横浜市立大学
基本情報
試験時間:理科2科目あわせて180分/問題数:大問3題
分析担当
匿名希望

出題内容・難易度

大問 出題内容 出題形式 難易度
1 化学反応と温度・触媒 NO2とN2O4の化学平衡 記述式 やや易
2 エステル結合と不飽和結合・不斉炭素原子をもつ有機化合物の構造決定 記述式 標準
3 H2CO3の二段階電離 記述式 標準

問題分析

  1. (1)は温度が上昇することで分子の運動エネルギーが上昇し、活性化エネルギー異常のエネルギーをもつ分子が増えること、(2)は触媒が活性化エネルギーの小さな別の反応経路をつくることを踏まえればよい。(3)は実験操作に関する問題。(4)の(ア)は反応式から物質量を計算する。(イ)は先に求めた物質量を平衡定数の式に代入すれば求められる。(ウ)については平衡が温度上昇によって左側に移動していることから、ルシャトリエの原理より発熱反応であると分かる。(エ)については気体の状態方程式より気体全体の物質量を求めることで、二酸化窒素と四酸化二窒素のそれぞれの物質量が求まる。(オ)については、濃度平衡から圧平衡を出すにはC = p/RTの関係を利用すればよい。(カ)ではモル濃度や分圧が変化しなければ平衡は移動しない。全体として基本的な知識が問われており、やや易しい問題といえる。
  2. (1) (ア)については、成分元素の割合から組成式がC5H8Oであることを求め、分子量が100以下であることと合わせて分子式もC5H8Oであると分かる。(イ)では(ア)で求めた分子式よりBの構造式を絞る。Cの構造式については、水素付加が高圧条件であることからベンゼン環をもつことが分かる。2つのカルボキシル基の立体関係は問われていないと考えられるが、パラ位が妥当。Dは第3級アルコールである、不斉炭素原子をもつ、水素分子が2回付加できるという条件と分子量の値から構造を絞り込む。(ウ)では、Dに水を付加すると不安定なビニルアルコールが2種類でき、それぞれが安定なケト型を取ることでケトンとアルデヒドができる。
    (2) 二重結合をオゾン分解してできた有機化合物の一方がヨードホルム反応陽性であることに注目。
  3. (1) 酸性側では1段階目、塩基側では2段階目の反応しかほとんど起こらないことに注目。
    (2) 第2項については計算して値が小さいこと、第3項については酸性であることを説明する。
    (3) 大気圧、二酸化炭素モル分率、ヘンリー定数より二酸化炭素濃度を求め、弱酸のpHの計算をすればよい。
    (4) 炭酸カルシウムの溶解 CaCO3 + H2O + CO2 ⇄ Ca(HCO3)2を中心に説明すればよい。

総評

本年度に関して、分量は例年並みであるが、難易度は前年と同様に易しかった。1の反応速度と化学平衡の問題は、医学部を目指す受験生にとっては落とせない問題。2の有機化合物の構造決定については、比較的易しかった。(2)のシクロヘキセンと1-メチル-シクロペンテンの区別はやや難しい。3の無機化学は、理論化学がしっかりと修得されていることが前提となっている。性質・反応をしっかりと身につけ、論述の組み立ての鍛錬をしてほしい。
実験に関する記述・論述も多いため、問題集を解くだけで終わるのではなく、教科書・資料集を熟読し、操作の目的・理由を知っておくことが望ましい。