高校受験向きかどうかを考える
中学受験か高校受験か
「わが子に中学受験をさせるべきか、否か」と迷っているお母さんから、ご相談メールが入ることがあります。
「中学受験と高校受験のどちらがいいか?」というご質問も少なくありません。
中学受験は精神年齢が高く、競争心があり、自己管理のできる子が有利とは言われていますが、そのような子は高校受験でも当然、有利といえます。
しかし、反対に精神年齢が幼く、平和主義者で、自己管理ができるとは評しにくい子であっても、中学受験に向かないことはないのです。
要は、その子その子に合った学校に進学できれば、みんなハッピーになるのですが、中学受験の選択をする時期は子どもがまだ小学生ということもあり、親もその進路選択に自信が持てないのでしょう。無理からぬことだと思います。
当然ながら、100人いれば100通りの“受験道”がありますので、答えは「ご家庭による」としか言いようがないのですが、それでも、考えるヒントくらいは欲しいですよね。
そこで、今回は中学受験とは逆に、「高校受験向きのご家庭とは?」という視点でお話してみたいと思います。
判断ポイント1 子どもの環境はどうか
まずは住んでいる地域の特性があります。
中学受験は必須の受験ではないので、地域差が出ます。高校受験志向の強い地域で中学受験をする場合は、より強い動機がなければ、子どもにとってつらい選択になる可能性もあります。
子どもが小学校の友人関係が大好きで、かつ、その仲間たちと学区公立中学に進みたいと希望している場合、高校受験に照準を合わせた方が真っすぐに成長していくケースも少なくありません。
小中高生にとって、友人関係は自分の世界のすべてとなりがちです。現在の人間関係に難がある、または逆に、どの環境でも適応可能な才能があると親が判断できる場合は、中学受験がプラスに働くこともありますので、わが子の置かれている環境と特性を冷静に見極めることがひとつのポイントになるでしょう。
判断ポイント2 家庭の都合はどうか
次に、通学できる範囲に意中の中高一貫校があるかないかによっても事情は変わります。
もちろん、寮完備の学校もありますし、最近では「逆単身赴任」とも呼べる方法で、母子で学校近くに住居を構え、中高一貫校に通わせるご家庭もあります。しかしながら、やはりそれはレアケース。多くのご家庭は自宅通学を選ぶので、通学時間問題(ドアツードアで90分以内などと制限をかけている学校もあります)をクリアしなくてはなりません。
通学は毎日のことです。体力的に負担にならない学校を選びたいものです。
また、地元中心のお商売をなさっていて、できれば家業を子どもに継がせたい希望のあるご家庭では、地域の中学校を卒業した方がメリットになるケースもあるでしょう。
このように、ご家庭によっても、地域によっても事情はさまざまです。
判断ポイント3 学区の公立中はどうなっているか
さて、近年の中学受験ブームは「公立中学への不安の裏返し」という説があります。高校受験か中学受験かを選択する前に、ぜひリサーチしておきたいことがあります。
それは、学区公立中学の様子を実際に確かめてみるということです。
コロナ禍が緩和された最近では、公立中学でも多くの学校でオープンスクールが再開されています。文化祭、体育祭、合唱祭、あるいは部活発表会などの学校行事も地域に公開されているケースが多いでしょう。
実際に、わが子が通うかもしれない学区公立中学の様子を知ることは大変、重要なことです。自宅近くに存在している中学校は、遠方にある中高一貫校よりも、生徒さんの様子、学校の雰囲気などをより深く、身近に感じられると思いますので、ぜひ実際に出かけてみてください。
もちろん、ご近所情報も参考になるかと思います。ご自分の目や耳で得た情報が正しいか、さらに、わが子に合っていそうか、という視点で観察してみてくださいね。
判断ポイント4 内申書の評価方法はどうなっているか
さらに言うなら、高校受験で合否判定の資料となる内申書(調査書)の評価方法は事前に知っておいて損はないと思います。
内申書に記載される成績のことを内申点と呼びます。学期ごとの学業成績のほかにも、課題の提出や授業態度も加味されることが普通です。
5段階の評定×9教科=45点満点を素点として数値化されますが、都道府県、あるいは受験する高校によっても、計算方法に微妙な違いがあります。さらに、内申書にはこの点数だけでなく、出欠記録、部活や委員会での活動度合い、ボランティア活動の有無、各種検定の保持なども反映されます。
これについては、地域の高校受験専門塾の先生が詳しいので、一度、話を聞きに行くという手もあります。地元公立中学に入った場合の塾の活用術も含め、その中学からはどこの高校に進学しているのか、その場合の内申点はどれくらいか、などを説明してもらえる可能性があります。
現実的には、中学受験をしない子でも、小学校時代から、例えば英語などを習いに高校受験専門塾に通うケースも多いのです。そこでは必ずと言っていいほど、高校受験の現状とメリットを解説してくれますので、説明会に参加する、あるいは直接アポを取って話を聞きに行くなどして情報を得るのも効率的です。
中学受験組の中には、この高校受験のための内申点への不安から、中高一貫校進学を選択するご家庭もあります。実際にこの不安が本当なのかを知ることも、進路選択には必要なことです。
地元の受験事情を把握したうえで判断を
まずは地元の受験事情を知ったうえで、わが家の教育方針と子どもの性格を総合的に判断し、中学受験に進むかどうかを決めることが大事です。
中学受験は、「一度入り込んだら抜けられない課金沼」と称されることもある世界です。
また、10歳前後の子どもが、遊びを封印し、毎日何時間も勉強することが当たり前という数年間を過ごすことにもなりますので、精神面での保護者のサポートは欠かせません。
高校受験、中学受験ともに、それぞれメリット・デメリットがあります。
わが子にとって、どちらがよりよい道に繋がるかを、夫婦でじっくり話し合うことが一番大切かなと思っています。
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