの形式を踏襲している。もっとも、例年は大問1に数題含まれている会話文が出題されなかった。しかし、会話文と言っても実質的には語彙問題なので、その影響は全くない。それよりは、例年通り、文法に高い比重を置いていることに多少の違和感を持たざるを得ない。なぜなら、旧設医科大上位校の入試英語の主潮流が読解や英作文の分野が中心で、特に記述問題に重点を置いている時代の流れに必ずしも沿っているとは思われないからである。およそ旧設医科大学で文法固有の問題を出しているのは、関東圏の私立医学部では本学を除いて東医と東邦しかない。慶應、慈恵、日医、順天など名だたる旧設医学部だけでなく、共通テストでさえ文法問題を出題しなくなっている状況で、旧来の硬化した知識問題に拘り続ける積極的な理由が見当たらない。今後は、時代が求める4技能重視という視点から、readingやwritingに特化した設問構成を期待したい。特に、英作文は、本学のレベルからしても、和文英訳なり自由英作文が入っていても良いだろう。とは言え、本学の問題も、大問3で和訳問題や説明問題という形で記述問題が出題されていることは評価できる。特に、説明問題で160字以内という指定字数で書かせるのは、日本語の「言語運用能力」を問うものとして積極的な評価に値する。今後はさらに記述力を重視することで、豊かで柔軟な思考力を評価する試験となることを強く願いたい。