昭和大学
基本情報
試験時間:理科2科目合わせて140分/問題数:大問5題
試験時間:理科2科目合わせて140分/問題数:大問5題
分析担当
勝亦 征太郎
勝亦 征太郎
出題内容・難易度
大問 | 出題内容 | 出題形式 | 難易度 |
---|---|---|---|
1 | 窒素同化 (窒素固定、化学合成、 硝化、種間関係) |
記述式 | やや易 |
2 | 生態系 (水質の環境保全、自然浄化、外来種、 生物濃縮、地球温暖化) |
記述式 | やや易 |
3 | 発生 (母性因子、体軸決定、 目の形成と誘導、発生運命の決定実験) |
記述式 | やや易 |
4 | 細胞死 (プログラム細胞死、 アポトーシス、自己に対する免疫寛容) |
記述式、 作図による説明 |
やや難 |
5 | 遺伝子発現 (ヒト遺伝子クローニング、PCR法、 逆転写、ウイルス) |
記述式 | 標準 |
問題分析
- 窒素同化と関連する内容に関する問題。教科書かと思わせる程に読み易い文章で、語句やイオン式の穴埋めに苦労しそうな点は見当たらない。共生に関する知識問題も基本~標準的な問題集であれば頻出の内容で、極めて基本的な内容の大問であった。
- 環境問題に関する問題。基本的な知識問題ばかりであったが、DDTが農薬として使用されていたことやBOD、CODの略語にする前の日本語の名称について、といったやや細かい知識の出題もあった。ここで少し差がつくかと思うが、満点近くを取って欲しいレベルの大問であろう。
- カエルを中心とした発生に関する問題。こちらも基本事項の穴埋めと記述が中心。問5まではほぼ満点で通過して欲しいレベル。問6に関しては問われ方が見慣れないものだったため、知識を有していてもどう答えたらよいか困った受験生もいたのではないだろうか。
- 細胞死に関する問題。大問で出題されることはさほどなく、学習や復習の頻度も低くなりやすいテーマ。そのため知識不足だったり定着が甘かった受験生も多かったと思われる。この大問が今年度最も差がついた問題ではないだろうか。その中でも問2のカスパーゼは未知の受験生が多く厳しかったはず。問3もいざ問われるとどのように答えたらよいか難しく完答は難しい。問4の作図による説明は教科書や図説で見たことがあるはずで、しっかり正答したいところ。問5の記述問題は、アポトーシスを正しく理解した上で、感染細胞内で起こっていることとその後について知っている必要があり、要求されているレベルは高いが「知っていることを組み合わせて総合的に思考し表現する力」を問う良問。
- 遺伝子発現に関する問題。問1の語句穴埋めや問2のPCR法の1サイクル過程説明、問3のプライマーの塩基配列決定問題は典型的な基本問題で完答して欲しいレベル。問4は悩ましい記述問題で差がついたであろう。組換えタンパク質発現が大腸菌だけでなく哺乳動物細胞でも可能であり、その結果、糖鎖やリン酸の修飾が可能となることを知っていて正答できた受験生は果たして何人いたか。難問と言える。問5はこのご時世ということもあり、知識をしっかり入れていて完答して欲しい問題。
総評
昨年度までは大問4題であったが、今年度は大問5題となった。基本~標準レベルの知識を使った用語穴埋めや記述問題が大半で、1問だけ作図による説明をする問題が出たが、遺伝を含めた計算問題は皆無であった。大問1,2,3,5でミスすることなく着実に得点を重ねて、大問4でどれだけ拾ってこられるか、という戦いとなったのではないだろうか。記述問題は7字~60字の範囲で答えるものであり、問われていることの核となる部分を見抜き、解答しなければならない内容を精査して字数内に収める能力が求められた。例年通り正しい知識とその知識を使った考察や記述がメインであり、そのレベルは基本的なものがほとんどである。教科書傍用問題集や標準レベル市販問題集の反復による知識習得と、解いた範囲の内容を図説などで確認する地道な積み重ねを習慣化することを勧めたい。国公立大学の過去問演習を積極的に行うのも良いだろう。