昭和大学
基本情報
試験時間:理科2科目合わせて140分/問題数:大問4題
分析担当
安部 雄太

出題内容・難易度

大問 出題内容 出題形式 難易度
1 力学:
万有引力
記述式 標準
A:地球の周りを
公転する月の運動
B:地球上の物体が
月から受ける影響
2 電磁気:
電磁誘導
(磁界中の金属棒の円運動)
記述式
3 熱力学 マーク式 標準
A:気体の混合・
定圧変化
B:分子運動論
4 波動:
ドップラー効果
記述式

問題分析

  1. 力学から、万有引力(宇宙内容)についての出題。A問題は、地球の周りを公転する月の運動に関しての出題であった。また、B問題では月による万有引力の影響が地球上の物体に与える影響に関する問題であった。A問題については、基本的な内容であるため完答したい。B問題は、あまり見たことのない問題ではあるが、誘導に従うことで完答できる内容になっている。
  2. 電磁気から、電磁誘導に関する出題であった。金属棒が磁界中を円運動し、それに伴う誘電起電力やジュール熱、電磁力等を問う内容であった。基本的な内容であったため、完答したい。
  3. 熱力学からの出題。
    A 問題では、3つの断熱容器に閉じ込められた気体の混合についての問題であり、前半は真空への気体の放出、温度の異なる気体の混合についての問題であった。後半は混合した気体の定圧変化であり、ともにどの公式や考え方を使うかさえ正しく判断できれば対処できる。混合後の気体のmolや温度等を整理しながら、とにかくミスがないように解答したい。
    B 問題では、水風船中の空気の分子運動についての問題。冷蔵庫内の水風船が、室温の水風船よりもしぼみにくい理由の考察問題であった。文中のヒントから分子運動論に結びつけられたか、で解答できるかが決まる。
  4. 波動から、ドップラー効果に関する出題であった。前半は、音源が静止している観測者に向かって真っすぐ進む場合と、斜めに進む場合での振動数を導出する問題であり、後半は動く音源と壁に挟まれた観測者が聞く直接音・反射音の振動数、うなりについての問題。こちらも大問2と同様に基本的な問題であったため完答したい。

総評

 全体として基本的な問題内容であり、物理での理想的な合格点は8割以上と言える。唯一大問3のB問題が考察問題となっていたが、他の問題に影響しないため、これ以外のとるべき問題がしっかりとれていれば問題ない。
 昭和大学の入試問題は、今年度はコロナの影響もあり易しめになったが、例年物理は大問のうち1~2題が発展問題、残りが易~標準レベルの典型問題が出題される傾向にある。そのため、発展問題に対応できる実力を備える、ということに意識が向きがちになるが、まずは発展以外の問題を正確に解答し、50点を確実に得点する、ということが合格には大切である。各単元の基本内容が定着していれば発展問題でも途中までは得点できるため十分合格点には届く内容となっている。もちろんすべて完答できることに越したことはないが、それよりも確実に合格点以上をとる、ということを意識したい。全体の基本内容の定着、加えて各単元の基本~標準問題に対して自分で全て時間内に解答できるか、ということを重視して学習を進めていくことが対策となる。