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人生100年時代に備えるには?

人生100年時代に備えるには?

親野智可等

『LIFE SHIFT(ライフシフト)─100年時代の人生戦略』(リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット著/東洋経済新報社)という本を読みました。
さすがに世界中でベストセラーになっただけのことはあり、非常に学びが多かったです。

内容をひと言で言いますと、これからは人生が100年の時代になるので、それに向けて人生戦略をたてる必要があるということです。

国連の推計では2050年までに、日本の100才以上の人口は100万人を突破する見込みだそうです。
また、2007年に日本で生まれた子どもの半分は107年以上生きるとのことです。

ですから、これを読んでくださっているみなさんのお子さんはもちろんのこと、みなさん自身も100才以上まで生きる可能性が非常に高いということになります。

しかも、老いて生きる期間というよりも、けっこう若々しく元気に生きる期間が長くなるということなのです。

ですから、そのための準備は今のうちからやっておいた方がいいわけで、私も100才以上生きたいので、日ごろからいろいろ心がけています。

人生は、3ステージからマルチステージへ

このような超高齢化社会になると、多くの物事が変わります。

働き方、教育のあり方、家族のあり方、結婚の時期や相手、子どもを産むタイミング、お金との関係、余暇時間の過ごし方など。

教育の期間も、働く期間も長くなりますし、学び直しも必要になってきます。
今までは、人生は「1,教育を受けて、2,働いて、3,引退して老後を過ごす」という3ステージでした。

でも、これからはマルチステージになります。
仕事も1つの仕事で終わるという単純なことではなくなって、複数の仕事を経験するのが普通になります。

なにしろ仕事をする期間も長くなるので、仕事がなくなったり会社が潰れたりもしますので。

100年以上の人生の土台を築く

そういう状況で大事になるのは何でしょうか?

私が特に大事だと思うのは、自分でやりたいことを見つけてどんどんやっていく自己実現力です。
同時に、それを可能にするための高い自己肯定感も必要だと思います。

そして、本書の中で私がとても印象深かったのは、人生100年時代では無形資産というものがとても大切になってくるということです。

資産というと、普通思い浮かべるのはお金、土地や家屋などの不動産、証券などのことです。
もちろん、そうした有形の資産も大切ですが、本書で強調されているのは形のない無形資産の重要さです。

例えば、次のようなものです。

○生産性資産:収入を得るためのスキルや知識、仕事の仲間や自分自身の信用や評判のこと。

○活力資産:バランスのとれた生活や家族・友人との良好な関係、肉体的・精神的な健康のこと。

○変身資産:社会の変化に柔軟に対応し、人生の途中で何度でも新しいステージへの移行を成功させる意思と能力。

こうした無形資産がしっかりしていないと、いくら有形資産があっても100年時代を幸せに生き抜くことは難しいということです。

これらを私なりにまとめると、能力を高めること、信用を高めること、人間関係をよくすること、健康維持に努めること、生き抜くことへのモチベーションを高めることの5つです。

そして、この本を読んで、手前味噌になりますが、私が今まで「子育てや教育ではこれが大切だ」と言ってきたことが全部当てはまるなと思いました。

それは、自己肯定感、他者信頼感、自己実現力、親子関係などです。
これらは全て100年時代を生き抜くための土台中の土台ですね。

ということで、みなさん自身にとってもお子さんにとっても、100年時代の人生戦略というものを考えながら日々生活していくことが大事だと思います。

著者プロフィール

親野智可等
親野智可等
おやのちから

教育評論家。1958年生まれ。本名 杉山 桂一。公立小学校で23年間教師を務めた。教師としての経験と知識を少しでも子育てに役立ててもらいたいと、メールマガジン「親力で決まる子供の将来」を発行。具体的ですぐできるアイデアが多いとたちまち評判を呼び、新聞、雑誌、テレビ、ラジオなど各メディアで絶賛される。また、子育て中の親たちの圧倒的な支持を得てメルマガ大賞の教育・研究部門で5年連続第1位に輝いた。読者数も4万5千人を越え、教育系メルマガとして最大規模を誇る。ブログ「親力講座」も毎日更新中。『「親力」で決まる!』(宝島社)、『「叱らない」しつけ』(PHP研究所)などベストセラー多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても知られる。長年の教師経験に基づく話が、全国の小学校や幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会で大人気となっている。

教育評論家・親野智可等 公式ホームページ『親力』


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