
医学部入試問題分析

横浜市立大学 【2025年度 生物】
基本情報試験時間:2科目180分/問題数:大問3題
分析担当太田 信頼
分析担当太田 信頼
出題内容・難易度
大問 | 出題内容 | 出題形式 | 難易度 |
1 | 体細胞分裂と呼吸 | 空欄補充問題、文章選択問題、計算問題、基本用語を答える問題、論述問題(50字程度、80字程度×2の3問)。 | 標準からやや難 |
2 | タンパク質のゴルジ輸送、細胞間の相互作用(情報伝達、細胞接着)、粒子の移動と個体群の分布 | 図選択問題、計算問題、基本用語を答える問題、論述問題(150字以内×3の3問)。 | やや難 |
3 | 遺伝計算、集団遺伝(ハーディ・ワインベルグの法則)、ゲノムの遺伝と種分化 | 空欄補充問題、計算問題、基本用語を答える問題、論述問題(50字以内、100字以内の2問)。 | 標準 |
問題分析
- 問題文1:体細胞分裂のDNA量と細胞数の関係のグラフ、阻害剤を用いた細胞周期の停止・再開の計算を含む考察問題が中心であった。典型的な問題ではあるが、(3)、(4)の阻害剤を含む考察問題は苦手な受験生が多い問題である。問題文2:呼吸の過程ATP、補酵素に関する基本問題であった。新課程で内容が厚くなった酸化還元を含んでいたが、解きやすい問題が多かった。
- 問題文1:分泌タンパク質の輸送経路に関与する細胞小器官の名称、ペプチドホルモンとステロイドホルモンの情報伝達の違い(論述)、細胞骨格の構造・機能(論述)と、基本的な内容の出題が多かった。文字数の多い論述でしっかりと記述できれば完答も可能であった。問題文2:数学・物理の要素が強い出題であった。粒子の動きを与えられた文章、計算式からシュミュレーションとして算出する問題、(4)~(7)で粒子の動きを個体群の分布に関連付ける考察問題であった。正確に理解できれば難しくはないが、数式等に不慣れな多くの受験生はかなり苦戦したと思われる。
- 問題文1:三遺伝子雑種の遺伝(連鎖・組換え、染色体地図の作成、二重乗換えによる染色体地図の矛盾点に関する論述)に関する計算、論述問題が中心であった。内容としては典型的な問題が多かった。問題文2:ハーディ・ワインベルグの法則の計算(不完全優性を含む遺伝子頻度の計算)問題と法則が成立する条件の提示(論述)に関する典型的な問題であった。問題文3:種間交配におけるゲノムの遺伝(子の染色体数を答える計算など)、種間交配後に見られる種分化など、空欄補充、用語を答える問題が中心であった。問題文1~3を通して、際立って難しい問題は無かったが、多くが計算を含む問題であったので、日頃の計算問題に対する演習量の違いで点差は開いたと考えられる。
総評
例年と変わらず、理科2科目で180分、大問3題であった。問題の難易度は、例年に比べて、計算力が試される問題が多かった(全大問で出題)ため、特に難しく感じた受験生も多かったと思われる。大問2のシュミュレーションを用いた計算など目新しい問題も出題されたが、典型的な問題が多かったため、難易度としては例年並みであった。例年と比べて、空欄補充問題が増加し、記述式の問題では基本的な生命現象の理解を問う問題が中心であった。計算演習や論述対策をしっかりと行っていた受験生にとっては解きやすい問題が多かったと思う。対策としては、生命現象や典型的な考察問題における50~150字程度の論述問題の練習を繰り返し行うことが重要である。その際、論点が何であるかをしっかり理解して、ポイントを押さえて論じるテクニックを鍛錬して欲しい。単に自身で解答を作成して満足するのではなく、生物の先生にどこが不十分であるかなどを赤入れして添削してもらう学習法が望ましい。また、横浜市立大学の入試問題では、典型的な考察問題、計算問題が出題される傾向が強いので、問題集などを用いて、よく見かけるような問題は一通り、その解き方を学んでおくと良いと考えられる。

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