医学部入試問題分析

千葉大学 【2025年度 物理】

千葉大学 【2025年度 物理】

基本情報試験時間:2科目100分/問題数:大問3題
分析担当小林 雅久
出題内容・難易度
大問 出題内容 出題形式 難易度
2 (力学)単振り子と2物体の衝突 記述式 標準
4 (電磁気)磁場中を通過する五角形のコイル 記述式 やや難
6 (波動)屈折の法則、光ファイバー 記述式 標準
問題分析
  1. 問1問2は教科書レベルの問題から始まる。力学的エネルギー保存則や等加速度直線運動のお馴染みの公式を用いて解き進められる。問3は「速度のx成分」を求めよと問われるが、よく考えれば与えられた位置エネルギーの式を用いて速さを求めれば良いことが分かる。問4から問7は単振り子に投げ上げられた小球がタイミング良く衝突する話になるため、その周期がカギとなり、残りの問題は運動量保存則と反発係数の式を用いて解答していく流れとなる。
    さらに問題は続き、問8以降は放物運動をする小球が床で跳ね返る状況となるが、この辺りの問題も頻出の内容であるため解答の方針に困ることは少ないであろう。しかしながら登場する文字が多くなるため、どの文字を使って良いのか条件を間違えないよう慎重に解答していきたいところである。
  2. 大問4は磁場中を通過するコイルの問題で、それ自体は典型的な問題である。問1から問4については通常の問題となんら変わりはない。磁束を求め、誘導起電力を求め、レンツの法則によって電流の流れる方向を意識しつつその大きさを求める。コイルを一定の速さで移動させるために加える外力の大きさは、F=IBLで求まる電磁力と同じ大きさであり、ジュール熱の計算もいつも通りである。
    問5から問8については、コイルが直角二等辺三角形の形をしている場所が影響してくるところであり、類題を解いた経験のあるなしに関わらず、きちんとコイルを貫く磁束を求め、時刻tからΔtだけ経過したときの磁束の変化を計算し、誘導起電力を求めていかなければならない。原理的には単純であるが、計算ミスしないよう気を付けていきたい。問9、問10については、コイルが通り抜けるまでの電流を考え、外力の時間変化をグラフに記す問題となるが、手順が多くなるため一つ一つ慎重に考え計算していく必要がある。
  3. 問題Aは屈折の法則に関する問題であり、屈折の法則を導く基礎的な学習をしっかりしていれば、特に難しい問題ではなかっただろう。
    問題Bは光ファイバーの問題である。通常よく出題される問題とは多少傾向が異なっている。通常は問題Bで言うところの状態1のときのみを扱うのに対し、本問では外周部の媒質にも光が通過していく場合を考えていく必要がある。問1、問2は屈折の法則を用いて解答していけば良い。問3問5は図形の問題となっている。問4問6問7は指示に沿っていけば、そのまま解答していくことができる。どちらかというと数学的な力が必要である。
総評
例年よりも取り組みやすい問題となった印象はあるが、問題数が多く、計算過程が多く必要となる問題も多々あった。どの大問も前半は解きやすい問題が用意されていた。また、当たり前なことであるが、典型的な問題をしっかり学習しておくことが大事である。それは、典型問題が出題された場合に即答できるという理由もあるが、本大学の問題には工夫が凝らされていて、そのまま解法を当てはめられないことも多いが、典型問題から学んだ基本原理などの知識や経験に基づいて考えることで解答に繋がっていくことが多いからである。対策としては、試験時間に対して分量が多いため、典型問題については素早く正確に解けるよう練習しておきたい。

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