
医学部という進路
the path to medical school
強者(つわもの)たちが集う医学部受験の激しい競争で勝つためには、高い学力だけでなく、綿密な作戦も求められます。ここでは、選択科目をどれに決めるか、どの受験方式を選ぶか、どの併願パターンで受けるかなど、「戦うための武器の使い方」を伝授します。

【医学部受験に関する「進路」の基本的な考え方】あなたにピッタリの「受験方式」と「志望校」の選び方
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「一般選抜メイン+学校推薦型選抜・総合型選抜サブ」の組合せで「合格可能性」を最大化しよう
近年は、一般選抜以外の受験方式として、学校推薦型選抜と総合型選抜のウェイトが難関校でも高まりつつあります。とはいえ、難関校における受験方式の主流が一般選抜であることに変わりはありません。そのような状況を踏まえ、基本的には、一般選抜での合格を前提とし、教科学力の向上を優先すべきです。しかし、受験生の中には、一般選抜でも合格できる教科学力を有しつつも、教科学力以外の能力・適性を身につけているという、推薦・総合型受験向きの人もいます。
推薦・総合型はけっして教科学力軽視の受験方式ではありません。推薦・総合型では、教科学力の土台となる基礎力を有している受験生の中から、教科学力以外の能力・適性を身につけている受験生がさらに絞り込まれるのです。推薦・総合型で必要とされる教科学力は、一般選抜対策を通じて身についていきます。したがって、一般選抜による受験を第1志望として掲げつつ、教科学力以外の能力・適性がある場合には第2希望として推薦・総合型での受験も検討するという戦略が現実的です。
医学部入試は、他学部の入試以上に不確定要素が多い試験です。合格は必ずしも大学の偏差値順には決まりません。したがって、そういう「番狂わせ」が起きるリスクを少しでも減らすために一般選抜と推薦・総合型選抜を併願するという戦略は、十分にありえるのです。医学部合格の可能性を最大化すべく、「推薦・総合型がダメなら、一般選抜でも同じ志望校を受験する」というように、柔軟な「合格までのビジョン」をつくり上げてください。そのための大前提は、「科目別対策の『前提条件』」の記事で述べたとおり、「基礎力を徹底的に身につける」ことと、「苦手科目・苦手分野をなくす」ことにあります。
国公立大と私立大との「併願」が基本戦略
先ほどは、一般選抜と学校推薦型選抜・総合型選抜との併願という戦略を取り上げました。一方、併願にはもう1つのパターンがあります。それは、国公立大と私立大との併願です。
受験生の中には、私立大専願で臨み国公立大は受験しないという人もいます。しかし、この受験方法は賢明ではありません。多くの国公立大医学部では、大学所在地域に住む受験生や、卒業後にその地域で医師になる意思のある受験生を優先的に合格させるための「地域枠」が設けられています(なお、私立大医学部にも地域枠の制度は存在します)。先述した「医学部合格の可能性最大化」という観点からは、このしくみを利用しない手はありません。
また、上記のケースとは逆に、国公立大専願で臨み私立大は受験しないという受験生もいます。たしかに家計の状況などもあるのでしょうが、こちらについても賢明な受験方法とはいえません。国公立大医学部は最大で2校までしか受験できない一方、私立大医学部は、試験日の重複がない限りは何校でも受験可能です。やはり「医学部合格の可能性最大化」という観点からは、国公立大と私立大との併願は積極的に検討すべきです。
ただし、国公立大への出願には、私立大への出願にはないリスクがつきまといます。それは、「共通テストで失敗してしまった場合には、たとえ行きたくても、志望校を変更しなければならない」というものです。このように、国公立大の志望校選びを左右するのは共通テストの結果です。難関校以外の医学部や地方所在の医学部の中には、共通テストの配点比率を比較的高めに設定している大学が多く見受けられます。このようなケースでは、個別学力検査で挽回することは難しく、共通テストの出来が合否を分けるといっても過言ではありません。国公立大志望の受験生は、個別学力検査対策だけでなく共通テスト対策にも力を入れるとともに、共通テストが目標得点に達しなかった場合の出願先もシミュレーションしておきましょう。
志望校選びのためにチェックすべき項目とは?
先述のような国公立大と私立大との併願、あるいはそれぞれの専願という基本方針を決めたら、次からはいよいよ志望校選びの段階に入ります。その際には、「受験方式における自分と志望校との相性」を考慮し、以下のような項目に沿って最適な志望校を選び出してください。
- キャンパスの立地
- 受験科目の種類
- 受験科目の数
- 受験科目の配点
- 試験日
- 試験方式
- 偏差値
- 競争率
- 入試問題の難易度
- 出題傾向との相性
志望校選びは「卒業後の進路イメージ」とのセットで考えよう
ここで、医学部卒業時に関する話題を取り上げます。
医師国家試験に合格し、なおかつ医学部を卒業した人が就く研修医は、かつてはほぼ必ず、自分の出身校が併設する大学病院内に設けられた「医局」という組織に所属させられました。現在では医局による関与が以前ほど厳しくはないものの、制度としては存続していて、研修医は医局を通じて出身校の関連病院に配属されます。他学部の場合には、卒業してから出身校とかかわる機会はほとんどありません。一方、医学部の場合には、このように大学との関係が卒業後も続くのです。
こういう状況を踏まえ、志望校選びに際しては、受験生には先述のような「受験方式における自分と志望校との相性」だけでなく「卒業後の進路イメージにおける自分と志望校との相性」もぜひ考慮してほしいのです。たとえば、「都市部で医師になりたいのか/地方で医師になりたいのか」「地元で医師になりたいのか/地元以外の地域で医師になりたいのか」などです。
併願のメリットは「試験慣れ」
ここまでは、国公立大と私立大との併願という前提にもとづいて説明してきましたが、もちろん、国公立大専願・私立大専願という選択も排除されません。とくに、私立大専願の場合には国公立大対策に割く時間と労力が免除されますから、受験生は多数の大学に出願することとなります。たとえば、私立大専願の受験生の中には、12校もの私立大に出願した人さえいます。
とはいえ、先述のとおり、「医学部合格の可能性最大化」という観点からは、専願よりも併願が優先されます。以前は、1回の試験で結果を出すことが奨励されてきました。しかし、いまは受験戦略の主流が変化していて、複数の併願校を受験することによって本命校の合格率を高めていくという戦略が重視されています。このように、受験戦略における現在のトレンドは併願重視、すなわち「試験慣れ」なのです。
多くの受験生が本命校と目する難関校の試験日は、遅い時期に設定される傾向にあります。つまり、本命校の試験の前に併願校の試験が実施されるケースが多いのです。このような試験日の時間差を利用すれば、併願校を受けたときの感触をもとに本命校の受験戦略を立て直すことが可能となります。
試験には、想定外のエラーがつきものです。たとえば、併願校の過去問では基本問題・標準問題の出題が多かったため基礎力を固めて試験に臨んだら、その年は出題傾向が変化して応用問題・発展問題中心となってしまったためうまくいかなかった、などという事態が起こりえます。この場合、併願校における試験の出来を反省材料として生かすことができれば、本命校の試験日までに受験戦略を調整することができるのです。併願というしくみをぜひ最大限に活用してください。
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