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大学のオンライン授業の満足度は?

大学のオンライン授業の満足度は?

新型コロナウイルス感染症の拡大を受けた2020年度、大学は授業のオンライン化への転換が急速に進みました。2021年度は対面とオンラインを組み合わせた多様な学び方が広がりつつあります。
このような状況で、大学に通う学生の暮らしや満足度はどうなっているのでしょうか。このほど文部科学省が行った調査の結果から、オンライン授業について半数の学生が「満足」と感じていることがわかりました。
しかし、大学生活は学業だけではありません。人間関係や就職活動、アルバイトなどで悩みを抱え、支援が必要な学生の姿も浮き彫りになっています。

「ほとんどオンライン授業」の学生が6割

文部科学省が行った「新型コロナウイルス感染症の影響による学生等の学生生活に関する調査(PDF)」は、学生約3,000人(有効回答1,744人)を対象に、2021年3月にインターネットによるアンケートで実施されました。

2020年度の後期に履修した授業のうち、オンライン授業の割合をたずねると「オンラインがほとんど・すべてだった:80~100%」と回答した学生は59.6%になりました。
「オンラインが多かった:50~80%未満」では19.9%、「オンラインは半分以下:10~50%未満」は11.3%、「オンラインはまったくない・ほとんどない:0~10%未満」は9.2%でした。

オンライン授業の良かった点として、「自分の選んだ場所で授業を受けられた」(79.3%)や「自分のペースで学修できた」(66.1%)が多く回答されました。
一方、悪かった点として、「友人などと一緒に授業を受けられず、寂しい」(53.0%)、「レポート等の課題が多かった」(49.7%)、「身体的疲労を感じた」(44.0%)、「質問等、相互のやりとりの機会がない・少ない」(43.9%)「対面授業よりも理解しにくい」(42.7%)などがあがりました。

オンラインに「満足」が6割、一方で孤独感や将来への不安も

オンライン授業の満足度をたずねると、「満足」「ある程度満足」の合計は、56.9%になりました。「あまり満足していない」「不満」の合計は20.6%、「どちらとも言えない」の21.0%をそれぞれ上回っています。
オンライン授業は時間や場所にとらわれない便利さがある一方で、内容が理解しづらい、人間関係が希薄になるなどのデメリットが浮かび上がった形です。

具体的な声として、「コロナ後もオンライン授業を導入すべき」といった肯定的な意見と、「孤独や学修への意欲の低下を感じる」「課題が増えることへの合理的な説明をしてほしい」などの否定的な意見の両方があがっています。
さらに改善点として、「ゼミや就職のための講座は対面が良い」「オンライン授業に必要な技術やトラブル解決の窓口が充実するとよい」など、学生の状況に応じた柔軟な対応を求める意見がありました。

コロナ禍は大学生の経済状況にも大きな影響をもたらしました。
2020年度にアルバイトをしていた学生は約8割で、収入の主な用途は、娯楽・嗜好費・交際費(35.6%)、貯金(18.4%)、食費(17.5%)でした。学生の2割は緊急事態宣言発令中の収入が、未発令のときに比べ大きく減少しています。その理由で最も多かったのは、アルバイト先の時短営業等で勤務時間が減少したことでした。

昨年度は、経済的に厳しい学生に対して、国や学校などによる支援が幅広く行われましたが、これらを利用していない学生は、全体の5割となり、そのうち約4分の3が「支援が必要ない」と回答しています。
一方で約15%の学生が、支援策がよくわからないなどの理由で、必要だったにもかかわらず、申請に至りませんでした。

学生生活における悩みは、「将来のキャリアに関する悩み」が最も多く73.3%となりました。
「経済的な状況への悩み」(40.7%)、「授業等の悩み」(37.9%)と続き、友人が作れない・交流できないなどの「学内の友人関係の悩み」は全体で29.1%でしたが、学年別に見ると学部1年生が46.3%と非常に高くなっています。
こうした悩みを受け止めているのは、友人(68.7%)、保護者や兄弟姉妹(65.4%)、同級生や先輩後輩(58.7%)が多く、大学の教職員や相談窓口(17.4%)を利用する学生は少ないのが現状です。

アフターコロナを見据えた大学選びの時代が来る

コロナ禍が収束するまで数年かかるとみた場合、大学は、対面をベースにした授業に戻るのではなく、オンラインと対面のミックス型の教育を模索する方向に動くと考えられます。
そうした時、学業面だけでなく、経済的な悩みや、人間関係、キャリアの悩みなど、調査に表れた大学生の悩みも当面、続くことになります。

大学側のサポートの充実や支援はもちろん大切なことです。授業の質の向上や、柔軟なカリキュラム、対面が必要な実験や実習の充実、学生同士の交流の場や就職支援の充実など、オンラインで有利なことと、対面でしかできないことが、今後は整理されて各大学の「魅力」として打ち出されるでしょう。

これまで大学は、充実した施設・設備を魅力としてアピールしてきました。
しかし、キャンパスに集う前提が崩れてしまった今、「大学の授業料は何のために払っているのか」とシビアな選択眼を持つ高校生や保護者が増えそうです。

先の見通せない時代には、大学進学前の教育段階である中学や高校のサポート、先生や友人同士の励ましなども、若者を支える存在として欠かせないものです。私立中高一貫校を選ぶ際、こういった認識も持っておきたいものです。


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