医学部入試問題分析

東京大学 【2025年度 生物】

東京大学 【2025年度 生物】

基本情報試験時間:2科目150分/問題数:大問3題
分析担当吉山 茂
出題内容・難易度
大問 出題内容 出題形式 難易度
1 線虫の塩走性とその学習について 記号選択、考察記述、説明記述 標準
2 両性花の自家不和合性について 語句挿入、記号選択、理由記述 標準
3 河川の生態系について 記号選択、説明記述、グラフ描図 やや易
問題分析
  1. 線虫の塩走性とその学習の分析およびそれを司る遺伝子の問題。遺伝子に関しては寿命についての関連もありその考察も含まれている。記述問題は5問あり、3行が最大であった。後半は「どのような工夫をして観察すればよいか」と実験方法を示唆する問題。東大の特徴的な問題である。
  2. 両性花と単性花の遺伝子的な発現の違いを軽く答えさせた後、ハマダイコンの雄性不稔についての問題。遺伝の問題を中心に進められているが、1行から3行の記述問題もある。理由・考察がメインの記述であり、実験からの読み取りと幅広い知識の運用が求められる。
  3. 生態系についての実験・観察の考察をメインにした問題。かつてはこのような傾向の問題は毎年のように出題されていたが、近年は遺伝子発現についての問題が中心であったため「古い東大」の形式に戻った印象。グラフ描図などはあるが全体的にはかつての大問3と同じく難易度は高くない。記述は指定された用語を使った2行と実験考察の3行。
総評
動物の実験考察がメインの大問1、植物の実験考察がメインの大問2は例年通り。ここ3年は遺伝子発現などの問題で構成されていた大問3であるが今年は新課程の影響なのか以前の生態系についての問題に戻っている。それによってではないが全体的に軽く、記述問題中心であるが記述量も増えておらず、落ち着いて取り組めたと思われる。
大問1の最後は「どのような工夫をして何を観察すればよいか」という問いが2問あった。このような「実験方法」を聞く問題は共通テストでも見られるようになったが、記述として出題されるのは限られた大学のみであるので東大を中心にした最難関校の過去問等で慣れておきたい。実験や観察の結果の語句挿入も東大のお決まりのパターン。千葉大などでも見られるのがこのような「東大ぽい」問題形式には敏感になっておきたい。
線虫の塩走性は約10年前の研究であるように最近の研究を題材にした問題が例年続く。この10年東大の研究室を中心に発表された論文を完全に読破すれば「的中」も可能であるが、生産的ではないので、過去問演習などの際にはリード文に書かれている実験にまつわる「論文」を検索して読み込む癖を付けられれば深い理解につながると同時に常に最新の情報を手に入れることができる。「知っている」アドバンテージはとてつもなく大きいので多くの最新の実験には触れておきたい。
「合格100問」(東進ブックス)や「実験・考察問題集」(数研出版)、「思考力問題精講」(旺文社)、など実験考察をメインにした「最難関」の問題集を解きつくすことは最低限のこととなるが、どうしても「古い」実験の問題であり東大ではまず同じものは出てこない。「思考訓練」として使うことが大切である。それよりも最新の大学入試の過去問や生物学オリンピックの問題など「新しさ」を取り入れたものを導入することで知識として問題文を読むことができる上にその問題のもととなる論文を調べることでさらに深い知識を吸収できる。このような「一段上」の受験勉強を進められると合格も近いだろう。

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