横浜市立大学
基本情報
試験時間:90分/問題数:大問3題
分析担当
小出 信夫

出題内容・難易度

大問 出題内容 出題形式 難易度
1 読解:「外国人が感じる日本の生活習慣への違和感」(約460語) 記述式と選択式 標準
2 読解:「ドローンによる医療品輸送」(約820語) 記述式 標準
3 読解:「死者の音声の技術的再現」(約570語) 記述式 標準

問題分析

  1. 下線部英訳が1問、下線部説明が3問(自由記述式)、語句の空所補充が1問(選択式)という計5問で構成されている。内容的には、外国人が日本での日常生活、例えば、歯磨きや耳垢を取ったり、体育の時間での着替えの仕方において感じる生活習慣の違いを論じたものである。話にオチがある英文で、楽しく読めるぐらいのものである。設問も英文の要旨に関わる論点をついているだけでなく、慣用句を言い換えたり、体操着への着替えの手順を説明させたり、と工夫されている。
  2. 内容説明が3問(本文中からの引用が2問と自由記述式が1問)、下線部語句の言い換えが1問(本文中からの引用)、下線部和訳が1問、下線部説明が1問(自由記述式)という計6問で構成されている。ドローン型輸送機によって血液や医薬品などを僻地に配送するシステムを世界的に展開している企業の活動について論じている。最初の設問から本文全体を読まなければ解けないようにできているので、読みながら解くという解法はとれない。他の大問と同様に、全体を一読してから解く方が効果的である。
  3. 下線部説明が4問(本文中からの引用が2問、自由記述式が2問)、下線部英訳が1問、下線部和訳が1問という計6問で構成されている。設問1の下線部説明問題で、暗殺前に予定されていた「ケネディ大統領の演説」を具体例として出し、設問2の下線部英訳問題で、その再現技術について詳説した論考であることがわかるようになっている。受験者に本文の内容を捉えさせながら解かせようとしていることが伺える。なお、人物名を英語で抜き出す問題があるが、これは2017年度の大問1と同じである。このような出題に対処するためには、英文中に出てくる人物の役割を確定しながら読む訓練が必要である。なお、下線部和訳で仮定法過去完了の構文が含まれているが、これもまた2017年度の大問1の下線部英訳の仕掛けと同じである。

総評

全体的な出題傾向は昨年度と同じで、全て読解問題となっている。とはいえ、英訳問題も複数含まれているので、総合的な英語力が試されていると言える。「問題分析」で各論的に検討したように、設問構成はよくできている。随筆と論説とを上手く織り交ぜているだけではなく、それぞれの英文に特有な論点に即して解きやすい工夫がされている。また、各設問は全体の要旨に関わりながらも、細かい論点を拾って考えさせる構成となっている。
なお、本学の問題は語注が多いのが特徴的であるが、それにいちいち頼ることなく全体としての論旨を素早く読み取る習慣をつけることが必要である。また、毎年の設問構成がよく似ているので、過去問を解き慣れておくことは他大学以上に必要であろう。全体的な難易度は国公立大医学部の問題としては標準的である。
ただし、制限時間が90分であるので、おおよそ1題あたり30分で解かなければならない。この数年の最低合格ラインは70%ほどであったが、本年度も同程度であることは間違いない。記述問題が中心なので、添削指導を受けて書き方を洗練することが必須である。