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令和の日本型学校教育とは

令和の日本型学校教育とは

昨年、平成に代わる新元号として登場した「令和」。その名前を冠した、新たな学校教育の方向性が、文部科学省内に置かれた「中央教育審議会(中教審)」によって示されました。AI時代、ポストコロナ時代に向け、日本の教育の未来図をどう描くのでしょうか。ポイントをまとめます。

勉強だけじゃない、日本型の学校教育の良さ

文部科学大臣の諮問機関である中教審は、さまざまな分科会を設けて、教育のあり方を議論しています。

このほど、その中間まとめ案が公表されました。タイトルは「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~中間まとめ 【案】」です。

中間まとめは大臣への「答申」の土台となることから、今後の学校教育の方向性を示すものとして注目を集めています。

中間まとめ案では、まず、これまでの日本の学校教育の成果と課題が提示されました。

日本の学校は、先生が子どもを総合的に把握して知・徳・体を育むスタイルで「諸外国から高く評価されている」としています。

そして、今回の新型コロナウイルス感染症の拡大で、学校は「勉強の場」というだけでなく、人とつながる「居場所」や、健康を保つ「セーフティネット」の役割があると考察されています。

一方、変化する社会の中で、いじめの増加や貧困、教師の長時間労働と教師不足の深刻化、デジタル対応の遅れ、感染症防止策と学校教育活動の両立など、従来の学校教育では対応しきれない、さまざまな課題が出てきました。

これらの課題を解決するには、従来の日本型の学校教育の良さを生かし、発展させた「令和の日本型学校教育」を実現する必要がある、とうたっています。

令和の教育のカギは「個別最適化」

では、新時代に対応する令和の学校教育は、何がポイントになるのでしょうか。

一つは、「個別最適な学び」です。子ども一人ひとりの学習進度に応じて、柔軟な指導や学び方ができることを指します。

これまでの学校は、時間や空間を子どもたちが集団で共有し、教室で授業を受けるのが一般的なスタイルでした。

それを、一人ひとりの状況に合わせたものに変えていこうというのです。

実現のカギとなるのが、ICTの活用です。

コンピュータで子どもたちの学習履歴や情報を収集・分析し、個人に合った教材や課題を提示できれば、同じ教室内で、それぞれの子どもに応じた学習、個別最適化が可能だと言われています。

実は、すでに実証実験が始まっています。子どもたちのつまずきをAIが分析して最適な教材を提供し、学習効率を高める研究や、 大勢の子どもの学力テストの結果をAIで分析し、学校での指導方法と成績の因果関係を見出す研究が進んでいます。

中間まとめ案では、児童生徒「一人1台端末」の実現や、教室環境や教師の ICT 環境の整備も強調されました。

高校「普通科」の再編も

もう一つの注目点は、高校「普通科」の改革です。

現在、高校生の約7割が普通科に通っていますが、大学入試を目的として学習が画一化し、実社会での課題解決能力の育成につながっていない、という指摘を受けてきました。

そのため、生徒のニーズや地域の実情に合わせて、新学科を創設できるよう提言したのです。

新学科のイメージは、「SDGs(持続可能な開発目標)など現代的な課題への対応を図る学科」や「少子高齢化など地域社会が抱える課題解決を探る学科」で、具体的な名称はこれから決まります。

早ければ現在の中学2年生が高校進学する2022年春には、新たな学科ができる見込みです。

現在、小学生のお子さんが高校進学するときには、普通科により多くの選択肢ができることになります。

中間まとめ案は、このほか、幼児教育の充実や、小学校高学年からの教科担任制の導入、障害のある子どもや外国人の子どもたちへの教育の充実、これらの教育に対応できる教員の養成などを求めています。

今後、関係団体からのヒアリングを経て、2021年1月には「中教審答申」としてまとまる予定で、議論がどう集約されていくかに注目が集まります。


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