医学部入試問題分析

慶應義塾大学 【2025年度 英語】

慶應義塾大学 【2025年度 英語】

基本情報試験時間:90分/問題数:大問3題
分析担当小出 信夫
出題内容・難易度
大問 出題内容 出題形式 難易度
1 読解(総合問題:15題) 選択式と記述式 やや難
2 読解(総合問題:11題) 選択式と記述式 やや難
3 英作文(課題型:1題) 記述式 やや難
問題分析
  1. 「謝罪の仕方」について論文で、約1,050語。配点比率は40%ほどであろう。内容をより具体的にまとめれば、謝罪の意はどの様に表現すれば相手に受け入れられるか、また謝罪が相手を癒すだけではなく、自分自身にも尊厳と成熟をもたらすことで、心身の健康に繋がることを説いている。感情が精神衛生に及ぼす影響について説いた医学部の過去問には、「感情が道徳意識に与える影響」日本医科2011、「後悔の感情構造」大阪医科2020がある。なお、設問は、選択式が語句補充5題、同義表現1題で構成されている。また、記述式は、下線部和訳4題、下線部英訳3題、下線部説明2題((和文解答型[60字と90字以内])で構成されている。特に選択式問題に関しては、本学は前置詞の空所補充が出されることに注意したい。本年度もそれが1題(枝問7問)含まれている。
  2. 「AIチャットボット」についての論文で、約1,000語。配点比率は40%ほどであろう。設問は全て英語によるもので、選択式が語句の空所補充3題、指示語の説明1題、関係詞節の空所補充1題で構成されている。また、記述式は下線部和訳2題、下線部英訳1題、下線部説明3題(和文解答型2題[約40字と20字]と英文解答型1題[約25語])で構成されている。なお、動詞の空所補充問題は例年通り語形変化をさせるものである。この様な設問構成は例年とほぼ同じである。なお、チャットボットに関しては、「日本語AIプログラムの開発」福島県立医科2024、「チャットボットのセラピー効果とそのリスク」福岡2022がある。また、AIに関しては、「医療のAIへの対応」順天堂2024、「AIを用いた遠隔診療」東京医科2021がある。
  3. 訪日観光客増加の理由を100語程度で書く問題。配点比率は20%ほどであろう。課題英作文は提示されたトピックに対して自分の意見を述べるIndependent Writing(独立型問題)と読解問題と関連付けたトピックに対して意見を述べるIntegrated Writing(統合型問題)に分かれる。本学の問題は多くは前者の部類に入る。これまでの出題を見ると、「レポート剽窃者の投書に対する新聞コラムニストとしての回答」2024、「海外留学者減少の理由」2023、「自分が慶應大医学部に入学が認められるべき理由」2022、「医療におけるテクノロジー利用の可能性」2020、「朝食の重要性」2017、「ロボットに期待する機能」2016、「お金で買えないもの」2015、「休暇の行楽地を選ぶ要因」2014は前者のタイプである。本年度の問題も前者のタイプである。他方、「在宅勤務の長所と短所」2021、「公共の場でのマナー」2019は後者に近い。とは言え、東京慈恵会医科や日本医科と違って、完全に読解問題にリンクしているわけではない。しかし、読解文がかなり参考になる。ともあれ、前者のタイプの問題は、文法や語法の正確さだけでなく、論理構成の一貫性や表現の豊かさが求められる。なお、英検®は前者、TOEFL iBTは両方のタイプの問題が出題されるので、本学の過去問だけでなくそれらを解くのも訓練になる。
総評
全体の設問構成は従来通りで、読解問題と英作文とが選択式と記述式とで出題されている。大問数も昨年度と同じで3題である。読解文のテーマは、第1問が精神衛生、また第2問がAIに関する問題であったことで、医療系に偏らずにバランスが取れた出題となっている。難易度に関しては、読解問題と英作文ともに過年度よりも解きやすい。これらの点を踏まえて言えば、正規の最低合格ラインは60%を超えるだろう。なお、本学のように記述問題を重視する大学は添削指導を受けることが必須である。言うまでもなく、和訳、説明、英作文の解答は一義的ではなく、生徒一人ひとりの解答が具体的に検討されなければならない。個別指導による添削が望まれる所以である。

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