
さきよみ中学受験

ICT環境で変わる大学入試への対応力
2024年からコンピュータ活用の入試へ
英語の民間試験活用で揺れている2021年1月からの新しい大学入試制度。
現在の大学入試センター試験に代わるものとして改革が進められてきましたが、2021年で完了するわけではありません。
2024年度の大学入試、つまり2019年現在、中学1年生の子どもが大学入試を迎えるころには、CBT(Computer Based Testing)というコンピュータを用いて解答する試験の導入が見込まれています。
これは、文部科学省が進めているもので、すでに高校での実証実験が始まり、入試への導入を計画している大学も出てきました。
コンピュータを用いて解答する入試は、デジタル技術を生かして、生徒の基礎学力や思考力・判断力・表現力などを適切に評価し、選抜に活かそうという狙いがあります。
全国で初めてタブレットを使用した入試を開発・実施している佐賀大学では、3つのタイプのCBT方式テストを設けています。
1つは、「基礎学力・学習力テスト」です。タブレット画面に出題された基礎的な問題を一定数解き終わったら、自動採点が行われ、間違った問題には正答と解説文が提示されます。そして、類似した「再チャレンジ問題」が出題され、正答すれば「学習する力」が備わっていると評価します。
2つめは、「思考力・判断力・表現力等を問うテスト」です。化学実験の動画を視聴したうえで解答するなど、思考力を問う問題が出題されています。
3つめは、「英語技能テスト」です。資料を見たり音声を聞いたりしたあとに、英語での受け答えをタブレットに録音するといった使い方をします。
現在は、センター試験を課さない推薦入試やAO入試で用いられていますが、ここに挙げた試験内容を見れば、紙のテストでは必ずしも十分に測定できない学力も、コンピュータを活用すれば効果的に測ることができることがわかるでしょう。
今後、大学入学共通テストのCBT化を意識して、推薦入試やAO入試などでCBT方式を開発・導入する大学が出てくることが見込まれます。
国が2024年度をターゲットに、CBT方式の導入を進めているのには理由があります。それは、高校のすべての学年で新しい学習指導要領が実施されるのがこの年度だからです。
新しい学習指導要領は、「知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力・人間性等」という3つの資質・能力を育成することを、小学校から高校までの一本の大きな柱として改訂が進められました。
小・中・高の12年間で身につけた力を試すには、デジタル技術を利用した新たな出題や採点形式が必須なのです。
中学校段階からICT活用能力を
こうした大学入試の動向を踏まえると、小中高校段階で十分なICT環境を整えることは当然のことのように思われますが、文部科学省の調べでは、全国の公立学校(小学校、中学校、高校など)の教育用コンピュータ1台あたりの児童生徒数は5.4人、普通教室の無線LAN整備率は40.7%、教員が授業にICTを活用して指導する能力は69.7%で、十分とは言えません(「平成30年度 学校における教育の情報化の実態等に関する調査」速報値)。
公立学校でのICT環境整備は各自治体の予算がかかることなので、改善のペースが遅いのは否めません。
中学受験を目指すご家庭では、ICT環境整備にいち早く力を入れてきた私立中学校を選んだうえで、ご家庭でも積極的にICT機器を活用することが、将来のお子さんの大学入試対策につながります。
その際に意識したいのは、「操作がわかる」「アプリが使える」といった受け身の力だけでは足りないということです。
キーボードつきのタブレットやノートパソコンなどを用いて、調べ学習をしてレポートにまとめ、プレゼンテーション用スライドや映像を作成できる。ビデオ通話やチャット機能を用いて相手と会話をしたり、質問をしたりとコミュニケーションが取れる。紙の本だけでなく電子書籍などにも親しんで長文を読むことができる……など、発信型・能動的な使い方を身につけることが必要です。
こうした力は大学入試だけでなく、その後の大学での学び、社会に出てからの仕事にも生かせます。新しい学びの形に抵抗を持たず、コンピュータを道具として、深く考えを巡らせ、自分の意見や感想をさまざまな手段で表現できる、本当の意味での「デジタルネイティブ」を、学校と家庭とで育てることが求められています。
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