さきよみ中学受験

ウェルビーイングな中学受験を目指そう

ウェルビーイングな中学受験を目指そう

2023年度の新入学、新学期がスタートしました。お子さんが元気で、そして勉強や習いごとなどに目標を持って取り組んでほしいと考える保護者も多いことでしょう。
今、世界の教育界では、新たな教育の目標として「ウェルビーイング」という言葉がさかんに言われます。どのような意味で、学校の勉強や中学受験とはどう関わってくるのでしょうか。

心身ともに、社会のつながりにおいても「幸せ」なこと

ウェルビーイング(Well-Being)は、直訳すると Well(良い)Being(状態)にあることを指しますが、今日では、「身体的に良い状態であるだけでなく、心の状態や社会とのつながりにおいて満たされて、幸せな状態」を意味します。

ウェルビーイングという言葉は、1946年に世界保健機関(WHO)が設立された時の「世界保健憲章」の中に、健康の定義として登場します。
「健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます」(日本WHO協会仮訳)。

近年、ウェルビーイングは保健分野だけでなく、さまざまな分野で注目されるようになってきました。
背景には、日本も多様性を認める社会へと変わってきたことや、労働人口が減少する中で、誰もが活躍できる柔軟な働き方が求められるようになってきたことがあります。実現するには、物質面・経済面の幸せだけでなく、より広くウェルビーイングの観点からものごとを発想する必要が出てきているのです。

ビジネス分野であれば「社員のウェルビーイングを実現する経営」、行政の観点からは「市民が参加するウェルビーイングなまちづくり」などと使われます。
国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」の目標3「健康」にウェルビーイングの言葉が用いられたことも、ウェルビーイングが広まるきっかけになりました。

OECDもこれからの教育の目標として掲げる

教育の分野ではどうでしょうか。
国際的な学力調査「生徒の学習到達度調査(PISA)」で知られる経済協力開発機構(OECD)は、未来の教育を提案した「Education 2030プロジェクト」の報告書の中で、その重要性にふれています。
ウェルビーイングは所得や財産、職業や住宅などの物質的な面だけでなく、心身の健康、社会とのつながり、安全、環境、生活への満足度などを含む幅広い幸せの概念で、予測不可能な社会を生きるこれからの子ども達への教育は、ウェルビーイングを目標とすべきだと提言しました。

現在、お子さんが通う学校のカリキュラムも、こうした世界の動きに大きく影響を受けています。
知識を詰め込む学び方から、自分で課題を見つけ、情報を集めて整理・分析し、まとめて表現する探究型の学び方が広がってきているのも、影響のひとつです。子ども自身がウェルビーイングに生きるための方法を学んでいるといってもいいでしょう。

日本の子どものウェルビーイングは?

しかし、現実には日本の子どものウェルビーイングは高いとは言えません。
進学や就職などに深刻な影響を及ぼす「子どもの貧困率」はOECD諸国の中では最悪の水準にあり、7人に1人の子どもが貧困状態であるとされています。

また、不登校の小中学生は2021年度でおよそ24万5000人と過去最多となりました。日本の子どもは世界的に見て学力的には高水準にあるものの、諸外国と比べて自己肯定感が低いことはよく知られています。
もとよりコロナ禍でこの3年間、どの子どももさまざまな制限を受け、ウェルビーイングな生活を送れたわけではありませんでした。

2023年3月にまとまった、この先5カ年の日本の教育施策の方針を示す「教育振興基本計画」では、コンセプトの1つに「日本社会に根差したウェルビーイングの向上」が掲げられました。
「ウェルビーイングと学力は対立的に捉えるのではなく、個人のウェルビーイングを支える要素として学力や学習環境、家庭環境、地域とのつながりなどがあり、それらの環境整備のための施策を講じていくという視点が重要」だとしています。
これからの教育はウェルビーイングがキーワードとなることは間違いありません。

まとめ

中学受験を目指すご家庭にも、ウェルビーイングは大いに関係があります。
中学受験は学校生活や習いごとと両立させながら挑戦する、家族の一大プロジェクトです。保護者は志望校への合格が将来の子どもの幸せにつながると考えますが、そのプロセスがお子さん本人のウェルビーイングを損なうものであってはならないでしょう。
「合格のためには、親も子も全てを犠牲にする」という考えではなく、身体的にも精神的にも健康で、友達や周りの大人とのつながりも生かしながら、受験生活を幸せなものにしていく――そんなウェルビーイングの視点を持った中学受験を考えていきたいものです。


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