昭和大学
基本情報
試験時間:英語と合わせて140分/問題数:大問4題
分析担当
首藤 卓哉

出題内容・難易度

大問 出題内容 出題形式 難易度
1 鷲田清一
『悲鳴をあげる身体』
漢字(書き・読み)、
選択式、記述式
やや難
2 安藤泰至
「人間にとって「死」とは何か」
(『医療にとって「死」とは何か』より)
漢字(書き)、
選択式、記述式
標準
3 飯田亘之
「killingとletting die」
(『哲学的観点から見た安楽死』より)
漢字(書き)、
選択式、記述式
標準
4 キャサリン・モンゴメリー著、
斎藤清二・岸本寛史訳
「個別性の科学―医療と不確実性」
(『ドクターズ・ストーリーズ』より)
漢字(書き・読み)、
選択式、記述式
やや易

問題分析

  1. 設問が全部で16問と他の大問と比べても多い。筆者は多くの高校の国語の教科書にも掲載されている鷲田清一なので、文章自体の難易度はさほど高めとはいえないが、50字以上60字以内と80字以上100字以内の比較的長めな記述問題があるので、練習が必要である。
  2. 設問は全部で6問と少ない。テーマも「死とは何か」というもので、医学部受験を目指しているならば小論文で馴染みのあるテーマであり、難しいとは言えない。ただし、6問中3問が記述問題であり、また字数制限がないので、問で求められている内容を端的に答える必要がある。
  3. 設問は全部で5問。示された語句の中から適切なものを選ぶ穴埋め形式の問題が中心であり、論理的思考が問われている。記述問題も1問あり、他の大問とは違い「具体的に述べよ」という指示があり、本文を引用しつつ適切に記述しなければならない
  4. 設問は全部で4問と大問4つの中で最も少ない。また、大問1~3までは「死」に関することがテーマであったが、本問は医学的内容が中心となった科学論がテーマであった。記述問題は2問で大問2と同様に字数制限がないものであり、答えが冗長的、もしくは説明不足にならないよう気を付ける必要がある。

総評

 本年度から国語か数学かの選択問題として設定された科目である。その理由として大学は「国際化・情報社会の発展や価値観の多様化など(中略)で、一人ひとりが物事を的確に判断できるような分析力や論理的思考力、創造力などを身に付けるとともに、豊かな感性・情緒を備え、幅広い知識と教養を持つことが極めて重要」「学力の3要素(「知識・技能」、「思考力・判断力・表現力」、「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」)を入学者選抜段階において多面的・総合的に評価する」ためとしている。(大学HPhttps://adm.showa-u.ac.jp/admission/info/より引用)特に今回の問題では「論理的思考力」や「教養」が中心に問われた内容であった。
 分析でも少し触れたが、4つの大問中3つが「死」に関するテーマであり、「死とは何か」「安楽死」など哲学的観点から論じる文章であった。このような哲学系の文章は自分の中に同テーマの哲学があればさほど難しいものではない。設問数は大問1が少し多いものの、文量や他の大問の設問数はむしろ少ないと言える。漢字の読み書きに関してもさほど難しいものはなかった。
 本学の小論文では大きく分けて「哲学系テーマ」「医系テーマ」の2つに分けられるが、それが国語で文章題として出題されたと考えればよい。全体的に難易度は高くはないが、英語の問題が長文速読化する中で時間配分をどうするかが重要となる。また、東大や京大との併願なら別であるが、私学のみの受験生はしっかりと記述対策をしておくことが本学の合格においてポイントとなる。