医学部入試問題分析

東京科学大学 【2025年度 数学】

東京科学大学 【2025年度 数学】

基本情報試験時間:90分/問題数:大問3題
分析担当霜村 昌美
出題内容・難易度
大問 出題内容 出題形式 難易度
1 空間図形、確率 記述式
2 ベクトル 記述式 やや難
3 微分法 記述式 標準
問題分析
  1. 昨年同様、設問文の内容を一読して理解することができた受験生が多いとは決して言えない問題であったといえよう。結局何を問う問題かがはっきりできた場合に(2)以降は決して難問にはならなかったはずである。カギは頂点に注目するよりも、面に注目することだった。これに気付いた受験生は工夫ができたのではないか。また、(1)は正二十面体の見取り図が浮かんでいる受験生が決して多くないと考えると、苦戦した者が多かったのではないかと感じている。設問文の情報を正確に取りこぼさないように読むことでヒントを得ることが重要だったとも言えよう。
  2. xy平面上の点の位置ベクトルを互いに1次独立である2つのベクトルで表した場合、その係数が整数となるような点の集合Lに関する問題であった。まず、Lの要素は少なくとも格子点であることを踏まえ、(1)は具体的なものであるので容易と言え、(2)はy座標が0の時をどのように処理するか不定方程式の解法手順通りに行えばこれも容易だっただろう。しかし、(3)はLの要素と原点との距離を具体的により小さいものとして何が考えられるのかを考え、丁寧な処理が必要であったはずである。作業量としてのボリュームを考えると忙しいと感じた者が多かったと言えよう。
  3. 指数関数に原点から接線を引くという受験生ならば1度は必ず解いたことがある問題が出題されたので、ようやくここにきて典型問題だと感じた受験生が多かったように感じる。おそらく、多くの受験生はこの大問から手をつけたのではないかと感じる。特に(1)と(2)がy=xを対称軸として対称性が成り立つことを考えられれば容易であり、(3)に関しても2本の曲線がy=xを対称軸として対称性が成り立つことから導くことができるはずである。しかし、求める正三角形がy=x対称ではない場合ができないことを証明しなければならないことを考えると、容易とは言い難い問題であったと言える。ただし、この証明をしてから対称性を用いて解いた受験生がどれほどいたのか、非常に気になる問題である。
総評
東京医科歯科大学での入試問題と出題形式は全く同じように感じても、東京科学大学となっての初年度の今年度の入試問題は典型的な問題に感じるものがなく、受験者も面食らってしまったのではないかと感じる。今年のような問題が出題されても動揺しないように5年以上前の東京医科歯科大学の入試問題も踏まえて訓練をすることも視野に入れておきたい。
当然ではあるが、日々の練習では典型問題を用いて『情報に応じて正確に反応する』ことができるようにすること。その上で表現が多岐にわたる場合でも、情報の本質を読み取ることができるようにしていく必要があるということである。(一般的に、表現に惑わされて情報の本質を見抜きにくいと言われる問題が応用問題/発展問題と言われることを踏まえておいていただきたい。)
典型問題を解く際も答え合わせをして、誤答となった場合に単純に解答手順や解答を覚えるだけでなく、与えられた情報に対してどのように反応していかねばならないかをはっきりさせることが重要である。とにかくパターンを増やすことに対し常に意識して反応する練習が必要だといえよう。

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