出題内容・難易度

問題分析

1. 与えられた情報に沿って立式し、その式を同値変形することで解答が導ける問題であった。ただし、注意しなければならないことはあくまでも角の大きさを指定されていただけだったので条件に沿った同値変形をどのようにしたのかを『伝える』時に不十分にならないようにできたかだけが気になるところであった。
2. 受験生ならば必ず解いたことがあるであろう、積分方程式と言われる分野の問題であった。もちろん、解けると感じたはずであるが、効率よく計算をし、解答を完成させるとなった場合、この問題にどの程度の時間を割けるかが高得点を取るカギになったのではないか。無駄な計算をしてしまっていたら答案を吟味できなかったはずである。
3. 久々に確率漸化式を立式して解ききる問題が出題されたので、『今年は出たか！』と感じた受験生もいたかもしれないが、nについていくつか試してみると、規則性に気づくことができたはずである。ここでの解法のカギは、あくまでも式をやみくもに立てようとするのではなく、具体的に『試す』ことではなかったか。そうすれば、答案作成にかける時間を確保することができたはずである。
4. 典型問題がここでも出題されている。強いて言えば計算量が多かったように感じるため、この問題も計算に時間をかけているようでは答案を吟味する時間がなく、不本意なものを提出せざるを得なかった受験生がいた可能性は否定できないと感じた。
5. 第2問と同様に積分法の分野で典型問題が2問出たことに驚いた者もいたかもしれないが、この問題の解法を知らない者はいないと言い切れるほどの問題だからこそ、場合分けの指針から、実際の立式に至るまで自分の考え方をどのように『伝える』かがカギだったように感じる。
6. ようやく、第6問になって骨のある問題が出題されたのではないか。(1)は死守して(2)を考える時間を十分に確保できていた場合、まずどう設定し、その条件に沿っている内容を書き出すことができているか確認しながらの証明になったので、時間に余裕がないと取りこぼしをしてしまう問題だったように感じる。

総評

 本年の問題はどの問題を見ても『解く』ことはスムーズにできた受験生が多かったはずである。決して、初めて見る設定があったわけでなく、類似問題を解く感覚で解き進められただろう。ただ、確率漸化式を出題したことで『伝える』ことに対して慎重になった者でなければ合格を手にすることは難しかったのではないかと感じた。このような出題が今後も続くと予想できるので、この場合特に典型問題を解くことも、記述答案を添削してもらい、修正することも必要であるといえよう。