


新学年スタート、家庭での教育方針を考える
中学受験の年度はじめは2月。2月になると新学年というカウントになりますので、5年生は新6年生という位置づけになり、いよいよ受験学年を迎えます。
「中学受験をしないとダメですか?」というようなご相談が舞い込むのも毎年、この時期です。入塾学年とも呼ばれる新4年生の保護者からのご質問が多いですが、最近では、新1年生の親御さんからのご相談も目立ちます。それだけ、中学受験のスタートが低年齢化しているということの現れなのでしょう。
わが家なりの教育方針を話し合おう
そもそも中学受験は任意ですので、やるもやらないもご家庭の判断です。どちらがいいとか悪いとかいう問題ではないことは明白です。
ただ、「中学受験をしたほうがいいのかな?」と迷うならば、よい機会ととらえて、ご家庭での教育方針をご夫婦できちんと話し合うことをお勧めします。
中学受験は、本人や家族にとって大きなイベントになります。お子さんの人生の中でも、大きな選択になることは間違いありません。決して楽な道でもありませんから、強い決意に基づいたわが家なりの教育方針がないと、乗り越えるのが難しいのも事実なのです。
そこで、中学受験を考えるにあたって、これだけは熟考しておいたほうがよいことを3つお話してみたいと思います。
1. 最終学歴をどう考えるか?
昨年12月に発表された文部科学省の学校基本調査(確報値)によると、2022年度の大学(学部)進学率は56.6%。過去最高を更新したそうです。
皆さんのお子さんが大学受験に直面する時代になっても大学進学率が上昇し続けるのかは未知数ですし、当然ながら、お子さん自身がどういう道を希望するかによって最終学歴のとらえ方は変わります。
それでも、「わが家としては、今現在、どう考えるのか?」という“方針”は必要です。
「子どもが希望するならば大学に行かせたい」と思うのか、「親の使命は義務教育まで」とするかによって、親が取るべき行動が変わってくるからです。
夫婦で本音の意見を出し合って、共通の教育方針を作り上げることはご家庭の未来にとって、とても大事な作業です。
2. 教育費をどう工面するのか?
今現在、わが国の家計における教育費の占める割合は、非常に高いと言わざるを得ません。かけようと思えば天井知らず。なるべくかけまいとしても、中々の金額になってしまうのが現実です。
わが子への教育費は惜しみたくないというのは親心ですが、やはり、ご家庭によって事情はさまざま。家計管理上、将来計画のシミュレーションはマストです。
シミュレーションをするなら、なるべく先の未来から行うことが必須と考えます。最も学費がかかるのが大学生ですので、お子さんが大学受験をすると仮定して、18歳のときに教育費にどのくらい回せるのかを考えておく必要があるからです。
大学への入学金、学費、教科書代のほかにも、遠方の大学に進んだ際の仕送りなども加味して、年間どのくらいかかるのかを海外大学・国公立大学・私立大学・学部別などのパターンを想定して計算してみます。
奨学金を利用する、教育ローンを利用する、祖父母からの援助を期待するなどの方策もありますが、できれば“親の義務”として、その費用を用意しておきたいものです。それまでの“貯め時”をどうしていくのか、夫婦の話し合いは必要なことなのです。
その上で、中学受験の費用、さらにその先の中高一貫校の学費などについても、無理なく捻出できるかを考えるのが重要になります。
3. 中学受験の意味を真剣に考える
「やってはいけない中学受験」があります。
それは「自分軸を持たない中学受験」。
「隣の子がやっているから」「中高一貫校に行かせた方がいいような気がする」「公立中学は何となく不安」などに代表される、「他人や世間体、風評に影響される中学受験」は危険です。
中学受験は12歳全員が行わなければならない受験ではありません。通常3年間という長い年月をかけて、家族が一致団結しながら、志望校という目標に向かって一歩ずつあゆみを進めるのが中学受験です。
世の中、すべてのものに陰と陽がありますが、受験も同じで、得られるものも多い反面、失ってしまうものもあります。これ以上できないというほど頑張ったとしても、合格できるとは限りません。
また、せっかく入学した学校でも、本当にわが子に合っているかどうかは入ってみなければわかりません。それでも、「この道!」と信じるご家庭が突き進むのが中学受験なのです。
「わが家は、こういう理由でわが子に中学受験を体験させる!」という強い意志を持てるかどうかが「後悔のない中学受験」への鍵になります。
中学受験は、明確な教育方針と信念があれば、結果にかかわらず、お子さんとご家族にとって得難い経験になります。
ぜひ、上記の3点を含めた「わが家なりの教育方針」を固めた上で、受験に参入するか否かを決定していただきたいと思っています。
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