医学部入試問題分析

慶應義塾大学 【2025年度 数学】

慶應義塾大学 【2025年度 数学】

基本情報試験時間:100分/問題数:大問4題
分析担当藤原 大輔
出題内容・難易度
大問 出題内容 出題形式 難易度
[Ⅰ] 小問集合 (1)B統計的な推測(正規分布) 短答式
(2)ⅢB統計的な推測・積分法(確率密度関数、積分計算)
(3)Ⅲ積分法(区分求積法)
(4)C複素数平面(三角形の面積)
(5)Ⅰ数と式・集合と命題(有理数と無理数の関係) 記述式 やや易
[Ⅱ] AB確率・数列・統計的な推測(玉の取り出しの確率漸化式、期待値と分散) 短答式 標準
[Ⅲ] ⅡⅢ式と証明・微分法・積分法(恒等式、3次関数の決定、定積分関数の最大など) 短答式+記述式 やや難
[Ⅳ] ⅡAC平面図形・空間図形(直線に関する反射、平面に関する反射) 短答式
問題分析
Ⅰ. 全体的に易しい小問集合で本学受験生であれば完答しなければならない。(1)正規分布、(2)確率密度関数と2問続けて統計分野の問題で、いずれも基本レベルであった。(3)区分求積法の問題。公式を使って定積分するだけで教科書レベルの問題であった。(4)複素数平面の図形問題。与えられた方程式の解を頂点とする三角形が原点Oを重心とする正三角形であることを利用すれば、簡単に計算できた。(5)有理数と無理数に関する整数の求値問題で大問[Ⅰ]唯一の記述問題。立式は簡単なので、解の条件に注意しながら、減点のない答案を書きたい問題であった。
Ⅱ. 慶医定番の確率漸化式と期待値・分散の問題。問題の後半に統計分野の期待値・分散が出題されたが、大問全体としては標準レベルで完答すべき問題であった。前半の確率漸化式は典型的な問題であったが、数列{cn }の計算が少し面倒であった。後半の期待値・分散はこのタイプの演習をきちんと積んでいれば難しくなかった。このような確率+漸化式+期待値・分散の融合問題は来年以降も出題されることが予想されるので、しっかり対応しておきたい。
Ⅲ. 前半は恒等式の証明問題、後半は3次関数ベースの微積分の融合問題。この大問が今年の合否を左右する重要な問題であった。前半の証明はすぐに方針が立たなければ無理せずに捨ててよい。後半はg(x)を求められたかどうかで大きく差がついたと思われる。g(x)さえわかれば、後は計算するだけだが、工夫しないと面倒な計算になった。ここでは、3次関数の対称性や変曲点における接線などをうまく利用して、効率的な計算を意識してほしい。
Ⅳ. 直線、平面に関する反射に関する問題。決して手がつけられないほどの難問ではないが、高い発想力・思考力が要求される問題であった。反射のイメージがしにくく(特に後半の空間図形)、文字計算も煩雑なので、解き進めるのにかなり時間を要する。試験時間を考慮すると、前半の平面図形の部分までは解いて、後半は捨てた方が無難である。なお、中学受験の算数の反射の問題を「鏡像を書いて直線で考える」で解いたことがあれば、見通しよく解けたかもしれない。
総評
小問集合は問題数が2問増えた、新課程の統計分野が出された、記述式の出題があった、これが昨年と変わった点である。難易度は全体的に計算量が増加し、思考力を要する問題が増えたため、難化した。特に大問[Ⅲ]、[Ⅳ]は解きにくかった。今年は大問[Ⅰ]、[Ⅱ]を優先的に解き、大問[Ⅲ]は証明を捨てて行けるところまで、大問[Ⅳ]は(1)まで取って、目標は60%以上。今年の難易度が本来の慶医のレベルなので、この難易度・計算量の問題に対応できるようにしておく必要がある。慶医攻略のポイントは、①計算量が多い問題を素早く解く(計算する)テクニックを身につける、②問題を見て(手を動かして)優先的に解くべき問題・捨て問を適切に判断する、③思考力が必要な慶医頻出テーマ(空間図形、軌跡、Ⅲ微積分計算、2次曲線)の演習を積んでおく、④統計分野を強化しておく、の4点である。

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