中学受験「理科」分野別おすすめ勉強法! 差がつきやすい単元を得点アップするコツ
理科は身近な自然現象を学ぶ科目ですが、大きく分けて4つの分野から成り立っています。分野によって、学習効果のでる勉強方法は異なります。全ての範囲を暗記だけでこなそうとすると、苦戦を強いられることも多いです。
ここでは、中学受験理科に関する基礎情報や具体的な学習のコツ、保護者向けのサポートのコツを解説します。入試までの限られた時間を、効率的に学習を進めていきましょう。
【 目 次 】
- 中学受験での理科の基礎と傾向
- 基本的な中学受験の理科の特徴
- 近年の理科の難易度や出題範囲の傾向
- 中学受験でおすすめの理科を勉強する順番は?
- 中学受験でおすすめの理科の勉強方法
- 理科が苦手な子の特徴・NG勉強法
- 特徴1:理科の勉強は暗記だけだと思っている
- 特徴2:基礎知識のインプットがないまま演習問題を解いている
- 特徴3:間違えた問題の解き直しをしていない
- 【分野別】中学受験の理科を効率的に学習するコツ
- 物理を学習するコツ
- 化学を学習するコツ
- 生物を学習するコツ
- 地学を学習するコツ
- 中学受験理科で差がつきやすい単元を効率よく得点アップするコツ
- 差がつきやすい単元「力学」のコツ
- 差がつきやすい単元「気体と水溶液」「中和」のコツ
- 差がつきやすい単元「植物」のコツ
- 差がつきやすい単元「天体」のコツ
- 【保護者向け】中学受験の理科を教える方法とコツ
- 中学受験の理科に関するよくある質問
- Q1. 理科でも時事問題が出題されますか?
- Q2. 理科でも時事問題が出題されますか?
- Q3. 入試本番の時間配分は?
- 中学受験の対策ならTOMAS
- まとめ
中学受験での理科の基礎と傾向
最初に、中学受験の理科の特徴や問題構成、近年の入試出題傾向を解説していきます。
基本的な中学受験の理科の特徴
中学受験の理科の出題は、物理・化学・生物・地学の4分野から構成されています。4分野から万遍なく出題されることが多いため、まずは苦手な分野を作らないことが高得点を目指すポイントです。
理科では、基本的に小学校で学習するカリキュラムをベースにしていますが、出題形式は、記述問題、選択問題、作図問題など各学校によるところが大きく、初見の問題が出題されることも少なくありません。
中学受験の理科の大きな特徴として、一つの大問に対して、関連する枝問が多いことが挙げられます。枝問が誘導型になっており、(1)が(2)のヒントになり、(2)が(3)のヒントになる…というように、初見の問題であっても順番に解くことで答えを導くことが可能です。
近年の理科の難易度や出題範囲の傾向
近年の出題傾向ですが、表やグラフ、図などの条件が提示され、そのデータを活用して解答を導き出す、といった分析力や思考力を問う問題が増えています。基礎知識は習得している前提で、本質を見抜く力が求められています。
また、理科用語だけでなく、図や写真、表に関する知識も出題されることが多く、セットで身につける必要があります。例えば、「天気図」と「気象衛星から撮影した写真」は季節ごとに典型的なパターンがあるので、押さえておきましょう。
近年の入試で使われる写真や図は、カラーや3次元で示されることが増えています。実物を知らず、キーワードを文字ベースだけで覚えていると、受験では対応できなくなってしまいます。教科書やテキスト、あるいはインターネットで調べるなどして、カラー写真や3次元の図にも見慣れておくようにしましょう。
中学受験でおすすめの理科を勉強する順番は?
理科の勉強方法は、次の順番で進めると効率的に学習できます。
知識の暗記【インプット】
↓
問題演習【アウトプット】
↓
入試問題(過去問)演習
まずは学習の土台となる知識の暗記・定着から進めましょう。昨今の入試では思考力や分析力を問う出題が増えているとはいえど、基礎知識や用語を暗記していないと、何を聞かれているか理解することができません。
その単元の知識の暗記ができたら、基礎的な演習問題を解いていきます。一問一答のような用語暗記だけだと、一つ一つの知識がバラバラでつながりがない状態です。演習問題を解くことによって、知識のつながりを作り、実戦で使える力をつけていきます。
最後に入試問題に取り組みます。知識のインプット→問題演習でのアウトプットにより、知識と知識がつながり定着しているので、入試問題にも対応できる実力がついてきているはずです。
実際に入試問題を解いてみると、解けない問題や知らない用語が出てくるかもしれません。そんな時は、焦らずに解き直ししましょう。「解けなかった問題からは弱点単元を把握する」「知らない内容があれば、解答解説を読み込み知識を広げる」という意識で解き直しをすれば、より深い学習内容が身についていきます。
中学受験でおすすめの理科の勉強方法
理科の学習の主なポイント2点を解説していきます。
1. 分野ごとに勉強法は異なる
理科は、物理・化学・生物・地学の4分野に分けられますが、分野ごとに問題の傾向や求められる力に特徴があるので、対策(勉強方法)も分野ごとに最適な方法で取り組むことが大切です。
物理:原理の理解が重要。暗記問題は少ない。
化学:知識(暗記)もあるが、計算問題が多い。
生物:知識(暗記)がメイン。細かな知識を問われることも多い。
地学:知識(暗記)と原理の理解が必要。
短期間で効率的に学習を進めるのであれば、まずは分野で求められる力の違いを理解することが大切です。具体的な分野ごとの学習のコツは、【分野別】中学受験の理科を効率的に学習するコツで解説します。
2. 知識は図を活用して頭に入れる
理科の学習する自然現象や原理は、文章のみで全てを理解することはなかなか難しいですが、図を組み合わせることで理解がぐんと進みます。
【図の活用法】
- ① 図を見て覚える
- まずは覚える段階で、図を見ながら原理を理解しましょう。図解の多いテキストや参考書を選ぶと良いでしょう。
- ② 図を描く
- 次に問題演習や解き直しノートを作る時には、図を描くことを意識しましょう。きちんと内容が理解できていれば、図を描いて説明できるようになっています。うまく図を描けないようであれば、理解があやふやな場合もあるので、改めて覚え直しましょう。
理科が苦手な子の特徴・NG勉強法
さて、理科が苦手なお子さんには、主に3つの特徴があります。もし当てはまっているものがあれば、改善していきましょう。
特徴1:理科の勉強は暗記だけだと思っている
受験生の中には、理科の学習方法=暗記と考え、参考書を丸暗記しようとする人がいます。
暗記した知識で得点できる単元もありますが、原理や仕組みを理解していないと、応用がきかず入試問題でつまずく可能性が高いです。
全てを暗記することを目指すのではなく、なぜそうなるのか、という原理や仕組みをきちんと理解することが大切です。
暗記(インプット)の後には、演習問題(アウトプット)に取り組みましょう。覚えた知識を実戦で使えるようになってはじめて、生きた知識になっていきます。
特徴2:基礎知識のインプットがないまま演習問題を解いている
知識のインプットをせずに、いきなり演習問題を解くのは、NGの学習方法です。知識が頭にないまま問題に取り組んでも、知識が定着することはありません。
知識が不足していると、そもそも問題文の意味を理解できない、解説を読んでもわからない、という状況に陥ります。そうなると、理科に苦手意識を持ってしまうこともあるので、十分に注意しましょう。
特徴3:間違えた問題の解き直しをしていない
演習問題や過去問で間違えた問題があった場合、「解答解説を読んで理解する(インプット)」の後に「解き直し(アウトプット)」をすることが大切です。
解答解説を読んだ瞬間には理解できて、解ける気になったとしても、数日経つと残念ながら記憶があやふやになり、解けなくなることもあります。
実際に手を動かして解き直しをすることで、実力をつけていきましょう。
【分野別】中学受験の理科を効率的に学習するコツ
中学受験理科を構成する物理・化学・生物・地学の分野ごとに、効率的に学習するコツを解説していきます。
物理を学習するコツ
物理の主な出題範囲は、音・光・熱・電気・てんびん・ばね・滑車・輪軸です。物理は、暗記で解ける問題が少なく、原理をいかに理解しているかが重要ポイントとなります。物理原則を理解し、使いこなせるようになるためには、暗記よりも数多くの演習問題を解くことが最重要です。
物理の問題は、計算問題が多く、「早く」「正確に」計算できなければ高得点が望めません。計算ミスを減らし確実に得点するためにも、数多くの演習問題に取り組み、練習を積み重ねることが重要です。
てこ・滑車・輪軸・ばねのような力学の単元では、図で解くことを意識しましょう。わからない問題があったとしても、解き直しで解説を読み、自分自身で図を書いて説明できるまでにしておきましょう。
化学を学習するコツ
化学の主な出題範囲は、体積・気体・結晶・金属・pH・濃度です。化学では、知識問題もありますが、計算問題が中心に出題されます。
知識問題では、実験の様子を問う出題が多くあります。実験の手順や実験道具の名前、使い方は頻出なので、必ず押さえておきましょう。
計算問題では、比や割合の考え方を使う問題が多く出題されます。化学の計算問題が苦手なお子さんは、比や割合の学習を強化すると良いでしょう。
化学の計算問題では、一つの計算で答えを導けるものはあまりなく、何段階か計算をしなければ答えに辿り着かないものが多いです。このため、途中式は必ず残しておくようにしましょう。自分の考え方がどこまで合っているか、解説で確認することができます。
注意ポイントとして特に化学では、大問の(1)の回答を使って、(2)(3)の回答を導く問題が多いです。1問目をミスすると、以降も不正解となってしまうリスクがあるため、計算には十分に注意しましょう。
生物を学習するコツ
生物の主な出題範囲は、植物・動物・人体です。生物分野は、他分野と比べて覚えなければならない内容が多く、知識を問う出題が圧倒的に多いです。このため、暗記を中心に学習を進め、知識量を増やすことを意識しましょう。
知識量が増えれば、解ける問題も増えてくるため得点アップに繋がります。演習を数多くこなして学習する物理などと比べれば、比較的短期間での得点アップが望めます。
知識量の増やし方ですが、教科書や参考書の内容は完璧に把握するようにしましょう。教科書に掲載されている写真や図はどれも大切なので、一緒に覚えてしまいましょう。
暗記が苦手なお子さんは、絵やイラストでイメージがしやすい参考書、擬人化したキャラクターが使われている学習漫画などを活用するも良いでしょう。また、語呂合わせで覚える、など理解しやすいように工夫して、取りこぼしが無いようにしましょう。
地学を学習するコツ
地学の主な出題範囲は、天体・天気・地層です。地学では、知識問題が多く、暗記事項が多いという印象がありますが、実は用語と原理が関連づけられていなければ、実際の問題を解くことは難しいです。このため、対策には「暗記」と「原理の理解」の両方が必要になります。
地層では、地層や岩石の種類をやみくもに暗記するのではなく、当時の環境や自然現象などを関連づけて頭に入れましょう。
天体では、地球(自分)・太陽・月・星の位置関係や動きを理解することがポイントです。「地球からの見え方」と「宇宙からの見え方」を常に意識しておけば、関係性をスムーズに把握できるようになります。
地学では、南中高度や南中時刻、星の観測時刻や位置などを求める計算問題も出題されます。時間に関する計算が苦手なお子さんは、訓練しておきましょう。
中学受験理科で差がつきやすい単元を効率よく得点アップするコツ
ここでは、受験生で差がつきやすい単元の学習のコツを紹介します。コツを押さえて得点力アップを狙いましょう。
差がつきやすい単元「力学」のコツ
力学には、てこ・滑車・輪軸などが含まれますが、取っ付きにくさを感じて苦手意識を持ってしまう、あるいは、原理を理解するのに時間がかかり苦戦を強いられるお子さんが多い単元です。
しかしいったん原理を理解すると、基本的な計算ができれば得点源となります。まずは、原理の理解を優先させましょう。そして演習問題では「図に書き込みをして解く」ことを常に意識してください。
差がつきやすい単元「気体と水溶液」「中和」のコツ
気体と水溶液の単元は、覚えることが多く、出題のバリエーションも多いのが特徴です。水溶液では、溶質の名称、溶質の状態(気体/ 固体/ 液体) 、指示薬の名称と反応、電流に対する反応などを系統立てて頭に入れましょう。気体も同様に系統立てて整理することが大切です。
中和の単元では、「混ぜた水溶液の中で何が起きていて、何を自分は求めるのか」と「物質と物質の中和比」を常に意識しましょう。反応が目に見えず理解しづらい場合は、溶けているものの量に着目し、図示して考えるとわかりやすいです。
差がつきやすい単元「植物」のコツ
植物は、興味を持てないお子さんが多い単元で、学習がおろそかになりがちです。が、系統立てて覚えることができれば、瞬く間に得点源になります。特に、植物の分類は自分で知識を整理し、表にまとめるなどして頭に入れていきましょう。
植物では対照実験が出題されます(例:条件を変えて育てた植物がどう成長するか等)。対照実験では、条件の違い=実験結果の違いになることを念頭に置き、問題から読み取れることだけを考えましょう。
差がつきやすい単元「天体」のコツ
天体は、星座の名称などを含め単純に覚えることが多いことに加え、天体図など本来3次元のものが2次元で図示してあることから理解がついていかず、苦手意識を持ってしまうお子さんが多い単元です。
立体的に動いている天体のイメージをつかむために、ボールや電球を使って3次元での動きを実験することも大切です。
イメージがつかめたら、今度は2次元の図に落とし込んで考えてみましょう。問題を解くときには、図を描いて理解することが重要です。慣れてくると、頭の中だけで考えて答えを出しがちです。が、ミスの原因になりますので、図を描くことを忘れないようにしましょう。
【保護者向け】中学受験の理科を教える方法とコツ
理科は、身の回りの現象から自然界の原理原則を学ぶ教科です。何気なく目にしていた身の回りの現象を理科的な視点で掴むことが大切になってきます。
理科の苦手なお子さんは、テキストで学習した内容とリアルな現象が結びついていないことがよくあります。この2つが結びつくようご家庭で橋渡しできると、理科への興味がぐんと広がります。
教科書やテキストにある実験をご家庭で実際にやってみるのも良いですし、他にも
- お風呂で洗面器を沈めて浮力を確認する
- 電池の必要な家電製品で、電池がどう繋がっているのか確認する
- ご家庭で育てている植物を観察する
- 天気予報で気象予報士が説明している内容を改めてテキストで確認する
など、身近なもので興味関心を持たせることもできます。
こういった実体験は記憶とリンクして頭に残るため、知識の定着のためにも有効です。お子さんの興味の持てる実体験を増やし、得意な単元を増やしていけるといいですね。
中学受験の理科に関するよくある質問
Q1. 理科でも時事問題が出題されますか?
理科の出題でも時事ニュースに絡めたものがあり注意が必要です。金環皆既日食や流星群などの天文現象、自然災害(地震、豪雨など)も確認しておきましょう。
特に、日本ではこれまで経験しなかったような気象現象が多く起きており、例えば「線上降水帯」など話題となった用語もチェックしておきましょう。
SDGs、環境問題、エネルギー問題と絡めた問題も増えてきています。ニュースや小学生向けの解説番組等を見ながら、ご家庭で補足説明をするなどして理解を深めると良いでしょう。
Q2. 理科の問題集や参考書の選び方は?
近年の入試問題では写真等のカラー化が進んでいるため、参考書はできるだけカラー写真や図が豊富なものを選びましょう。また、解説が詳しいもの、図解が多いものがお勧めです。
理科に対する苦手意識があるお子さんには、漫画で解説している参考書もありますので、興味関心を持ってもらうツールとして活用するのも良いでしょう。
お子さんと一緒に書店に足を運び、最終的にお子さんがやりたいと言った問題集や参考書を選ぶことが、学習のモチベーションアップに繋がります。
Q3. 入試本番の時間配分は?
入試本番では、最初から順番に問題を解いていく必要はありません。まずは全体をチェックして「解ける問題」と「難しい問題」に分けましょう。
入試本番では「解ける問題」に時間をかけます。手も足も出ない問題に無理に時間を使う必要はありません。受験では、満点を取ることが目標ではなく、合格点を勝ち取りにいくことが大切なので、正解できる問題は確実に得点することを意識しましょう。
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特に理科は4分野あるため、お子さんの得意不得意も分野ごとにバラツキがでます。お子さんの得意分野や苦手分野を把握した上でメリハリの聞いたカリキュラム作成が大切です。
また、一人ひとりの志望校に応じて過去問を分析、出題傾向を講師とともに把握し、きめ細かいサポートができるのは、個別指導塾ならではの強みです。
まとめ
中学受験では、どうしても算数や国語に時間が割かれるために、理科にかける学習時間が少なくなりがちです。このため、いかに効率的に学習を進めるかが鍵になってきます。
ここで解説した4分野ごとの学習方法や、差がつきやすい単元の学習方法を参考に、限られた時間で効率的に学習を進め、得点力を上げていきましょう。
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